投稿日 2022/10/23

JTB 系がエコ出張を提案。マーケターがパーセプションチェンジを起こす方法


今回のキーワードは 「パーセプションチェンジ」 です。

おもしろいと思った出張プランサービスを取り上げ、マーケティングに学べることを掘り下げていきます。

✓ この記事でわかること
  • JTB のエコ出張プラン提案
  • マーケティングで重要な 「パーセプションチェンジ」 とは?
  • 「選ばれる理由」 をつくる着眼点

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

新しい出張プラン


JTB の子会社に、JTB ビジネストラベルソリューションズという出張まわりのサービスを提供している会社があります。

今回ご紹介したいのは、JTB ビジネストラベルソリューションズが環境に配慮した 「エコな出張プラン」 の提案を始めたという話題です。

エコ出張の提案


以下は、日経新聞の記事からの引用です。

JTB 子会社の JTB ビジネストラベルソリューションズ (JTB-CWT, 東京・江東) が ESG (環境・社会・企業統治) に配慮した出張の提案を始めた。

出張に伴う二酸化炭素 (CO2) 量の計算や、環境に優しい交通手段を勧めるなど法人の脱炭素を後押しする。新型コロナウイルスで減った出張は回復が見込まれ、ESG を起点に差異化を図る。

プランの中身


エコな出張プランの提案の背景や中身について、続けて記事から見てみましょう。

今後需要が高まるとみられる出張。ただコロナ下で企業や投資家の意識は変わり、ESG への配慮を求める声も大きくなっている。伊藤取締役は 「日本企業は従業員個人での出張予約も多い。欧米では出張に新しく ESG の規定を取り入れ、『欧州連合 (EU) 圏内は基本鉄道』という企業もある」 とした。

そこで JTB-CWT では日本企業の ESG 出張を後押しする新たなサービスを始めた。例えば CO2 排出量の計算と 「この距離であれば飛行機ではなく新幹線を使う」 など CO2 を減らす行程を提案する。

再生可能エネルギーを促進するファンドなどに寄付することで CO2 排出量を相殺したと認定する 「カーボンオフセット」 プランも併せて用意した。

学べること


では今回の話から学べることを掘り下げていきましょう。

パーセプションチェンジ (価値認識の変化) 


JTB-CWT の提案は、お客さんの出張に対する 「パーセプションチェンジ」 を起こそうとするものです。

パーセプションとは、ある対象への知覚や認識のことです。マーケティングでのパーセプションは、お客さんが持っている商品やサービス、あるいはカテゴリーへの認識です。「こういうものが良い商品である」 というお客さんの持っている価値イメージです。

エコ出張の提案はこうしたパーセプションを変えることを狙っています。

今までの 「良い出張プラン (移動方法) 」 とは、移動時間が短い、乗り換えや待ち時間が少なく効率よく移動できる、料金が安い、行き方がわかりやすい (迷わない, 間違わない) などでした。

こうした従来の 「良い出張行程」 という認識に、新たに 「エコな移動ができる出張」 という価値イメージを加えようとしているわけです。

新しい 「選ばれる理由」 


パーセプションチェンジを別の捉え方をすれば、「自分たちが選ばれる理由」 を新しい切り口でつくり出そうとすることです。

今までは、移動の早さや効率さ、安さ、行き方がわかりやすいという 「ものさし」 でお客さんの頭の中にランク付けがされ、総合的に順位の高い移動方法が選ばれていました。ここに 「エコな出張ができる」 というものさしを新しく作り出していて、これがパーセプションチェンジの意味合いです。

選ばれる理由をつくろう


では最後に、今回の話から学べることを整理してみましょう。

次のような視点を持っておくといいです。

✓ 「選ばれる理由」 をつくる着眼点
  • 自分たちが参入している市場やカテゴリーでは、今どんな切り口 (ものさし) でお客さんは評価しているか
  • その切り口において、自社商品・サービスは他に比べて優位に立てているか
  • 今までにはない新しい切り口をつくり、お客さんのパーセプションチェンジを起こせないか

このように 「自分たちが今の段階で選ばれている理由」 、そして 「これからの選ばれる理由」 という、現在と未来で 「なぜ選ばれるのか」 をお客さんの立場になって理解し、新しくつくっていくことが大事です。


まとめ


今回は JTB 系の出張プラン提案を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。

✓ 新しい 「選ばれる理由」 をつくろう
  • マーケティングでのパーセプションは、お客さんが持っている商品やサービス、あるいはカテゴリーへの認識。商品やサービスへの価値イメージ
  • パーセプションチェンジは 「自分たちが選ばれる理由」 を新しくつくり出すこと
  • 今までにはない切り口から、お客さんのパーセプションチェンジを起こそう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。