今回のテーマは、顧客理解です。
おもしろいと思ったウォルマートの広告事業を取り上げ、マーケティングに学べることを掘り下げます。
✓ この記事でわかること
- ウォルマートが注力する広告事業 (リテールメディア)
- リテールメディアの本質とは?
- マーケティングに学べること
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ウォルマートの広告事業 (リテールメディア)
こちらの記事を読みました。
リテールメディアが急成長 アマゾンとウォルマートの金鉱脈に|日経クロストレンド
小売業界の巨大企業2社であるアマゾンとウォルマートが、広告事業という新しい領域でも競い始めたという内容でした。
ウォルマートが広告事業をどのように捉えているかが興味深かったです。
ウォルマートはアマゾンのデジタルリーチにはかなわないものの、会社が持つデータについて独自の "ストーリー" を広告主に伝えている。
「米国でどのように買い物するか、私は誰よりも熟知している」 。ウォルマートの広告ネットワーク 「ウォルマート・コネクト」 を統括するジェフ・クラーク副社長は22年、マーケティング・ブリューにこう語った。
全世界で週に約2億3000万人の顧客がウォルマートの店舗か Web サイトを訪れると指摘し、「ウォルマートはただの食料品スーパーではなく、ただの薬局でもなく、ただの自動車修理場でもない。こうしたものすべてだ」 と語っている。
ウォルマートの狙い
記事では、ウォルマートが広告事業 (リテールメディア) でやろうということについて、次のように書かれています。
ウォルマートが広告事業で目指す野望が自社サイト上でのスポンサー商品の検索結果表示にとどまらないことを意味する。
ウォルマートの店舗や EC サイト上での購買は、消費行動を (匿名化された) 人口動態データに結び付けることができる。ウォルマートは、これらのデータをその他のデータセットと照合することによって、広告のターゲティングに役立つ洞察を広告主に与えることを狙っている。
(中略)
ウォルマートは決算発表を控えた情報非開示期間を引き合いに出し、広告事業の詳細についてコメントしなかった。だが、広報担当者はこのカテゴリーに関する声明文を提供してくれた。
「リテールメディアは今日、ますます重要な意味を持つようになっており、成長ペースが最も速いデジタルマーケティングチャンネルに進化を遂げた」 と書かれている。
「マーケターは顧客とより直接的に結び付くことを望み、実際に結び付く必要がある。これを成し遂げるためには、顧客についてもっとよく知る必要があり、そのカギを握るのがファーストパーティーデータだ。(中略) ウォルマートのような小売り大手は、ファーストパーティーデータの金鉱脈を抱えている」 。
声明はさらに、ウォルマートのプラットフォームは、商品を探して買う過程で顧客の役に立つような形で、買い物客のデータを利用していると記している。
買いもの客のデータを活用
ウォルマートがリテールメディアで目指しているのは、お店や自社 Web サイトの価値を買いもの客のデータを使ってより高めることです。
小売 (リテール) とは、商品を買おうと思っている人が来店する場所です。買うことへの気持ち (購入意向) や情報アンテナが高い状態なので、商品情報への関心もそれだけ高いわけです。
ウォルマートは、お店を商品を売る場としてだけではなく、広告などの情報を提供する場 (リテールメディア) と再定義したのです。
リテールメディアが他の広告媒体と違うのは、そこに来る人の実際の買いものデータが活用されているところにあります。これによりメーカーなどの広告主には、広告やマーケティングに役立つ洞察が得られる価値があります。
学べること
それでは、ウォルマートのリテールメディアの話から、学べることを掘り下げていきましょう。
リテールメディアの本質
マーケティングの視点でのリテールメディアの本質は、買いものデータからのお客さんの理解を、メディアとしての価値につなげていることです。
お客さんの心理と行動の理解は、ビジネスでは最重要課題です。顧客理解ができているからこそ、的確な戦略や施策ができます。
ウォルマートは日々来店する消費者に向き合い、買いものをする消費者 (ショッパー) のデータと理解から、お店での商品販売だけではなく、広告事業にも広げているのです。
マーケティングへの学び
今回の事例からの学びにつなげるために、次のような問いかけをしてみるとマーケティングへのヒントになります。
✓ 顧客理解からのマーケティング
- 自分たちのお客さんは誰か (顧客設定)
- お客さんの心理と行動をどれだけ理解しているか
- 理解に基づいた戦略と打ち手になっているか
- 一度理解してそこでやめていないか。常に変わるお客さんの心理・行動をキャッチアップできているか
マーケターとして、これらの問いかけに正面から Yes と答えられるかです。
あらゆるビジネスは顧客設定と顧客理解からはじまります。顧客理解はビジネスの金鉱脈なのです。
まとめ
今回はウォルマートの広告事業 (リテールメディア) を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。
最後にまとめです。
✓ 顧客理解からの戦略と打ち手を
- お客さんの心理と行動の理解は、ビジネスでは最重要課題
- リテールメディアは、買いものデータからのお客さんの理解を、メディアとしての価値につなげている
- 顧客理解ができているからこそ、的確な戦略や施策ができる
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