投稿日 2022/10/24

リテールメディアを急成長させているウォルマート。顧客理解はビジネスの金鉱脈


今回のテーマは、顧客理解です。

おもしろいと思ったウォルマートの広告事業を取り上げ、マーケティングに学べることを掘り下げます。

✓ この記事でわかること
  • ウォルマートが注力する広告事業 (リテールメディア) 
  • リテールメディアの本質とは?
  • マーケティングに学べること

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

ウォルマートの広告事業 (リテールメディア) 


こちらの記事を読みました。

リテールメディアが急成長 アマゾンとウォルマートの金鉱脈に|日経クロストレンド

小売業界の巨大企業2社であるアマゾンとウォルマートが、広告事業という新しい領域でも競い始めたという内容でした。

ウォルマートが広告事業をどのように捉えているかが興味深かったです。

ウォルマートはアマゾンのデジタルリーチにはかなわないものの、会社が持つデータについて独自の "ストーリー" を広告主に伝えている。

 「米国でどのように買い物するか、私は誰よりも熟知している」 。ウォルマートの広告ネットワーク 「ウォルマート・コネクト」 を統括するジェフ・クラーク副社長は22年、マーケティング・ブリューにこう語った。

全世界で週に約2億3000万人の顧客がウォルマートの店舗か Web サイトを訪れると指摘し、「ウォルマートはただの食料品スーパーではなく、ただの薬局でもなく、ただの自動車修理場でもない。こうしたものすべてだ」 と語っている。

ウォルマートの狙い


記事では、ウォルマートが広告事業 (リテールメディア) でやろうということについて、次のように書かれています。

ウォルマートが広告事業で目指す野望が自社サイト上でのスポンサー商品の検索結果表示にとどまらないことを意味する。

ウォルマートの店舗や EC サイト上での購買は、消費行動を (匿名化された) 人口動態データに結び付けることができる。ウォルマートは、これらのデータをその他のデータセットと照合することによって、広告のターゲティングに役立つ洞察を広告主に与えることを狙っている。

 (中略) 

ウォルマートは決算発表を控えた情報非開示期間を引き合いに出し、広告事業の詳細についてコメントしなかった。だが、広報担当者はこのカテゴリーに関する声明文を提供してくれた。

 「リテールメディアは今日、ますます重要な意味を持つようになっており、成長ペースが最も速いデジタルマーケティングチャンネルに進化を遂げた」 と書かれている。

 「マーケターは顧客とより直接的に結び付くことを望み、実際に結び付く必要がある。これを成し遂げるためには、顧客についてもっとよく知る必要があり、そのカギを握るのがファーストパーティーデータだ。(中略) ウォルマートのような小売り大手は、ファーストパーティーデータの金鉱脈を抱えている」 。

声明はさらに、ウォルマートのプラットフォームは、商品を探して買う過程で顧客の役に立つような形で、買い物客のデータを利用していると記している。

買いもの客のデータを活用


ウォルマートがリテールメディアで目指しているのは、お店や自社 Web サイトの価値を買いもの客のデータを使ってより高めることです。

小売 (リテール) とは、商品を買おうと思っている人が来店する場所です。買うことへの気持ち (購入意向) や情報アンテナが高い状態なので、商品情報への関心もそれだけ高いわけです。

ウォルマートは、お店を商品を売る場としてだけではなく、広告などの情報を提供する場 (リテールメディア) と再定義したのです。

リテールメディアが他の広告媒体と違うのは、そこに来る人の実際の買いものデータが活用されているところにあります。これによりメーカーなどの広告主には、広告やマーケティングに役立つ洞察が得られる価値があります。


学べること


それでは、ウォルマートのリテールメディアの話から、学べることを掘り下げていきましょう。

リテールメディアの本質


マーケティングの視点でのリテールメディアの本質は、買いものデータからのお客さんの理解を、メディアとしての価値につなげていることです。

お客さんの心理と行動の理解は、ビジネスでは最重要課題です。顧客理解ができているからこそ、的確な戦略や施策ができます。

ウォルマートは日々来店する消費者に向き合い、買いものをする消費者 (ショッパー) のデータと理解から、お店での商品販売だけではなく、広告事業にも広げているのです。

マーケティングへの学び


今回の事例からの学びにつなげるために、次のような問いかけをしてみるとマーケティングへのヒントになります。

✓ 顧客理解からのマーケティング
  • 自分たちのお客さんは誰か (顧客設定) 
  • お客さんの心理と行動をどれだけ理解しているか
  • 理解に基づいた戦略と打ち手になっているか
  • 一度理解してそこでやめていないか。常に変わるお客さんの心理・行動をキャッチアップできているか

マーケターとして、これらの問いかけに正面から Yes と答えられるかです。

あらゆるビジネスは顧客設定と顧客理解からはじまります。顧客理解はビジネスの金鉱脈なのです。


まとめ


今回はウォルマートの広告事業 (リテールメディア) を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。

✓ 顧客理解からの戦略と打ち手を
  • お客さんの心理と行動の理解は、ビジネスでは最重要課題
  • リテールメディアは、買いものデータからのお客さんの理解を、メディアとしての価値につなげている
  • 顧客理解ができているからこそ、的確な戦略や施策ができる


ニュースレターのご紹介


マーケティングのニュースレターを配信しています。


気になる商品や新サービスのヒット理由がわかり、マーケティングや戦略を学べるレターです。

マーケティングのことがおもしろいと思えて、今日から活かせる学びを毎週お届けします。

レターの文字数はこのブログの 3 ~ 4 倍くらいで、その分だけ深く掘り下げています。ブログの内容をいいなと思っていただいた方には、レターもきっとおもしろく読めると思います (過去のレターもこちらから見られます) 。

こちらから無料登録をしていただくと、マーケティングレターが週1回で届きます。もし違うなと感じたらすぐ解約いただいて OK です。ぜひレターも登録して読んでみてください!

最新記事

Podcast

書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

ブログ以外にマーケティングレターを毎週1万字で配信しています。音声配信は Podcast, Spotify, Amazon music, stand.fm からどうぞ。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。