投稿日 2022/10/11

スマホを触りながら寝落ちできる入眠アプリに学ぶ、逆転の発想で価値をつくる方法

#マーケティング #商品開発


今回のテーマは 「ありそうでなかった商品」 のつくり方です。

おもしろいと思ったアプリを取り上げ、商品開発やマーケティングに学べることを掘り下げます。

✓ わかること
  • スマホを触りながら寝落ちできる入眠アプリ
  • 人の欲望を捉えた 「逆転の発想」 とは?
  • 「ありそうでなかった商品」 のつくり方

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

入眠アプリ


ご紹介したいのは睡眠サポートアプリの 「さわって眠れる睡眠アプリ - 睡眠観測」 です (詳細のリリースはこちら) 。

スマホを触りながら寝落ちできる


目を閉じたまま、流れる音に合わせて指で時々ゆっくりとスマホの画面をなでることで、スムーズに眠りに入れるアプリです。



シナリオは、小川でカエルを探す、海でイルカを探す、夕陽の海岸でカモメを探す、夜の森でフクロウを探すなどの色々なパターンがあり、自分の好きなようにカスタマイズもできます。

逆転の発想


寝る直前までスマホを使うのは良くないとわかっていても、つい布団に入ってもスマホを使ってしまいますよね。

だったら心地よく眠りに入れるようなアプリを作り、寝る時にもスマホを触ってもいいようにしてしまおうという発想がおもしろいです。

ちなみに、スマホの画面を触るリラックスできるという着眼点は、このアプリの開発者の個人的な気づきからでした。重要な会議の前などの緊張する時でも、「スマホのつるつるした画面を指でなでていると落ち着く」 という発見が、入眠アプリ開発につながったそうです (参考) 。

スマホの画面は見ずに、リラックスできる音楽を聞きながら、操作音が鳴った時に指で画面をなでることで、布団に入っても、なかなか寝付けずにつらいという悩みを解消してくれます。


学べること


では、スマホを触りながら寝落ちできる入眠アプリから学べることを掘り下げてみましょう。

違う側面を見ての再解釈


学びの1つ目は、今までは弱みだったりやってはいけないとされていたことについて違う一面から捉え直し、新しい解釈から価値を見出せないかと考えてみることです。

やってはいけないと頭では思っていても、ついついやってしまうことはありますよね。今回のように寝る前にスマホを見ることは寝付きが悪くなるとわかっているものの、気づけば寝る直前まで、さらには布団に入った後もスマホを使ってしまいます。

人の行動を変えられないのであればそれを逆手にとって価値を生めないかという発想を持ってみるといいです。

今回の事例は、スマホのことを 「 (寝る直前まで使って) 眠れない原因」 と捉えるのではなく、スマホを 「使うことでリラックスして気持ちよく寝られる」 と再解釈し、ユーザーに価値を提供しました。

お客さんの理解からの価値創出


学びの2つ目はアイデアから価値へつなげ方です。

価値を生むためには、生活者やお客さんの行動や心理まで深く理解することが大事です。表面的な目に見える言動だけではなく、奥にある気持ちや価値観などの心理面までです。

入眠のアプリは開発者の体験や気づきがきっかけになりましたが、自分自身を一人の生活者と見て普段からやっている行動、その時の心理への理解があったからユニークなアプリができたわけです。

何気なく自分がやっていた緊張した時にスマホ画面を触っていた行動と、その時に感じた気持ち (心理) を大切にしました。

こうした行動と心理の理解をきっかけに、スマホを触りながら寝られる入眠アプリというアイデアが生まれたのです。寝る前はスマホを使わない方が良いという常識を疑い、どうせ使ってしまうならそれを逆手に取ろうという逆転の発想があります。

前提や常識を疑い、時には逆転の発想をしてみると、商品開発やマーケティングのヒントが得られます。


まとめ


今回はスマホを触りながら寝落ちできる入眠アプリをご紹介し、商品開発やマーケティングに学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ 逆転の発想での価値創出
  • 頭ではやってはいけないことを、人はついやってしまう。だったらいっそのことやってしまおうという逆転の発想をしてみるとアイデアにつながる
  • アイデアをお客さんへの価値にするためには、生活者やお客さんの行動や心理まで深く理解することが大事


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。