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投稿日 2012/08/14

スマートテレビは普及するのか?ビジネスモデルで考える理想の姿と現実




スマートテレビが、スマートと言えるための必要な要件は以下です。

  • ネットワーク接続され双方向性がある。テレビと、パソコン・スマホ・タブレット等の各種デバイスと連動する
  • テレビ上で各種アプリが使える。例えば、ソーシャルメディアと連携する
  • OS などのソフトウェアのアップデートでテレビが新しくなる (テレビを新しくする ≠ ハードの買い替え)
  • ユーザーインターフェイスが直感的な操作で使いやすい
  • 課金の仕組みができている
  • あらゆるコンテンツがいつでもどこでも自分の見たいタイミングで見られる
投稿日 2012/08/04

みんな大好き!コメダ珈琲店のビジネスモデル


先日放送されたカンブレア宮殿はコメダについてでした (2012年7月26日) 。放送内容はコメダのビジネスモデルが紹介されていました。

差別化されたコンセプト


まず印象的だったのはコメダのコンセプトである 「地域の人たちがゆったりできる場所を提供する」 ことでした。もともとはコメダ創業者である加藤太郎氏が 「お客がさっさと帰るような店は田舎では成り立たない」 と思い、事業を始めたのが原点だそうです。

コメダが一般の喫茶店とは差別化されていることがわかります。というのも喫茶店や飲食店では重要視している 「回転率」 をコメダでは追及していないのです。むしろお客さんには長居歓迎というスタンスです。
投稿日 2012/07/28

「仕組みの問題」 で考える Amazon と三河屋のサブちゃんの共通点




表面的な見た目の違いではなく、構造やメカニズムの違いに目を向けると新たな着眼点が見つかることがあります。起こった事象ではなく、背後にある 「仕組み」 に注目するのです。



Amazon のレコメンド機能


仕組みを考えると、A で成り立っている仕組みが B でも成り立たないか、という発想ができるようになります。

アマゾンと、サザエさんに登場する三河屋のサブちゃんで考えてみます。

アマゾンが力を入れている一つがレコメンド機能です。

レコメンド機能は、その人が買いたくなるであろう商品をおすすめしてくれます。レコメンドの元になっているのは、アマゾンでこれまで何を買ったか、欲しいものリストに何を入れているか、どんな商品を閲覧したかなどです。

確かに、レコメンドの精度はまだ不十分です。ある商品をクリックすると、おすすめ商品が関連するものばかりになってしまう時があります。もっと精度がよいレコメンド機能を期待しています。


三河屋のサブちゃん


アマゾンのレコメンドの仕組みは、購買情報や閲覧情報をアマゾンが持っているから実現できるものです。それだけ、ユーザーの一人ひとりを理解しているのです。

レコメンドをうまくやっているのが、サザエさんに登場する 「三河屋のサブちゃん」 です。

サブちゃんは、次のような一声とともに台所の勝手口に登場します。「そろそろお醤油が切れかける頃だと思って持ってきました」 。

サザエさんも 「ちょうど良かった。お醤油が切れかけてたの。お味噌もいつものを持ってきてくれるかしら」 と、追加で味噌も注文します。

これができるのは、サブちゃんがサザエさん一家を知り尽くしているからこそです。

何も言わなくとも一回に頼む醤油の量も、どんな醤油が好みなのか、そろそろ醤油が切れかけていることも把握しています。頼まれなくても勝手口に現れて、「そろそろお醤油が切れかける頃だと思って持ってきました」 という絶妙のタイミングです。


アマゾンとサブちゃんの共通点


サブちゃんは、磯野家の購買情報やサザエさんたちの嗜好を知り尽くしているのでタイミングよくレコメンドし、さらに追加で別の商品も買ってもらっています。

お客のことを深く理解し、そこから購買を促すというアマゾンと三河屋のサブちゃんに共通する仕組みです。


課題設定と問題解決も 「仕組み」 で考える


背後の仕組みに注目するのは、様々な場面で有効です。例えば、何か仕事上でミスが起こり問題が発生した場合です。問題を把握し、課題解決するために活用できます。

ミスや不備が起こった時、ミスをした当事者を責めてしまいがちです。

原因特定を担当者という個人レベルだけで、対応や改善策もそのレベルにとどまってしまうと、次もまた同じことが起こる可能性があります。容易な対策はミスを起こしてしまった担当者を変えることです。しかし、もし発生原因がそもそもの仕組みの問題だとすると、新しい担当者も同じミスしてしまうかもしれません。

問題が起こった時は個人ではなく、問題に焦点を当てるべきです。

原因究明では、なぜ起こったのかの仕組みの問題として捉えるのです。その上で、ミスが起こらないような仕組みとしての改善と、ミスが発生しても早期に発見できるチェックの仕組みを構築するという2つのアプローチで対応します。

仕組みやメカニズムに着目すると、他の業務プロセスが活用できるのではないかという視点が持てます。A で成り立っている仕組みが、別の B でも成り立たないかという発想です。一人の担当者や責任者を責めるより生産的です。

ミスを起こした側・起こされた側の双方にとって、今後はミスをなくすという win-win を目指したいです。


最後に


今回のエントリーで言いたかったのは冒頭で書いた、見た目の違いではなく、構造・メカニズムの違いに目を向けると、新たな着眼点が見つかることです。普段から 「メカニズムはどうなっているのか」 と考えるクセをつけておきたいです。

投稿日 2012/07/22

戦略の本質を考えるための3つのポイント


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戦略とは、あるべき姿と現状の差を埋めるために 「何をやるか」 です。目的を達成するためにやることとやらないことが明確にしたものが戦略です。

今回のエントリーでは、戦略を考えるためには何が大切かを考えます。

投稿日 2012/06/02

「絶対赤字」 の非常識に挑んだクロネコヤマトの競争戦略


昨夜仕事から帰ると、マンションの宅配ボックスにアマゾンで注文した本が届いていました。

いつものようにクロネコヤマトの宅急便です。

今回は、クロネコヤマトの競争戦略についてです。
投稿日 2012/04/30

ドリルを売ろうとした Sony と、穴を開けるサポートをした Amazon

今日で4月が終わるので、2012年も3分の1が経過したことになります。時計で言うとちょうど20分のところに針がある状態です。

12年の今年は今のところコンスタントに本が読めていて、1ヶ月で20-25冊程度、4ヶ月ではほぼ100冊くらい読みました。このうちの8割以上はアマゾンから買った本です。感覚的には9割に近いくらいかもです。それくらい本はアマゾン経由で手に入れています。

本をアマゾンで買うのに何が魅力かって、中古も含めた豊富な品揃え、モバイルからでも手っ取り早く注文ができて、安定した配送の仕組みですぐ届く、送料無料、あたりかなと思っています。トータルでの提供サービスが素晴らしいです。


電子書籍を理解する3つのフレーム


次にアマゾンに期待したいのはキンドルです。電子書籍を読める環境のサービス提供です。

電子書籍は、電子書籍端末という 「デバイス」 、電子化された本という 「コンテンツ」 、電子書籍を手に入れるための 「プラットフォーム」 という3つの層で考えるといいと思っています。アマゾンへの期待はデバイス、コンテンツ、プラットフォームというトータルでの電子書籍サービスの提供です。
投稿日 2012/04/21

書籍 「失敗の本質」 に見るガラパゴス化とイノベーション


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下記の表は、名著 失敗の本質 - 日本軍の組織論的研究 で指摘された太平洋戦争 (大東亜戦争) 時の日本軍と米軍の戦略と組織特性の比較です。


引用:失敗の本質 - 日本軍の組織論的研究


日本軍と米軍のそれぞれの特性を並べてみると、相互に関係していることがわかります。日本軍の特性をまとめると次のようになります。

  • 日本軍は戦略には明確なグランドデザインがなく目的があいまいで、短期決戦を好む傾向にあったこと
  • 短期決戦志向のために戦略オプションでは代替案 (戦況が変化した場合のプラン・対応計画) が乏しかった
  • 組織特性においても、人間関係を重視し成果よりも動機や敢闘精神を重視した集団主義

本書がおもしろいのは、6つの戦い (ノモンハン事件、ミッドウェー海戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ海戦、沖縄戦) から上表のような日本軍と米軍の戦略・組織特性比較を明らかにするだけではありません。

さらに深掘りしなぜ日本軍は失敗したのか、そして現在にも活かせる失敗の教訓を残している点にあります。
投稿日 2012/04/08

「勝ち続ける経営」 を続けるマクドナルドのすごさ




マクドナルドが昨年2011年期の既存店売上高は前年比プラス (1.0% 増) であったと発表しています (2012年1月5日) 。


業績は V 字回復


これで2004年から8年連続の対前年プラスです。驚異的とも言える成長を続けているマクドナルドですが、実は2003年までは7年連続のマイナスでした。2004年を堺に V 字回復をしているわけです。


引用:ダイヤモンド・オンライン


V 字成長を牽引しているのが、マクドナルド代表取締役会長兼社長兼 CEO の原田泳幸氏です。今回のエントリーではマクドナルドの経営について取り上げ、何がすごいのかを思ったところを書いてみます。

参考にした本は2冊です。

勝ち続ける経営 - 日本マクドナルド原田泳幸の経営改革論
マクドナルドの経済学
投稿日 2012/04/01

Google Consumer Surveys の価値:グーグルの新しいビジネスモデルはネットリサーチの破壊的イノベーションとなるのか


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グーグルが米国時間2012年3月29日に、新しいビジネスモデルを発表しました。

Google Consumer Surveys というマーケティング調査アンケートによるマネタイズを狙うものです。さすがグーグルと思ってしまう仕組みです。

今回のエントリーは、Google Consumer Surveys の仕組みと価値、要するに何を意味するのか (So what?) 、課題を書いています。
投稿日 2012/03/31

ここ最近考えている4層フレームワークと、コミュニケーションとコンテンツの話

当たり前のように使っているiPhoneや、ツイッターなどのソーシャルメディア。このへんを自分が使いだしたのはここ5年以内くらいであることにふと気づきます。

今から5年前の2007年当時を思い返してみると、携帯電話はケータイと表現される今でいうフィーチャーフォンでした。SNSと言えばmixiだったし、ソーシャルゲームも今ほど話題を呼んではいなかった。当時、ケータイを使って何をしていたかというと、キャリアのメールや電話のコミュニケーションが中心で、今スマホでやっているようなネット閲覧、ソーシャルサービスの利用、あるいは動画などのコンテンツを見る/遊ぶのようなことはほとんどしていなかったはずです。ちょっと話が脱線しますが、最近は「ケータイ」という表現をあまり見なくなったように思います。「スマホ」が多い。もしかしたらケータイという言葉は死語になりつつあるのかも。

2007年と今を比べると、ここ5年くらいで大きく変わったんだなとつくづく思います。その要因をあらためて考えてみると、(1)ネットワークのインフラは高速/大容量通信がコストを下げながら実現され、(2)モバイルデバイスは2007年にiPhoneという新しいスマートフォンの登場とGoogleがAndroid OSの無料オープンにしたことでアンドロイド端末との競争、(3)ツイッターやフェイスブックあるいはGREEやモバゲーなどのプラットフォームが次々につくられ、(4)プラットフォーム上で音楽・動画・ゲームなどのコンテンツプロバイダーが展開する。これら4つの要素:インフラ、デバイス、プラットフォーム、コンテンツプロバイダーの成長や変化がここ5年くらいで多くを変えてしまったのではと思います。

■4層のフレームワーク

この4層は、今の状況がどうなっているのか、あるいは今後はどう変わるのかを考えるために役に立つ切り口だと思っています。例えば2007年くらいというのは、4層は携帯キャリアがほぼ独占できていたように思います。ドコモなんかが典型で、
  • インフラ:ドコモが提供する携帯回線
  • デバイス:ドコモ仕様で携帯製造メーカーが作ったケータイ
  • プラットフォーム:iモード
  • コンテンツプロバイダー:iモード向けに様々なコンテンツを提供
こうして見ると、きれいに囲い込みができていますよね。ドコモ以外の例えばauでもez webというプラットフォームを持っていて、それぞれのキャリアが4層で独自のエコシステムを展開していました。

ところが2012年現在を考えると、4層には様々なプレイヤーが存在しキャリアの影響力は小さくなっている状況がうかがえます。
  • インフラ:キャリアが提供する携帯回線、Wi-Fiなど
  • デバイス:iPhone、Android。スマホやタブレットなど種類も増加。必ずしもキャリアに依存していない
  • プラットフォーム:フェイスブック、ツイッター、グーグル。GREE、モバゲーなどのコンテンツプラットフォーム。LINEなどのコミュニケーションプラットフォーム
  • コンテンツプロバイダー:ソーシャルメディアと連携された音楽/動画、ゲーム、など

最近、仕事でスマホを使うことがあったのですが、発注して新しく届いたアンドロイド端末を使用してみて思ったのは、使うのにあまりキャリアを意識することがなかったことでした。どういうことかと言うと、アカウントはGoogleアカウントで登録し、メールも@docomoではなく@gmailがあれば十分。電話もスカイプとかLINEなどのアプリを使えばいいし、ちょっとしたコミュニケーションだったらフェイスブックからもできてしまう。動画はYouTubeやTEDのアプリで余りあるほど見られるし、ゲームもAngry BirdsとかGREEとかいろんなアプリが用意されている。携帯会社というキャリアは携帯回線の4層で言うインフラ部分くらいです。

■コミュニケーションとコンテンツの2つに

ところで、自分がネット上でやりとりしている情報(データ)は大きく分けてしまうと、コミュニケーションとコンテンツの2つだと思っています。それぞれ具体的には
  • コミュニケーション:通話・メール・チャット。検索した言葉や何を買ったかなど人が発する情報も含む
  • コンテンツ:映画/動画・音楽・ニュースなどの情報やゲームなどのエンターテイメント
ニコニコ動画などは、動画を複数ユーザーで視聴しながらコメントをつけるなどのコミュニケーションの要素もあるので、コミュニケーションとコンテンツの両方を要素を持つ場合もありますが。

大きな方向性として、コミュニケーションは無料化の方向に、コンテンツは無料化と一部有料化に分かれると考えています。コミュニケーションは人と人とのやりとりなので、本来はそこにお金はかからないもの。コミュニケーションをする相手が目の前にいれば直接話すので、特にお金がかかるとかはありません。コミュニケーションを物理的に離れた人と、あるいはメールなどで時間差を使って行なうニーズが起こり、そのためにはコミュニケーションインフラを使うことになった。インフラ構築/維持にコストがかかるのでその分をユーザーが負担するため、携帯電話で電話をしたりメールを送るのに相応の料金が発生しています。

それが、技術の進歩やビジネスモデルを工夫することで無料で使える様々なコミュニケーションサービスがでてきています。電話であれば、スカイプやLINE、Viber、050プラスなどは基本無料。メールもドコモなどの携帯キャリアが提供するアカウントではなくGmailを使えばタダ。これが前述のコミュニケーションが無料化する流れです。

次にコンテンツの無料化と一部有料化。無料コンテンツの代表例は天気や電車/交通情報、ニュースなどでしょう。ニュースは日経や朝日が有料化に積極的ですが、国内外の出来事をざっと知るくらいであれば無料で手に入ってしまいます。これに比べ、お金を払ってでも見たい/遊びたいコンテンツは有料モデルが成立します。有料モデルとはユーザーへの課金モデルのことで、身近な例ではソーシャルゲームが当てはまります。もちろん基本無料で遊べますが、ゲームにハマってしまうと有料アイテムを使うケースも増えユーザーへの課金が発生します。逆に言えば、ユーザーはゲーム内のアイテムにお金を払ってでも遊びたい、ゲームを続けたいというニーズです。有料コンテンツは海外のほうが整備されている印象で、NetflixやHuluなどの有料動画サービス、Spotifyといった課金モデルの音楽サービスなど。無料登録だけでも利用できますが、有料会員になることでより便利に使えるようになります。フりーミアムモデルとも呼ばれている世界です。

■4層への影響

コミュニケーションの無料化と、コンテンツは無料化/有料化は、4層それぞれに影響を与えます。

インフラ:無料コミュニケーションにシフトしコンテンツ使用のためのデータ通信量が増大。ドコモやauなどの通信障害がたびたび発生しましたが、今後も増え続けるスマホユーザーとユーザーごとの利用データ量のダブルで増えるのでインフラ構築コストがかさみます。それに耐えられなくなったときに定額制がデータ従量制になるかもしれません。ネットワークの中立性という継続課題もあります。

デバイス:コミュニケーションとコンテンツ利用をするには不可欠なデバイス。スマホは先進国だけではなく低価格で多機能な端末提供されると新興国でもユーザーが爆発的に増えそうです。PCはないけどモバイルはある、コミュニケーションインフラが整っていない新興国ではモバイルでのコミュニケーションが無料というのは大きい。その後はゲームなどのコンテンツユーザーも増えるのでビジネスチャンスは広がりそうです。

プラットフォーム:コミュニケーションやコンテンツを提供するプラットフォーム。人間関係が構築されるフェイスブック、人間関係+興味のツイッター、ビジネスでの人間関係のリンクトイン。グローバル展開を加速させているGREEやモバゲーなどのゲームコンテンツプラットフォーム。プラットフォーム上ではコミュニケーションが行われ、ユーザーはコンテンツを利用する。無料サービスは今のところ広告モデルで成立させ、一部コンテンツを有料化するというビジネスモデルです。

コンテンツプロバイダー:同じコンテンツでも利用範囲が制限される無料版は広告モデルで、より便利なサービスは有料版でコンテンツを提供します。コンテンツが、お金を払ってでも利用したくなるようなプレミアムなものと、CGM(Consumer Generated Media:消費者生成メディア)などの無料で利用できるものに分かれていく。

■最後に

冒頭で2007年と2012年現在を比べましたが、5年後の2017年には今とは大きく変わっているはずです。変化の幅は07年⇒12年よりもっと大きく変わっているかもしれません。「そういえばあのころはフェイスブックとかあったよね」みたいな会話をすることになるのかもしれません。人間関係のプラットフォームは今のところはフェイスブックですが、5年後もそうとは限らないのです。

インフラ、デバイス、プラットフォーム、コンテンツプロバイダーの4層で、これから何が変わり、何が変わらないのか。変化の激しい時代にいますが、表面的なことに振り回されず本質を見落とさないようにしたいものです。

投稿日 2012/03/24

ドラッカーとチキンラーメンから考えるイノベーション




ドラッカーは、著書である マネジメント - 基本と原則 において、企業の目的を 「顧客を創造することである」 と定義しています。企業の基本的な機能は、マーケティングとイノベーションの2つと言います。


1. マーケティング

ドラッカーは、マーケティングは顧客の欲求を考えることから始めよと説きます。顧客は何を買いたいのか、顧客が求めている価値は何かです。


2. イノベーション

ドラッカーはイノベーションとは 「いまだかつで誰も行ったことがないことを行なうこと。誰も知らないことをすること」 だと言います。

科学や技術そのものでではなく価値であり、組織の中だけではなく、組織の外にもたらす変化です。イノベーションの尺度は外の世界にいかに影響を与えられるかであると言っています。


世界初のインスタントラーメン商品 「チキンラーメン」


これはイノベーションだと思うのは、チキンラーメンです。
投稿日 2012/02/18

Screenwise panel から考える Google の本質、貪欲なまでのデータ至上主義




以下のモデル図は、グーグルとユーザーの関係を簡単に表したものです。グーグルは、ユーザーに無料で検索・Gmail・YouTube などの様々なサービスを提供しています。




グーグルが得ているのは、膨大なユーザーデータです。それをさらなるサービスの利便性向上や、グーグルの主要事業であるネット広告事業に活かしています。

ユーザーは利便性を享受し、グーグルも集めたデータを有効活用し、収益化しているというウィンウィンが成立しています。
投稿日 2012/02/11

なぜ 「10分1000円」 の QB ハウスに人は並ぶのか




ヘアカットの QB ハウスは 「10分1000円」 というわかりやすいメッセージで訴求しています。

自分の通勤で使う駅に QB ハウスがあります。平日休日ともにカット待ちの人が並んでいます。なぜ並んでまで QB ハウスなんだろうと思い、試しに行ってみることにしました。
投稿日 2012/01/14

Googleがソーシャル検索にシフトするのはウェブの世界が変わりつつあるから

グーグルがソーシャル検索という新しい検索機能をリリースしました。
Search, plus Your World|Official Google Blog



■3つのソーシャル検索機能

ソーシャル検索とは、検索結果をパーソナライズ化(個人への最適化)することであり、同じ検索をしても人によって異なる結果が返ってくるものです。なぜ各個人で結果が変わるかというと、例えばユーザーの属性情報(性別・年齢・居住地域・等)、ネット行動情報(閲覧履歴)、ソーシャルネットワークのユーザー同士のつながりや行動(発信情報、いいね/+1)、などの情報も考慮され検索結果を返すからです。今回グーグルが発表したソーシャル検索ではGoogle+での情報を検索と統合するようで、具体的に新しく追加されたのは3つです:Personal Results、Profiles in Search、People and Page

1.Personal Results
グーグルプラス内での友人と共有している情報やグーグルの写真共有サービスのPicasa情報が検索結果として表示される機能。例えば「沖縄」と検索すると、G+内で沖縄に関する情報を発信した友人が表示されたり、友達がピカサでアップした沖縄の写真が検索結果に表示されます。これらの情報はその友達とG+でつながっていない限りは検索結果のページ上位には表示されないので、検索結果がパーソナライズ化されていると言えます。検索結果はPersonalとPublicというボタンを使い分けることで、ソーシャル検索のON/OFFができるようです。

2.Profiles in Search
これから会う人だったりの名前を直接グーグルで検索する場合、検索結果にその人のGoogle+でのプロフィール(顔写真も)が表示される機能。イメージとしてはフェイスブックの友人検索に近い感じ。

3.People and Page
検索キーワードに関係性の強い人やGoogle+ページが表示され、その場でフォローできるもの。ここで言うフォローとは、Google+のAdd to circlesのこと。例えば「Music」と検索するとMusicに関連する著名人のGoogle+アカウントやGoogle+ページが表示されるようになるとのこと。

参考記事:Googleが、Google+連携でソーシャル検索を実現。ここ数年で最も大きな検索の進化と発表|in the looop

■指摘されている問題点2つ

発表されたグーグルのソーシャル検索については、問題点を指摘する声もあります。大きくは2つで、ソーシャルの情報ソースの偏りとプライバシー。情報ソースの偏りとは、要するにGoogle+やPicasaなどのグーグルの情報のみが検索結果に反映され、ツイッターやフェイスブックでソーシャル情報は対象外となっていること。ツイッターはグーグルのソーシャル検索を公式に批判しており、「この変更はサイト運営者、ニュース事業者、Twitterユーザーその他全員の不利益になる」と主張しています。(参考:Twitter、Google+とGoogle検索との連携を激しく攻撃|TechCrunch Japan

グーグルが今回の発表を「Search, plus Your World」と表現していますが、グーグルの言うYour Worldとは結局はグーグル内の世界にすぎないじゃないか、ということ。この主張は理解できると思っていて、グーグルの使命に「世界中の情報を整理しアクセスできるようにすること」がありますが、今回整理されたのはGoogle+の情報のみ。多くの人がそうだと思いますが、ソーシャル系でよく使うのはツイッターだったりフェイスブックなわけで、その情報が検索結果に反映されないのであれば、パーソナライズ化された検索結果と言って果たしていいのかどうか。どこまで「あなただけの検索結果」を返してくれるのかに疑問だったりします。

もう1つの指摘されている問題点はプライバシーで、検索結果をパーソナライズすることで、Google+のユーザーの個人データがさらにアクセスしやすくなってしまい、プライバシー問題が生じるという懸念です。(参考:プライバシー保護団体がグーグル「Search plus Your World」に異議|CNET Japan

■なぜGoogleはソーシャル検索なのか

ここからは、「なぜグーグルはソーシャル検索を強化するのか」について考えてみます。色々考えてみて自分の現時点での結論としては、「ウェブの世界が変わりつつあり、その変化に対応せざるを得なかったから」だと思っています。

ウェブの変化について。ウェブの特徴は双方向性だと思っていますが、双方向の例として各ウェブページ同士がリンクによりつながっています。様々なページがリンクされることでページごとの関係性が見えてきます。これを検索に応用したのが、グーグルがサイトの評価に用いているページランク。グーグルがやっているのは、あらゆるサイトを自動クロールさせることで各ページ内情報とリンク情報を収集・整理(インデックス化)し、検索キーワードに関連がある順番に検索結果として表示させています。

で、変化というのは、ソーシャルメディアが広く普及したことで、ウェブの世界にはユーザー同士が直接つながるという、これまでのページ単位でのリンクとは異なるリンクが存在するようになったということです。もちろん従来もウェブ上でユーザー同士のやりとりなどのつながりは存在していましたが、ユーザーアカウントが直接つながるソーシャルグラフが形成されてきた、というのがここでいうウェブ世界での変化。

グーグルの「世界中の情報を整理する」ことを実現するためには、これまでサイト情報を収集・整理していた方法では捉えきれなくなりつつあると思います。グーグルはフェイスブック内情報を全て捕捉しておらず、ツイッター情報も10年7月でグーグルのリアルタイム検索が突然終了してしまったように検索対象としては不十分な状況です。

しかし、この状況がこのまま続いてしまうと、グーグルの情報整理の対象がウェブの一部分になってしまう。これではグーグルは困るわけです。グーグルの基幹サービスは検索にあり、グーグルのビジネスモデルは、無料で検索や各種サービスを提供⇒Googleユーザー増⇒検索結果や各種サービス(Gメール等)に連動する広告から収入を得る、という確固たるもので、このモデルは今後もしばらくはマネタイズの主役であり続けるでしょう。ところが、上記のようなウェブの変化に対応しないと、このモデルが崩れかねない状況です。だからここ最近のグーグルの動きは、これまで独立していた様々なサービスをGoogle+をソーシャルを中心に据えた統合をものすごい勢いで進めているのだと思います。大きな視点に立つと、今回のソーシャル検索も検索サービス自体をGoogle+と統合したことを意味します。
Google+でプロダクト全体最適を進めるグーグル|思考の整理日記

■ソーシャル検索への期待。理想と現実

ソーシャル検索というコンセプト自体は実現されれば便利な機能になると思います。「実現されれば」とあえて書いたのは、現時点では少なくとも自分の場合はソーシャル検索が便利とはまだまだ思えず、それは今回のグーグルのソーシャル機能も同様です。Google+でのつながりはツイッターやフェイスブックでのそれに比べて少なく、その情報が検索結果に反映されても自分の求める情報が得られるのはごくわずかなケースに限られます。すなわち、Google+だけの情報がソーシャル検索結果のソースとなるのは不十分なのです。かと言ってツイッターやフェイスブックとの連携も簡単ではない。ここにグーグルのジレンマを感じるし、だから独自のソーシャルであるGoogle+を核とした形をつくらざるを得ないのではと思います。

グーグルの理想は全世界の70億人の人々がGoogle+やグーグルのいろんなサービスを使ってくれること。そうすれば人のつながりでも世界中の情報が整理できます。一方で、それは現時点では非常に難しいことも彼らは理解しているはずで、その中でどう情報やデータを集めるのか。Google+としては単純なユーザー数を追うのではなく、グーグルサービスをG+で統合することで最低限必要なウェブの世界の情報を取ることに注力しているのかもしれません。グーグルの新しいソーシャル検索はhttps://www.google.comでしか使えない(日本のgoogle.co.jpではまだ)ので取組みとしては始まったばかりですが、検索のパーソナライズ化は今後も注目しておきたいです。


※参考情報

Search, plus Your World|Official Google Blog
Googleが、Google+連携でソーシャル検索を実現。ここ数年で最も大きな検索の進化と発表|in the looop
Twitter、Google+とGoogle検索との連携を激しく攻撃|TechCrunch Japan
Googleの言う「あなたの世界」は、Google+だけの世界|TechCrunch Japan
プライバシー保護団体がグーグル「Search plus Your World」に異議|CNET Japan
プライバシー保護団体、グーグル新検索機能の調査をFTCに要請|CNET Japan
Google+でプロダクト全体最適を進めるグーグル|思考の整理日記


Search, plus Your World|YouTube

投稿日 2011/11/19

Google+でプロダクト全体最適を進めるグーグル

Googleと言えばネットで何かを検索する時には当たり前のように使いますが、それ以外のサービスも色々と利用していることに気づきます。仕事とプライベートのスケジュール管理にはGoogleカレンダーは外せないですし、他にもGmail、Google Reader、Googleドキュメント、などと挙げていくと1つのアカウントで様々なグーグルサービスを活用しています。
投稿日 2011/10/22

Amazon に期待したい 「書籍 + iTunes Match」 という読書体験

ようやくという感じですが、わくわくするニュースです。日経新聞の報道によると、アマゾンが年内にも日本での電子書籍事業に参入するとのことです。

参考:アマゾン、年内にも日本で電子書籍 出版社と価格詰め|日本経済新聞


日経が単独でスクープをするようなニュースはやや不安になることもあるのですが、記事を見ると PHP 研究所とは契約に合意し、小学館、集英社、講談社、新潮社などととも現在交渉中とわりと具体的に書かれています。アマゾンの電子書籍での日本進出が今度こそはと期待できる内容です。


3層で強みを持つ Amazon


すでに日本国内では電子書籍の市場は存在し、少なくない企業が参入を果たしている状況で、具体的には下の表のような状況です(引用:上記日経記事)。

市場規模は650億円程度(10年度)で、書籍・雑誌全体での約2兆円規模に比べるとまだまだ小さい印象です(数字は同じく日経記事から)。




ニーズがあると思われるににもかかわらず普及が進まないと思うは、以下の3層それぞれでユーザーにとって魅力を感じないからではないです。

  • そもそも電子書籍というコンテンツが少ない
  • 電子書籍端末の互換性も十分ではない
  • 購入するマーケットも乱立している

コンテンツ、端末、マーケットプラットフォームの3つで十分とは言えません。紙の本を買う方が総合的には良く、それに比べて電子書籍で読むということにメリットが感じられないのです。

アマゾンであれば違います。もちろん、前述のような幅広い出版社との契約合意が前提ですが、電子書籍は自社サイトを通じて提供されます。

パソコンだけではなく、タプレットやモバイルからブラウザかアプリのどちらからでも買えます。端末についても、専用のキンドルがあり、キンドルを持っていなくても iPhone や iPad 、Android 用のアプリも提供しているので、幅広い端末から読むことができます。

アマゾンのジェフ・ベゾス CEO は端末やサービスを普及させることを重視し、利益の回収は普及後でいいという経営戦略の持ち主です。

アマゾンから販売されるタブレットである Kindle Fire の定価は199ドルです。製造コストはそれ以上の209ドルではないかという情報もあります。これは1台売るごとに10ドルの赤字が発生します。

参考:Amazon’s $199 Kindle Fire Costs $209.63 to Make [STUDY]|Mashable


これは1例ですが、日本においても参入すると決めた以上は、コンテンツ、端末、マーケットというアマゾンの電子書籍サービスをまずは普及させるような展開をしてくるはずです。アマゾンの国内参入は、ようやく本命がきたかと期待したくなります。


Apple が提供する iTunes Match の意味


これは現在はアメリカのみ利用可能なのですが、「iTunes Match」 というアップルのサービスがあります。

iTunes Match は、自分が持っている CD から iTunes に取り込んだ音楽を、iTunes ミュージックストアで提供している楽曲と照合させ、マッチすればその曲は iPhone・iPad・iPod などの全端末でダウンロードできるようになるというものです。iTunes に入っている自分で CD から取り込んだ曲でも、全てミュージックストアから買ったものとして扱われることになります。

iTunes Match が興味深いのはその考え方にあります。

iTunes マッチがなければ、すでに CD で取り込んだ曲でも同じ曲を iTunes ミュージックストアから買ってダウンロードする場合、1曲150円等のコンテンツ料金が発生します。CD もダウンロードも同じ曲にもかかわらずです。

ところが iTunes マッチでは、「すでに CD で買っているから、同じ曲をミュージックストアからも別途金額は発生せずにダウンロードできます」 という考え方です。同じ曲に CD とダウンロードとに二重でお金を払うのではなく、「その曲を聴く権利を買う」 というものです。


 「書籍 + iTunes Match」 という読書体験


電子書籍に話を戻します。

もし iTunes Match のような考え方が電子書籍に適用できればどうなるでしょうか。

考え方は 「その本を読む権利を買う」 です。今手元にある書籍を紙の本を買っていれば、電子書籍版でも同じ本が手に入るというイメージです。

この本を読む権利を買ったということなので、一度紙で買えば電子版を別途料金で払う必要がなくなります。逆のパターンもあり得るので、電子版を先に買って紙の本を後から無料で入手することもできます。仕組みは、アマゾンの個人 ID で紐付し、どの本を買っているかの管理することになります。

電子書籍を読んでいての印象ですが、電子書籍には紙の本と比べたメリットとデメリットがそれぞれあり、どちらの形式が絶対的に良いという感じではありません。

紙は持ち運びや本の中から必要な情報を取り出すのに難がありますが、速読性や全体像の把握は紙が勝ります。電子書籍コンテンツや媒体はまだまだこれから仕組みも技術も進化するのでしょうが、それでも紙の本は一定程度は存続するでしょう。

書籍でも iTunes Match のような仕組みがあれば、魅力的です。読書をするシーンや目的に合った読書体験が用意され、各個人それぞれがストレスなく享受できます。アマゾンには、読みたい時に読みたい環境で読めるという読書体験の実現を期待したいです。

投稿日 2011/09/17

やっぱりグーグル先生の考えることはすごい。Google ローカルショッピングという挑戦

グーグルが実店舗の商品の価格や在庫情報を検索できる「Googleローカルショッピング」の提供を開始したと発表しました(11/9/16)。

参考:Google ショッピングで実店舗の商品を検索|Google Japan Blog


Google ローカルショッピングとは


このサービス内容をもう少し見てみます。


(引用:ヨドバシやマツキヨの商品、1200店の価格をグーグルで在庫情報も|日本経済新聞(2011/9/16))

上図は日経新聞からの引用ですが、現時点ではヨドバシカメラやマツモトキヨシホールディングス、良品計画など流通大手7社と組み、全国の実際の店舗にある商品価格や在庫情報をネット上で見られるようになっています。

Google マップと連携することでその店がどこにあるかや、電話番号・店舗までのルートも表示します。

実店舗での販売商品だけでなく、ネット通販サイトでの価格・在庫情報もわかるので、ユーザーは実際の店舗からネット上の店舗まで商品情報を簡単に比較することができます。

Google ローカルショッピングは無料でユーザーに提供されています。そして、小売の参加料も無料のようなので、グーグルにとっては直接このサービスでお金を稼ぐという位置づけではないようです(ページ上の広告表示はありますが)。

ここにグーグルの哲学を見ることができます。

あくまで情報を集めてきて整理をし、それを使うユーザーを増やすという考え方。つまり、「世界中の情報を整理する」というミッションに沿って、マネタイズはユーザーを増やすことでそこに表示させる広告効果を高めることを通じて実現するというものです。

このローカルショッピングの特徴だと思うのが、店舗の商品価格や在庫情報を小売側から提供を受けている点です。

というのも、グーグルはどちらかというと情報は自分で集めてくる傾向があり、例えば、Web上の情報はクロールロボットを徘徊させることで、ストリートビューはカメラ付きの自動車を実際に走らせていますし、Googleブックスなんかも自分たちで書籍をスキャンしています。

このようにオンラインもオフラインの情報も自分たちの手で集めているのですが、ローカルショッピングにおいては小売から提供してもらっています。

グーグルは12年末までに参加企業を100社程度まで増やすとしているようですが、拡大するにあたり、「精度を重要視している。急速に拡大したいが、密にやりとりして、クオリティを担保できればやっていくという形でパートナーを増やす」(グーグル プロダクト マネージャーの鈴木宏輔氏)という方針のようです。

参考:実店舗の商品価格や在庫も検索できる「Google ローカルショッピング」|CNET Japan


参加する小売側の狙いは Online to Offline


この CNET の記事にはさらに、ヨドバシカメラ取締役副社長の藤沢和則氏の次のようなコメントがあり、小売側にとっても参加する意義があることがうかがえます。

店頭でスマートフォンを見て、ネット販売の価格と比較して帰ると言う方もいる。(Google)ローカルショッピングで『実際の店舗も安い』と分かってほしい。ネットのほうが実店舗より安いという“都市伝説”を崩していく。

O2O(Online to Offline)という言葉をよく見るようになりました。

意味は、オンライン上にある情報がオフラインでの購買行動に影響を与えるというようなことですが、イメージとしては、お店に買いに行く前に価格コムなどで口コミ情報の価格情報を見て、口コミ評価の高い商品を最安値のお店で買う感じです。

パソコンだけではなくスマートフォンなどのモバイルにも対応していることも考慮すると、Google ローカルショッピングはまさにO2Oを促すサービスです。

上記のヨドバシカメラのコメントも、Online to Offline につなげる内容だということに気づきます。

小売にとってローカルショッピングへの参加は無料とはいえ、グーグルへこれまでは(ネット上には)非公開だった情報を提供することになります。

もちろん、今後は自分たちの競合他社も同様に情報を提供することになる可能性があり、グーグルのサービス上で情報が透明化されることで間違いなく価格などの競争が激しくなるでしょう。ローカルショッピングはまさに小売とグーグルの二人三脚です。


Google の挑戦


Googleローカルショッピングでは商品が、どこに・いくらで・どれだけ売られているかの情報や店舗の地図や電話番号がGoogleマップ上に表示されます。

これをグーグルが整理した情報としてユーザー側に提供する、うまく循環すれば、ローカルショッピングを見たユーザーが店舗に足を運び購入し、次もローカルショッピングを使うという形が生まれます。

何か買う時はグーグル先生にちょっと聞いてみるという人が増え、使用頻度も上がること、そして参加企業も拡大し実店舗からというオフライン情報がさらに集まってくる、これがグーグルが描く当面のゴールイメージでしょう(このへんを KPI で目標設定しているのではと思います)。

あらためてローカルショッピングというサービスを通じてグーグルがやっていることを整理すると、これまでは自力ではなかなか取得できなかった実店舗からの情報を、小売から日々定期的に提供してもらえる仕組みが構築できたことになります。

ネット販売の情報であればオンライン上なので情報を集めやすいことに比べ、集めにくかったオフラインの情報が手に入る。それも小売からオフィシャルな形で。実店舗の情報がオンラインに取り込まれ、Google マップなどの既存のオンラインサービスと連携することで価値が生まれます。

当然ここに Google+ などのグーグルが持っているサービスともつながってくるのではないでしょうか。グーグルにとってはこのローカルショッピングは意味のある一歩だなと感じます。グーグルはまた1つオフラインの情報をオンラインに引き込もうとしているのかもしれません。


※参考情報

Google ショッピングで実店舗の商品を検索|Google Japan Blog
ヨドバシやマツキヨの商品、1200店の価格をグーグルで在庫情報も|日本経済新聞(2011/9/16)
実店舗の商品価格や在庫も検索できる「Google ローカルショッピング」|CNET Japan
ヨドバシやマツキヨなどの店頭在庫をググれる「Googleローカルショッピング」始動|Gigazine
Googleがローカルショッピングの検索機能を公開。近隣店舗の商品価格と在庫情報が調べられる|TechCrunch JAPAN

投稿日 2011/08/07

民放5社×電通のネットテレビは普及するのか?期待したいVODを考えてみる

先日、テレビに関してある発表がありました。民放キー局 5 社と電通が共同でインターネットテレビを来春に実用化するというものです。

電通のプレスリリースでは、「インターネットTV上において、民放各社が主体となった有料課金型のVOD(ビデオ・オン・デマンド)サービスを共同で推進していくことに基本合意」とあります。

参考:民放キー局 5 社と電通が共同でVODサービスを推進|電通


民放5社 × 電通の VOD サービスとは


電通によるリリース内容をもう少し見てみます。

この民放VODは、テレビの価値を向上させるという共通認識のもと、視聴者により多くのテレビ番組への視聴機会を提供することで、テレビ番組の視聴者層を拡大し、テレビ番組のファンを増やそうとするものです。

(中略)

民放VODは、簡単で誰でも使いやすいユーザーインターフェイスを開発し提供することを検討しています。

(中略)

この民放VODを、インターネットTVだけではなく、スマートフォン・タブレット端末などマルチデバイスにも広げ、リアルタイム視聴に繋げる流れを作り出すことにより、テレビの価値の最大化を図っていきます。

リリースでは抽象的な表現にとどめている印象ですが、この方向性は正しいと思います。つまり、TV番組視聴者を増やすために、ユーザーインターフェイスに優れ、TVだけではなくスマホやタブレットPCでも視聴可能としていくというのですから。

もう一つ印象的だったのは、電通が民放5社をとりまとめている点。個人的にこれができるのは電通以外に見当たらないのではと思います。

このニュースを上記のリリース前に報じていたのが日経でした。電子版では同日の午前2時頃に、紙媒体でもその日の朝刊に掲載されていました(テレビでネット動画も自在に 民放5社と電通、来春に|日本経済新聞)。

こちらではVODサービスのイメージ(右図は日経から引用)や課金体系など、少し具体的な内容が報じられています。中身を見ると、少し残念な気持ちになりました。そこに書いてあったのはこの方法で本当に普及するのかという内容だったからです。


普及への3つのハードル


有料課金型VODということでその価格体系ですが、1時間番組が1本300円前後となる予定だそうです。

会員登録をすれば銀行からの引き落としなどで課金されるとのこと。300円を払ってでも見たいような番組がどれくらいあるかというのが、1つ目に感じた普及へのハードルです。

もちろん、関連する動画も見られるという付加価値があるので単純には現在の放送内容との比較はできません。しかし、それにしても番組1本で300円というのはかなり強気な価格設定だと感じます。

サービスを実際に見てみないとなんとも言えませんが、個人的には1ヵ月で10本までは無料、見放題は300円/月くらいのイメージ。これでもVODは使わないかもしれません。

2つ目のハードルがコンテンツです。

日経には、「民放5社合計でドラマやドキュメンタリー、スポーツなど過去に放送した動画は6500本あり、今後増えていく。」とありました。

今後は増えていくことに期待はしたいですが、現時点で5局で番組動画数が6500本というのは少ないです。このVODサービスで期待したいのは、上図にあるようにどれだけ関連する動画と連動するかだと思いますが、コンテンツの量が不足する感が否めません。

コンテンツ数を増やすとともに有料の価値に見合う質も求められますが、個人的には現在TVで放送されている番組の質からすると、300円という価値に見合うかというとちょっと厳しいと感じます。

3つ目のハードルについてです。

現在発売されているテレビではこのサービスを受けられないため、家電数社が来春にも対応機器を発売する方向で準備を進めている点です。TVの買い替えが必須というのは普及には相当にハードルが高いです。

この間、エコポイントやアナログ放送終了に伴う地デジ対応TVの買い替えが大量に発生しています。電通のリリースでは14年度の本格運用を目指しているとありますが、TVの平均使用年数は10年以上というデータもあります(家電リサイクル法の施行状況|経済産業省)

例えば、せめてアップルTVのように既存のTVにつなげるだけでOKとかでないと、この有料VODのためにすぐにTVの買い替えが起きるとはなかなか思えません。

以上3つを整理すると、価格(Price)、コンテンツ(Product)、見るために新しいTVが必要(Place)ということで、マーケティング4Pで言うところのうち、普及には3つのハードルが存在します。(残りのPromotionは、日経がフライング気味で具体的に報じたことで特にネット上で否定的な意見が多いように感じるのはうがった見方かもしれませんが)


なぜ電通はVODサービスに取り組むのか


さて、ここであらためて考えてみたいのが、なぜ電通がこの有料課金型VODを推進するのかという論点です。個人的な印象ですが、民放5社のとりまとめは簡単ではなかったように感じます。それをやってでも電通にとって得られるメリットは何なのかです。

電通のリリースでは「テレビ番組の視聴者層を拡大し、テレビ番組のファンを増やす」とありますが、やはりここにはTV広告を拡大させるという意図があると考えるのが自然だと思います。

そもそもこのVODサービスが純粋に視聴者からの60分番組1本で300円という課金だけで成立するのか、課金+広告というビジネスモデルなのかは現時点では不明ですが、電通が絡んでいることを考えると後者となるように思います。では広告をどんな形で入れてくるのか、実はこのVODのニュース発表の数日前にあるリリースを発表しています。

参考:電通とジュピターテレコム(J:COM) VOD サービスにおける新たな広告モデル『CM 割』を開始|電通


中身を要約すると、JCOMのVODサービスで、企業のCMを視聴すると視聴料が割り引きとなる広告モデル「CM割」を9月1日から3か月間試験的に始めるとのことで、割引は105円。このニュースを報じたAdverTimes(アドタイ)によれば、視聴料は60分のテレビ番組で315円とあります。

参考:CM視聴で視聴料105円割り引き 電通とJCOM、VODで新たな広告モデル|AdverTimes(アドタイ)


60分番組が300円程度。これで電通の意図も見えてくるのではないでしょうか。つまり、これは偶然の一致ではなく、民放5社とのVODを考慮した上での広告モデル構築のためのパイロットテストではないかと思います。

JCOMと取り組んでいる試験サービスでは、既存のTVの広告モデルよりもう一歩踏み込んでいる印象があります。というのは、用意されているCMは60秒~180秒の長尺版で(ジャンルの異なる8つのCMの中から見たいものを1つ選ぶ)、ユーザーは視聴後に簡単なアンケートが用意され、その後に番組視聴となるようです。

電通の説明では、「視聴者は複数業種の中から自ら選んだCMを視聴するので好意を持って見てもらえる。また長尺タイプのCMを見てもらうことで、より商品・ブランド理解につながる」とあります。

個人的には、315円から105円の割引があってもまだ高いように気がしますが、広告無しの視聴を追加で課金するのではなく、広告ありを割引するという「引き算」の発想はなかなかおもしろい試みです。


期待したいVODサービス


最後に、VODサービスに関してあらあめて思うことを少し。今回の発表では民放5×電通という組み合わせでしたが、これが電通ではなく例えばニコニコ動画やYouTubeだとどうなったか、これを少し考えてみます。

YouTubeであれば、ユーザー数という規模のメリットがあります。つまり世界中にユーザーがいる。もちろん日本語のTV番組は基本的には日本語なのですが、

Googleには音声翻訳やYouTubeへの自動字幕表示技術があります。もっと技術精度を上げる必要はありそうですが、この当たりをうまく活用すれば日本語番組を自動的にその国の言語で字幕表示させることも可能になることが期待できます。

参考:Google、音声入力で57言語を翻訳できるアプリ『Google Translate』配信開始|Searchina
参考:YouTube、日本語音声を認識して字幕を自動生成・表示する機能を追加|INTERNET Watch

グローバルに日本のTV番組を配信できるとして、アニメなど日本には有力なコンテンツがあります。あるいは四季折々の日本や文化遺産、観光地としてもアピールできるかもしれません。

民放5社、あるいはNHKも含めた日本のコンテンツ資産をグローバルで普及しているYouTubeと組み合わせることで日本の良さを知ってもらえるかもしれません。

あとはYouTube(Google)、TV局、コンテンツプロバイダー、広告主の各プレイヤー間でうまくマネタイズできる仕組みがあり、ユーザーにとっての優れたユーザーインターフェイスがある。これら価値に見合う価格体系。これくらいの構想であればわくわくします。


※ 参考情報

民放キー局 5 社と電通が共同でVODサービスを推進|電通
テレビでネット動画も自在に 民放5社と電通、来春に|日本経済新聞(11年8月3日)
民放5社が新たなインターネットテレビを来春に実用化、専用テレビも同時発売|GIGAZINE
家電リサイクル法の施行状況|経済産業省
電通とジュピターテレコム(J:COM) VOD サービスにおける新たな広告モデル『CM 割』を開始|電通
CM視聴で視聴料105円割り引き 電通とJCOM、VODで新たな広告モデル|AdverTimes(アドタイ)
Google、音声入力で57言語を翻訳できるアプリ『Google Translate』配信開始|Searchina
YouTube、日本語音声を認識して字幕を自動生成・表示する機能を追加|INTERNET Watch

投稿日 2011/07/30

マクドナルドの経営戦略がおもしろい




日経ビジネスで短期連載されていた 「日本マクドナルド原田泳幸の経済教室」 は興味深い記事でした。マクドナルドの経営手法について、原田氏 (社長・会長 CEO を兼任) 本人が語るというものでした。


原田経営の土台は QSC


第一回で紹介されたのが原田経営の考え方でした。2004年に原田氏が CEO に就任した当時、マクドナルドは7年連続で既存点売上高が落ち続けるという状態でした。

その後、結果的には7年連続で同売上が上がり続けることになり、10年12月期決算では経常利益が上場以来最高益を更新するのですが、どん底であった CEO 就任当時にまず取り組んだことが、「マクドナルドらしさに立ち返ること」 だったそうです。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。