投稿日 2024/05/19

CCC レンチン食堂。アイデアとは 「異なるもの同士」 の組み合わせ

#マーケティング #アイデア創出

今回取り上げるのは、冷凍食品のイメージを変えるレストランです。

このレストランは冷凍食品の可能性を引き出し、今までになかった外食体験をもたらします。

事例からのビジネスへの学びとして、アイデアのつくり方を紐解きます。

CCC の新規事業 「レンチン食堂」 



TSUTAYA や T ポイント、他には蔦屋 (つたや) 家電を生み出したカルチュア・コンビニエンス・クラブ (CCC) がユニークな新規事業を始めました。

2023年12月に大阪市にオープンした、冷凍食品の食べ放題の飲食店 「レンチン食堂」です。

冷凍食品が食べ放題


冷凍食品は200種類以上あり、中堅規模の食品スーパーと同程度の品ぞろえを用意しています。

料金は通常プランの場合、ソフトドリンクの飲み放題も込みで1200円で、45分の制限時間を超過すると15分ごとに600円がかかります。アルコール飲み放題になる1450円のプランもあります (15分ごとの超過料金は725円) 。

パスタやチャーハンのような主食から、唐揚げのようなサイドディッシュ、あるいはお酒のおつまみになるものなど、豊富な種類の冷凍食品を好きなだけ食べられます。好きな冷凍食品を選び、利用者自身が電子レンジで加熱調理します。

冷凍食品に加えて、コンビニやスーパーで売られているアイスも食べられます。


クレーンゲームもある



レンチン食堂のメインは食品やアイスなどの日ごろ食べ慣れている冷凍食品ですが、ゲームも用意されていて、これも魅力の1つです。

店内の一画に設置された無料のクレーンゲームがエンターテインメント要素として、子どもたちの心をつかんでいるようです。クレーンゲームの景品は駄菓子やナッツなどです。

楽しさが話題に


利用者の中には 「今日食べられなかったものを、次回は食べたい」 と感想を口にする人もいたり、SNS では 「制限時間で元を取る」 と意気込む声や攻略法も投稿されています。

レンチン食堂での食べ放題ならではの自由さは、アレンジを楽しむ利用方法も生んでいるようです。たとえば冷凍チャーハンに別のおつまみ商品を加えて食べ応えをアップさせたメニューに仕上げたり、アイス同士を組み合わせて即席ミルクぜんざいをつくるという具合です。


さらに魅力を高めるアイデア


ではここからは、レンチン食堂が扱う冷凍食品に、さらにこういう要素が加われば飲食体験がより魅力的になるのではというアイデアを考えてみます。

来店客にとって価値が高まるということは、たとえばプレミアムプランとして1つ上の価格体系もつくれるはずです。すなわち、価値を上げて価格を上げるというアプローチです。

[案 1] 高級な冷凍食品


コンビニやスーパーで売られている一般的な冷凍食品に加えて、高級な冷食も用意すると料理メニューのバリエーションが広がります。

たとえば帝国ホテルが販売している冷凍食品です。

帝国ホテルの冷凍食品 「エビのマカロニグラタン」 (出典: 帝国ホテル

1食あたり1000円と一般的な冷凍食品に比べれば高価なものが、レンチン食堂でプレミアムプランを払えば食べられるというものです。

[案 2] 有名店などの本格ラーメン


2つ目のアイデアは、有名ラーメン店のラーメンを冷凍食品にしての提供です。

自動調理自販機の Yo-Kai Express (ヨーカイエクスプレス) がすでに展開していますが、ヨーカイエクスプレスでは一風堂などの本格的なラーメンを扱っています (公式サイト) 。

冷凍食品をレンジでチンするのとは少し調理方法が違いますが、レンチン食堂の中に自動調理自販機を設置することが実現できれば、本格的なラーメン提供の無人化ができるでしょう。

[案 3] パン屋さんのパン


3つ目のアイデアは、パン屋さんのパンです。

パンのサブスクはいくつかあり、たとえばパンスクは月額3990円で、毎月全国のベーカリーから選ばれた8個程度の冷凍パンが届く 「パンスク」 というパンの宅配サービスがあります。パンスクで届くパンの種類は、食パンや菓子パン、クロワッサンなど、色とりどりのパンが箱に詰まっています。

利用者は届いたら自宅の冷凍庫にパンを保存しておき、食べたい時に家庭用のトースターで温め直せば、まるで焼きたてのようなおいしいパンが食べられます。

こうしたパンのサブスクとレンチン食堂をかけ合わせれば、レンチン食堂でできたてのパンを食べられるようにできるはずです。


アイデアは異なるもの同士の組み合わせ


ここまで見てきたアイデアを考えたプロセスを一般化すると、アイデアは異なる2つ以上のものをかけ合わせることで生まれるということです。

補助線としてご紹介したいのは、アイデアのつくり方 という本です。


この本のメッセージは3つです。

✓ アイデアのつくり方
  • アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである
  • 新しい組み合わせを作り出す才能は、物事の関連性や奥にある本質を見つけ出す才能に依存する
  • アイデアがつくられるプロセスは、「情報収集 → 情報の消化 → 孵化 (寝かせる) → 誕生 → 検証と発展」 

これら3つのポイントを順番に補足すると、アイデアとは何かと何かの組み合わせであり、組み合わせるためには共通する本質を見出すことが大事です。

組み合わせる時のポイントは、アイデアの種になる集めた情報を一度は 「孵化させること」 です。熟成させておくイメージです。

集めた情報をいろいろと考えをめぐらせた後で、いったんは関心の外に置いてしまいます。その間に脳の中では孵化が進み熟成され、ふとした瞬間に別の何かと組み合わさることで、アイデア誕生の瞬間がやってくるわけです。

いかに普段から物事の本質を捉えて、本質レベルでの共通点からつながるようにして準備万全の状態にしておくことが大事です。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。