投稿日 2022/03/04

AI レコメンダー自販機に学ぶ、部分最適なマーケティングにならない方法


今回は、AI が利用者のことを分析して、おすすめの商品を教えてくれる自動販売機を取り上げます。

✓ この記事でわかること
  • AI レコメンダー自販機とは?
  • 開発背景と2つの提供価値
  • 部分最適と全体最適
  • その打ち手は売上につながっているか?

おもしろいと思った AI 自販機をご紹介し、学べることを見ていきます。

具体的には目的につなげることの重要性という内容で、逆に言えば、知らず知らずのうちに部分最適なマーケティングにならないためには、どうすればいいかです。

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

AI レコメンダー自販機


ご紹介したいのは、AI が利用者の顔を分析し、おすすめの化粧品を教えてくれる自販機です。

凸版印刷が開発をした 「AI レコメンダー自販機」 です。

出典: 凸版印刷

提供価値


AI が人の顔を認識し、1人ひとりに合わせた化粧品の組み合わせやメーク方法、商品を提供してくれます。

出典: 凸版印刷

この自販機は 「KATE iCON BOX」 という名前で、顔の分析結果をもとに26色の単色アイシャドーから4色を提案し、さらにメーク方法を画面で紹介します。また、利用者に合わせたオリジナルのアイシャドーパレットをつくってくれます。

おすすめ商品を気に入れば、自販機から商品を出してレジに行き支払いをします。将来的には自販機で決済まで完了できるようにするとのことです。

利用者への提供価値を整理すると、次の2つです。

✓ AI レコメンダー自販機の提供価値
  • AI で顔を分析し1人ひとりに合った化粧品をすすめてくれ、メーク方法も教えてくれる
  • その場で商品が手に入る (店内でおすすめ商品を探す必要がない)

開発背景


開発背景は、これまでは AI から商品を提案しても購入につながりにくかったことでした。

というのは、提案した場所と商品が置かれている棚の場所が離れていたので、お客さんは移動して自分で探さなければいけませんでした。提案はできるものの、売上につながっていなかったわけです。

そこで凸版印刷は AI 技術を使った顔の印象分析、おすすめ商品やメーク方法の提案、商品の提供までを、全て1つの自販機で完了できるようにしました。AI レコメンド自販機は提案した商品がその場で出てきて、あとはレジで会計すればいいので購入を促しやすいです。


学べること


では最後に今回のまとめとして、 AI レコメンダー自販機から学べることを見ていきましょう。

一言で表現すれば、学びは 「その打ち手は売上につながっているか」 を常に考える重要性です。

狭い視野と部分最適


人は目の前のことに注力するあまり、視野が狭くなってしまうことがあります。集中できていると言えば聞こえはいいですが、弊害があり、部分最適になってしまうことです。

今回の AI レコメンダー自販機の事例に当てはめれば、1人ひとりに合わせたおすすめの商品の提案は、ここだけを見れば利用者に役に立ってはいました。しかし、売上を得るというビジネスの目的からすると、レコメンド商品を紹介をしても商品が売れなければ、全体最適とは言えません。

打ち手は目的に合っているか


自らに問わないといけないのは、今回の例で言えば 「AI による顔分析とおすすめ商品提示という打ち手は、売上につながっているのか」 や 「この打ち手をどう変えれば購入に結びつくのか」 です。

より一般化して表現をすれば、 「自分がやろうとしている・やっていることは目的に沿っているか」 「ゴールに向かってどうつながっているか」 に答えを出せることです。

こうした意識が AI レコメンド自販機から学べることで、部分最適なマーケティングの打ち手にならないために大事です。

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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。