出典: キッコーマン
今回のテーマは商品開発です。
✓ この記事でわかること
- キッコーマン 「具鍋 (ぐーなべ) 」 がヒット
- 開発のきっかけは食卓の変化から
- マーケットインとプロダクトアウトのハイブリッド
人気の食品シリーズを取り上げ、商品開発に学べることをマーケティングの観点も入れながら見ていきます。
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
キッコーマン 「具鍋」 シリーズ
今回ご紹介したいのは、キッコーマン 「具鍋 (ぐーなべ) 」 です。
出典: キッコーマン
味は3種類あり、豚キムチ、豚ねぎ塩、豚すきです。
個包装タイプの4袋入りで、1人鍋だけでなく複数での鍋物に使えます。
好調な売上
以下は日経新聞の記事からの引用です。
商品のコンセプトが消費者に受け入れられ、21年8月に発売し、11月までのキッコーマンのパウチ商品の鍋つゆ商品は前年比3割増と、コロナの影響で売り上げを伸ばした20年を大きく上回るペースで推移しているという。
開発のきっかけ
先ほどの日経記事によれば、開発のきっかけになったのは消費者の変化です。具体的には食卓が変わったことに注目したからでした。
開発のきっかけはコロナ下での消費者の鍋物消費の変化だ。
どんな食品を購入し、どんな食材・メニューを食卓に並べたかをモニター調査して分析する 「食 MAP」 サービスを手掛けるライフスケープマーケティング (東京・千代田) のデータをキッコーマンが分析したところ、家庭での食事機会が増えたことで鍋が食卓に並ぶ回数は19年比で20年は1.2倍に増加。平日に限ると登場回数は休日の約1.4倍になるという。
食卓での登場回数が増える一方で、鍋物の具材は減っていることも分かった。個包装タイプの和風鍋つゆを使った場合、20年度の具材の数は平日で5年前に比べ3分の2に減っていた。
巣ごもり消費の拡大を受けてミツカンなど大手とのシェア争いが激化している鍋つゆ市場。「味以外のポイントで差別化するため、鍋の食べられ方に着目した」 という。
マーケットインとプロダクトアウトの両立
キッコーマン 「具鍋」 の商品開発は、マーケティングの観点からも興味深いです。
というのはマーケットインとプロダクトアウトの両方が入っているからです。
マーケットインとプロダクトアウトとは
マーケットインとは起点はマーケットです。具体的には想定するお客のニーズ、潜在的な不満や望み、顧客インサイトを満たす商品・サービスを作って展開します。
一方のプロダクトアウトとは、矢印の向きは逆です。発想は自社の技術やアイデア、自分たちが良いと思うものをお客さんに売っていくアプローチです。プロダクトという商品やサービスが起点になります。
キッコーマン 「具鍋」 のマーケットイン
開発のきっかけは、消費者の食卓で鍋料理が増えていることを発見したからでした。一方で鍋に入れる具材は減っている事実も見出しました。生活者の食事シーンから新商品の着想を得ています。
ここにマーケットインのアプローチがあります。
キッコーマン 「具鍋」 のプロダクトアウト
興味深いのは、鍋の登場回数が増えたものの、具材の数が減ったことをそのまま受け取らなかったことです。
具が減少したから 「具材を少なくした鍋つゆを売ろう」 ではなく、むしろ逆の捉え方をして 「具がしっかり入った鍋つゆを作ろう」 と捉えました。プロダクトアウト的な発想です。
学べること
では最後に、キッコーマン 「具鍋」 から学べることを整理してみましょう。
結論から先に言うと、学びは 「マーケットインとプロダクトアウトの両方を取り入れよう」 です。
どちらか片方だけではなく2つを両立させることが望ましいです。
マーケットインだけでは、ともすると単にお客さんの御用聞きのような、言われたことをただやるだけになってしまいます。またマーケットインだけでは競合他社との差異化もつくりにくいです。
そこでプロダクトアウトを入れるわけです。ベースにあるのはマーケットインからの顧客理解ですが、そこに自分たちの意志や想い、技術や知見を入れます。
マーケットインとプロダクトアウトの両方があることで、ターゲット顧客の不満や望みを理解し、自分たちならではの方法で満たし、独自の提供価値につながります。
まとめ
今回はキッコーマン 「具鍋」 を取り上げ、マーケティングや商品開発に学べることを見てきました。
最後にまとめです。
マーケットインとプロダクトアウトの両立
- マーケットインだけでは、単にお客さんから言われたことをやるだけになってしまう。競合他社との差異化もつくりにくい
- 自分たちの意志や想い、技術や知見をプロダクトアウトで入れる
- ターゲット顧客の不満や望みを理解し、自分たちならではの方法で満たし、独自の価値を提供しよう
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