投稿日 2022/03/08

複数 EC での購入商品をまとめて送ってくれるサービスに見る、提供価値を見極める方法


今回のキーワードは、提供価値と価格の2つです。

✓ この記事でわかること
  • 複数での EC サイト購入商品をまとめて送ってくれるサービス
  • 利用者メリットは?
  • 課題はサービス料金
  • 価格とベネフィットの天びん
  • 自分たちの提供価値を見極める方法

おもしろいと思った EC 利用者向けサービスを取り上げ、提供価値と価格という観点から学べることを掘り下げています。

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

複数 EC での購入商品をまとめて送ってくれるサービス


今回ご紹介したいサービスが 「send on.com」 です (公式サイトはこちら) 。

日経新聞の記事に取り上げられていたので、一部を引用しますね。

物流・倉庫業などを手掛けるIBトータルサービス (千葉県市川市) は、複数の電子商取引 (EC) サイトで購入した商品を一括で消費者に発送するサービスを始めた。利用者が購入した複数の商品を自社グループの倉庫に集約し、まとめて送る。

 (中略) 

2021年9月から海外在住者向けに始めた荷物のとりまとめサービス 「send on.com」 を、同年12月に国内向けに拡大した。

もともとは、海外在住者が日本の通販サイトで購入した際、商品をまとめて海外に発送することで配送料の負担を減らしていた。コロナ下でネット通販の利用が増えているため、国内の消費者向けにも展開することにした。

EC サイトで注文した商品の流れは、次の図のようになります。

出典: 日経


 「EC 注文の不」 と 「send on.com の利用メリット」 


個人的に時々あることなのですが、異なる EC サイトで同時期に色々と買いものをすると、商品がバラバラのタイミングで送られてきます。

同じ日の午前と午後に1日に複数回で受け取ることもあり、面倒に感じてしまいます (自分の買った商品が手に入り、自宅に届けてもらっているので、面倒という気持ちが生まれるのは筋違いな気もしますが) 。

send on.com を使えば商品を取りまとめてくれるので、受け取りは1回だけで済みます。配送業者にとっても、宅配の回数が減るメリットがあります。


利用料金が高い…


個人的に思った課題感は、利用者が支払う料金が高いことです。得られるベネフィットと価格を天びんにかけると、価格が高いと感じます。

料金は、公式サイトにあったガイドラインによれば、

  • 商品 (配送物) の重さによって 700円 ~ 3800円
  • 登録料が荷物1個ごとに150円
  • 複数の荷物を1つにまとめる追加料金が別途550円

1度の利用で合計で少なくとも1500円以上かかります (2022年3月現在) 。

send on.com は元々は海外向けで、日本の EC サイトで購入した海外在住者をターゲット顧客に、日本から海外への発送から受け取りまでを対応してくれるサービスでした。これを日本国内で横展開するサービスで新たに開始されたのが、今回の事例です。

海外在住の人にとっては、お金を払ってでもまとめて配送してくれることに価値があったわけですが、日本国内で見た時に、先ほどの料金を払ってでも使いたいと思う人は、どれぐらいいるかは興味深いです。


学べること


では最後に、send on.com から学べることを整理してみましょう。

一言で表現すれば、学びは 「自分たちの提供価値は、お金を払ってでも欲しいと思われるものかを見極めよう」 です。

別の捉え方をすれば、商品やサービスの必要度合い、どれだけ愛着を持ってもらえているかです。

度合いが、「無料なら使ってもいい」 「あればいい」 程度なのか、それとも 「ないと困る」 「お金を払ってでも必要」 「これからも続けて欲しいから応援の気持ちも込めて料金を支払う」 のような深いレベルかです。

お金を払うかどうかは唯一絶対のものさしではありませんが、提供価値を客観的に判断する尺度になります。


まとめ


今回は、複数の EC サイトで購入した商品をまとめて送ってくれるサービスを取り上げ、マーケティングの観点から学べることについて見てきました。

最後にまとめです。

提供価値を見極める方法
  • 自分たちの商品・サービスは 「お金を払ってでも欲しい」 と思われるものかを見極めよう
  • お金を払うかどうかは、提供価値を客観的に判断する尺度になる
  • 「無料なら使ってもいい」 「あればいい」 なのか、それとも 「お金を払ってでも必要」 「これからも続けて欲しいから応援の気持ちも込めて料金を支払う」 のような深いレベルか


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。