今回は、マーケティングリサーチでのインタビュー調査の話です。
✓ この記事でわかること
- Think with Google のマーケティングリサーチの記事
- インタビューで聞けなかったこと
- 買い物での罪悪感とは?
- 相手に聞けなかったことから 「答え」 を見出す方法
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
インタビューで聞けなかったこと
Google のオウンドメディア Think with Google の記事を読みました。
定性調査から良質なインサイトをどう導くのか:今こそ考えたい 「マーケティングリサーチ」 の本質
考えさせられたのは、「インタビュー調査では、聞けなかったことの中にこそ答えがある」 と書かれていたことです。
少し長いですが、以下は該当箇所の引用です。
定性調査の評価が分かれるもう 1 つの理由は、現場で聞いたことがそのまま結果になる訳ではなく、むしろ聞けなかったことの中にこそ答えがあるという点があります。
たとえば以前、オンラインショッピングにおける消費者のインサイトを探るために、実店舗と EC サイトでの普段の買い物の実態を調査したことがあります。さまざまな家庭を訪問し、普段の買い物についての考えを聞き、さらに実店舗で買うものと EC で買うものを聞いたうえでその両方の買い物に同行するというものでした。
ある女性に話を聞いたところ、EC では趣味のアロマテラピーに関連するものは買うが、一般消費財の買い物では EC を利用しないと答えてくれました。理由は、いつもの店で実物を見て買い物をしたいからとのことでした。もちろんそれは本心だったと思いますが、その後スマートフォンで EC サイトの閲覧履歴を見せてもらったところ、柔軟剤や消臭剤などを時折 EC で購入していることがわかったのです。
この人は嘘をついたのでしょうか。そうではありません。このズレが生じた理由の 1 つは、私たちが 「普段」 と聞いたことでした。つまり、この女性にとって 「時折購入する柔軟剤や消臭剤」 は 「普段」 の買い物ではないという認識だったのです。そしてもう 1 つの理由は、彼女は消費財の購入を EC で済ませることに対して、無意識のうちに罪悪感があったためです。このため買い物行動の記憶にふたをしていたのです。
これがまさに 「聞けなかったことの中にこそ、答えがある」 ということです。定性調査だからこそ、この女性の話を深掘りでき、オンラインショッピングで済ませてしまうことへの罪悪感に気づくことができました。そして結果的に、この罪悪感はその人特有のものではないこともわかりました。
聞けなかった、つまりインタビュー対象者が話さなかったのは、インタビューをする側とされる側で 「普段」 という言葉の捉え方が違っていたからです。
またここが興味深いところで、対象者の女性は、消費財の購入を EC で済ませることに無意識のにも罪悪感があり、ここに話してくれなかった要因があったのです。
この罪悪感が具体的に何を指しているのか、なぜ買い物に罪の意識を覚えるのかは、記事にはそれ以上は書かれていませんでしたが、買い物での罪悪感とは一体何でしょうか?
買い物での罪悪感
例えば買う必要がなかったものを、ただ安売りがされていたり、期間限定で今しか買えないだけの理由で買ってしまうと、後から後悔をしてしまうこともあります。これは罪悪感と見ることができます。
一方で、先ほどの EC 購入の話で 「EC で購入を済ませることへの罪悪感」 とは何なのでしょうか。EC という買う手段や経路によって、どんな罪悪感が生まれるのでしょうか?
これは推測でしかありませんが、実物をお店で確認して買いたいのに EC サイトの情報だけで買ったことへの罪悪感です。
なんとなくズルをした自分と、EC 購入後に自宅に商品が届き、初めて実物を目にした時のイメージとの違いに、買ったことへの後悔と罪悪感を覚えるのかもしれません。
「答え」 を見出す方法
インタビューで知りたいことの答えが、「インタビュー対象者から聞けなかったことの中にある」 とは、対象者は直接答えを教えてくれないことを意味します。つまり、インタビューをする側 (マーケター) が自ら答えを発見する必要があるということです。
先ほど EC 購入での罪悪感を掘り下げてみましたが、このプロセスをインタビュー中やインタビュー後に何度も色々な推測や考察を行ったり来たりを繰り返します。このプロセスによって、インタビュー相手が自覚していなかったり、気づいているが言葉で説明できないこと、あるいは罪悪感という人に言いたくない本音を理解していきます。
掘り下げた後に見えてくる消費者理解と事前の想定を覆す新しい切り口が、「答え」 につながっていくのです。
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