今回は、マーケティングとマーケティングリサーチの関係、2つの役割の違いについてです。
✓ この記事でわかること
- マーケティングとマーケティングリサーチの関係
- マーケターの役割
- リサーチャーの役割
- マーケター視点もあるリサーチャー
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
マーケティングとマーケティングリサーチの役割
まずは、そもそもの2つの関係性から見ていきましょう。
一言で言えば、マーケティングの目的達成のためにマーケティングリサーチがあります。
リサーチは手段
一般的にマーケティングの目的を達成するためには、解決しなければいけない問題が存在します。
問題解決への意思決定プロセスに貢献するのがマーケティングリサーチです。つまり、マーケティングの問題を解決するための手段としてリサーチがあるわけです。
流れを整理すると、
- マーケティングリサーチを実施
- リサーチからの情報 (分析結果, 示唆, 提言) をマーケティングに提供
- マーケティングでの意思決定に活用される
- 問題解決によってマーケティングの目的達成につながる
具体例
例えば、新商品の立ち上げを成功させ、事業を成長させるというマーケティングの目的があったとします。
しかし、マーケティングから新商品の訴求をしたいのですが、新商品のターゲット顧客の理解が浅いために、適切なマーケティング戦略がつくれず、施策に落とし込めないという問題があったとしましょう。
ここでマーケティングリサーチの出番です。調査からターゲット顧客を理解し、見込み客が何を求めているのか、明確なニーズにはまだなっていない奥にある気持ち、隠れている不満、顧客インサイトを掘り下げます。
リサーチからわかったことをマーケティングに共有し、マーケティング戦略と施策への意思決定プロセスに活用されると、マーケティングリサーチはマーケティングに貢献できます。
マーケターとリサーチャーの役割
以上のマーケティングとマーケティングリサーチの関係を前提に、マーケターとマーケティングリサーチャーの役割について整理してみましょう。
マーケターの役割
結論から先に言うと、マーケターの役割は次の5つです。
✓ マーケターの役割
- 顧客理解
- ソリューションの具体化
- コミュニケーションからの自分ごと化
- ブランド構築とコアファン化
- 顧客の成功や幸せの実現
5つの役割の補足
順番に補足をすると、マーケターに求められる1つ目の役割は、顧客が求めていること、時には顧客自身も自覚できていない気持ちを見極めることです。
明確な 「欲しい」 というニーズであれば分かりやすいですが、必ずしもそう簡単ではありません。そうと気づかされて初めて 「これが欲しかった」 と思う顧客の奥にある気持ちの理解です。
2つ目の役割は 「顧客へのソリューションの具体化」 です。顧客理解が仮にできたとして、気持ちや隠れた欲求を満たす方法を自分たちが実現しないといけません。
顧客の無自覚な奥の気持ちを叶えるために、ソリューションという方針を商品やサービスに具体化します。そして、戦略を実行するマーケティング施策をつくるのもマーケターの役割です。
3つ目の役割 「コミュニケーションからの自分ごと化」 について、顧客理解をしてソリューションを実現できたとしても、まだ道半ばです。 お客さんにそもそもの自社商品・サービスの存在を知ってもらわなければ、買ってもらったり利用されることはありません。
コミュニケーションを通じて、顧客に自分たちが提供する商品やサービスのことを知ってもらいます。単に名前を認知されているだけではなく、商品やサービスの特徴を理解してもらいます。
認知と興味喚起、理解促進から自分ごと化され、買いたい気持ちを生み、実際に買って使ってもらうのです。このような認知から利用までのいくつものハードルを越える必要があります。
4つ目は 「ブランド構築とコアファン化」 です。
顧客にソリューションを提供するのは自社だけではありません。他社から競合商品やサービスが存在する中で、自分たちの比較優位を見出し、顧客に認識を持ってもらいます。顧客の頭の中にある商品・サービスへの認識がポジショニングです。
認識が表面的なものではなく、商品やサービスを使ってのユーザー体験から好ましい感情移入がされれば、商品・サービスはブランドになります。
ここまで見てきたマーケターの役割である 「顧客理解」 「ソリューション」 「コミュニケーション」 から提供価値を上げ続け、商品やサービスをブランドにし、その結果としてファンであり続けてもらえるのです。
マーケターの役割の5つ目は、「顧客の成功や幸せを実現させること」 です。
マーケティングは、もっと言えばどんなビジネスも顧客がいて初めて成立します。ビジネスが存続できるのも、お客さんから自分たちが選ばれ続けるからです。
お客が選ぶのは、価値があるからです。価値が得られると、お客さんはその商品やサービスがなければできない 「望み」 が叶い、「困りごと」 が解消されます。つまり、お客の成功や幸せにつながるわけです。
マーケターの存在意義は、突き詰めると 「お客さんの成功や幸せの実現」 なのです。
リサーチャーの役割
マーケティングリサーチはマーケティングの一部と捉えるので、マーケティングリサーチャーが担うのは、マーケターが上記5つを進めるために必要で重要な情報の提示です。
「必要で重要な」 とは、マーケティングの意思決定に貢献する情報です。
例えば1つ目の 「顧客理解」 では、現状の顧客理解に対して、何を知ると良いのか、もし知りたいことが分かれば、どうマーケティングの意思決定や実行に活用できるかを明確にします。ゴールから逆算して、マーケティングリサーチ課題と仮説を設定します。
マーケティングリサーチを行い、マーケティングでの意思決定や実行に使える情報 (分析結果, 得られた示唆, 提言) を伝えます。
これが顧客理解についてですが、マーケターの役割の他の4つである 「ソリューションの具体化」 「コミュニケーション」 「ブランド構築とコアファン化」 「顧客の成功や幸せの実現」 も同様です。マーケティングの効果を最大限にするために、必要で重要な情報をマーケティングに共有するのがリサーチャーの役割です。
マーケター視点を持つリサーチャー
最後にもう1つだけ、マーケティングリサーチャーの姿勢についてです。
マーケティングリサーチャーは、マーケターの立場やものの見方もできると良いです。
マーケティングリサーチャーの直接の役割はリサーチだとしても、リサーチの上位概念であるマーケティングの理論や専門ノウハウ、最新事例、自社やクライアントのマーケティングの取り巻く状況を少しでも理解し、マーケティングリサーチ業務に注力できるリサーチャーが理想です。
リサーチャーでありながら、仮想的にはマーケターとしての振る舞いや思考ができるイメージです。
まとめ
今回は、マーケティングとマーケティングリサーチについてでした。
最後にまとめです。
マーケティングとマーケティングリサーチの役割
- マーケティングの目的達成のためにマーケティングリサーチがある
- リサーチはマーケティングの問題を解決するための手段で、問題解決の意思決定プロセスに貢献する
マーケターの役割
- 顧客理解
- ソリューションの具体化
- コミュニケーションからの自分ごと化
- ブランド構築とコアファン化
- 顧客の成功や幸せの実現
マーケティングリサーチャーの役割
- マーケティングリサーチで知りたいことが分かれば、どのようにマーケティングの意思決定や実行に活用できるかを明確にする
- ゴールから逆算しリサーチ課題と仮説を設定する
- リサーチを行い、マーケティングでの意思決定や実行に使える情報 (分析結果, 得られた示唆, 提言) を提供する
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