今回のテーマは、DX です。
✓ この記事でわかること
- ツルハドラッグのデジタル販促施策
- DX を実現する3つのポイント
- DX の本質とは?
おもしろいと思ったツルハドラッグの取り組みをご紹介し、DX の観点から何を意味するのかを掘り下げています。
事例から、DX の実現ポイント、DX の本質は何かに迫れる内容になればと思います。よかったら最後までぜひ読んでみてください。
DX を実現するポイント
先に結論からで、DX 実現のポイントは次の3つです。
✓ DX を実現するポイント
- アナログのデジタル化
- プロセス省力化とコスト効率化
- 価値創出
今回の記事では、ツルハドラッグのデジタル販促施策を取り上げ、この3つのポイントに当てはめて DX を紐解いていきます。
ツルハドラッグのデジタル販促施策
以下の記事がおもしろかったです。
店舗キャンペーンのデジタル化で応募数が倍増。ツルハドラッグが取り組む小売 DX の劇的効果|ITmedia
この記事では、itsmon (いつもん) というレシートサービスをドラッグストア大手のツルハドラッグが全社で導入し、販促施策への活用事例が書かれていました (いつもんの公式サイトはこちら) 。
いつもんにはレシート特化型の AI-OCR が実装されていて、レシート情報が高精度で読み取れます。
AI がレシートの構造を解析し、数字の意味合いも読み取れる (出典: ITmedia)
ではここからは、DX 実現のポイントに当てはめて見ていきましょう。
✓ DX を実現するポイント (再掲)
- アナログのデジタル化
- プロセス省力化とコスト効率化
- 価値創出
アナログのデジタル化
1つ目の DX 実現のポイントは、「アナログのデジタル化」 です。
以下は先ほどの記事からの引用です。
ツルハドラッグが2020年6月、itsmon レシートをチェーン全体で導入した。その背景には 「販促キャンペーンのデジタル化」に対する課題があったという。
加藤氏は 「購入必須型の販促キャンペーンを実施する際は、これまで基本的にはがきを利用していました。スマホアプリでポイントカードを運用しているにもかかわらず、キャンペーンだけはアナログで課題を感じていました」 と当時を振り返る。
(中略)
20年春に itsmon レシートがレシート特化型の 「AI-OCR」 機能を搭載。
AI の深層学習を利用して、購入日時・購入店舗・購入商品・購入点数・商品の購入金額・合計金額・決済手段まで読み取れるようになった。さらに、従来の OCR では対応できなかった、それぞれの情報を組み合わせた複雑な条件でのリアルタイム判定を実現した。
これまではツルハは、キャンペーンに紙の応募はがきを使っていました。ここに 「いつもん」 のレシートサービスを導入したことで、販促施策がデジタル化されたわけです。
プロセス省力化とコスト効率化
2つ目の DX 実現ポイントが 「省力化と効率化」 です。
購入必須型のキャンペーンは、対象商品を購入した客が店舗に設置してある応募ハガキにレシートを貼り付け、事務局宛に郵送する方式が一般的。これでは来店客の負担になる上、事務局側も集計の負担が大きくなる。全てを手作業でチェックする必要があるので、数万件の応募があれば、処理にかかる時間も人的コストも膨大だ。
さらに、データを解析するノウハウがないため、せっかくデータを集めてもほとんど活用できていない現状があった。事務局の運営自体は外部に委託していたものの、「明らかに大変な作業量でした」 と加藤氏は話す。
(中略)
ツルハドラッグでは月4 ~ 5回程度、年間にして60 ~ 100回もの販促キャンペーンを展開しているという。それらをデジタル化できれば、コストを大きく圧縮できることは想像に難くない。
(中略)
コスト面も導入の後押しとなった。他社サービスと比較すると費用を抑えて繰り返しキャンペーンを実施できる。キャンペーン数の多いツルハドラッグにとっては、コストメリットが大きいのも強みだった。
従来の紙でのキャンペーン応募はがきは、ツルハのキャンペーン事務局は手作業で対応していました。ここをデジタル化し、作業プロセスが省力化され、人件費などのコスト圧縮にもなりました。
応募をする生活者のほうも、スマホアプリでサクッとできます。
価値創出
DX を実現するポイントの3つ目は 「価値創出」 です。
ツルハは、いつもんのレシートからのレポート機能を効果的に活用しています。
キャンペーンの効果をレポートで確認し、次回のキャンペーンに活かしています。デジタル化したことによって PDCA が回るようになったのです。
レポートはツルハにとってだけではなく、キャンペーンを一緒にタイアップするメーカーにも恩恵があります。さらにツルハの来店者 (生活者) にとっても、よりお得に買いものができます。
もう少し見ていくために記事から引用すると、
さらに 「itsmon レシートにはレポーティング機能がついている点も決め手の1つだった」 と加藤氏は語る。
itsmon レシートでは、性別、年代、地域のユーザー情報、流入経路の情報など、レシートの読み取り結果から把握できる情報を元に、無料でレポーティングが実施される。データ活用によってキャンペーンの効果測定ができれば、次回以降のキャンペーンに生かすことができると考えた。
(中略)
「集めたデータを分析することで、アナログ集計では分からなかった新たな発見があります。対象商品カテゴリーやカテゴリーの組み合わせ、告知方法などによってキャンペーンの効果が変わるため、メーカーさまとのタイアップ案件でより効果が出やすいスキームを提案できるようになりました」 (増子氏)
itsmon レシートを活用することで、ツルハドラッグは来店促進につなげることができ、メーカー企業は販促しやすくなり、さらに消費者(ツルハドラッグのお客さま)もよりお得に買い物できるようになった。1つのサービスが 「三方良し」 ならぬ 「全方良し」 を実現した好例といえるだろう。
以上のように販促キャンペーンをデジタル化したことで、ツルハ (小売) 、メーカー、生活者の全てに価値を生み出しているのです。
DX の本質
では最後に、ここまで見てきた DX 実現の3つのポイントから、DX の本質は何かを掘り下げてみましょう。
結論から先に言えば、DX とは 「事業や経営のコア領域をデジタル化し、ビジネスモデルを進化させること」 です。
DX の X は Transformation で、日本語に訳すと 「変革すること」 を意味します。DX とはビジネスモデルを抜本的に変える手段なのです。
自分たちのビジネスのやり方、お客さんへの価値提供と収益化の仕組みを進化させ、人や組織を変えるのが DX です。
今回取り上げたツルハのデジタル販促施策は、ドラッグストアでの買いもの体験を進化させ、生活者、メーカー、小売の全てに価値をもたらしていて、小売 DX の良い事例です。
まとめ
今回はツルハドラッグのデジタル販促施策から、DX の本質は何かを掘り下げました。
最後にまとめです。
DX を実現するポイント
- アナログのデジタル化
- プロセス省力化とコスト効率化
- 価値創出
DX の本質
- DX とは事業や経営のコア領域をデジタル化し、ビジネスモデルを進化させること
- 自社のビジネスのやり方、お客さんへの価値提供と収益化の仕組みを進化させ、人や組織を変える手段
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