投稿日 2022/03/10

粉末飲料 「ブレンディ ザリットル」 に学ぶ、環境の変化をビジネスの成功につなげる方法

出典: AGF

今回のテーマは、変化を捉えてビジネス機会をどうやって活かすかです。

✓ この記事でわかること
  • 粉末タイプの飲料 「ブレンディ ザリットル」 が好調
  • ヒットの理由
  • 環境変化とビジネスチャンス
  • OODA ループで変化をチャンスにする方法

おもしろいと思った商品を取り上げ、環境や生活者の変化をうまく捉え、成功につなげる方法を掘り下げています。

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

粉末飲料 「ブレンディ ザリットル」 


ご紹介したいのは、味の素 AGF の粉末タイプの飲料です。名前は ブレンディ ザリットル です。

出典: AGF

売上が好調


日経新聞によれば売上は好調とのことで、以下は記事からの引用です。

味の素 AGF が2021年2月に発売した粉末飲料 「ブレンディ ザリットル」 シリーズが好調だ。

1リットルの水に溶ける粉末状の即席飲料で、コーヒーや緑茶、烏龍茶などを展開する。飲み物を自宅にストックする機会が増えたコロナ禍の 「巣ごもり消費」 を捉え、30 ~ 40代の家族連れなどに好評だ。2021年4月 ~ 2022年1月の売上高は計画比約2倍で推移している。

開発の背景


同じ記事に、開発の背景も書かれています。

開発を担当したリテールビジネス部マーケティング第1グループ、グループ長代理の土屋洋人さんは 「業務用で得た知見を、家庭用でも生かせないかと考えた」 という。

商品開発のタイミングは、新型コロナウイルスの感染拡大の時期とちょうど重なった。コロナ下で 「巣ごもり」 消費が広がり、お茶をはじめとする大容量ペットボトルのストック需要が拡大した。

ただ消費者からは大容量ボトルに対して 「重くて持ち運ぶのが大変」 「保管場所をとられる」 「ごみがかさばる」 との声も聞かれた。その点、スティックだと軽く場所もとらない。「商機はある」 (土屋さん) と考えた。

家庭で使う水差し (ピッチャー) を調査すると、よく利用されているのは1.3 ~ 1.6リットルサイズ。かつては2リットルサイズも目立ったが、世帯人数の減少などでピッチャーの小型化が進んでいることが分かった。そこでスティック1本で1リットルの飲料ができる商品を開発。発売後は家族連れに加え、一人暮らしの若年層の支持も集めているという。

ヒット理由


では、ブレンディ ザリットルがヒットしている理由を掘り下げていきましょう。

結論から言うと、ヒット理由は 「変化を捉え、自らのビジネス機会を見出たこと」 です。

ここで言う変化とは、生活者を取り巻く環境、人々の生活スタイル、ものの見方や価値観の変容です。環境の変化によって生活者には新しい課題感 (不便や不都合なこと) が生まれました。

具体的には今回の事例では、巣ごもり消費が浸透したことで、大容量のペットボトルの買い置きをする人が増えました。しかし、ここに次のような問題が生じたのです。

✓ 新たに生まれた問題
  • ペットボトルを買って自宅に持ち帰るのが重い
  • ネット注文をしても、届いた後に玄関先から台所などへの移動が大変
  • 保管場所をとって邪魔になる
  • ペットボトルのゴミがかさばる

ブレンディ ザリットルは粉末タイプなので、こうした生活者の 「不」 を解消します。ここにヒット理由があります。


学べること


では最後に、ブレンディ ザリットルから学べることを整理してみましょう。

一言で表現をすれば、学びは 「環境の変化を受け入れ、自分たちのビジネス機会にしよう」 です。

市場が変化しつつある時はチャンスです。とりわけ市場でトップシェアを取っていないプレイヤーにとっては、市場でのポジショニングを変える機会になります。現在進行で、その変化がまだ定着していない状況では、適応したプレーヤーが機会をものにできます。

では、環境の変化をどのように捉え、どうすれば成功につなげられるのでしょうか?


OODA ループの活用


ヒントとしてご紹介したいのは OODA ループです。

OODA ループとは、意思決定と実行のプロセスです。OODA は4つの頭文字です。

✓ OODA ループ
  • Observe (観察) : 情報を収集し観察する
  • Orient (状況判断) : 収集した情報を解釈し、意味合いを考える
  • Decide (意思決定) : 状況判断にもとづいて決断をする
  • Act (行動) : 実際の行動に移す

OODA のプロセスをつなげて表現をすると、環境変化を観察し、自分たちのビジネスの文脈で意味合いを理解します。そこから戦略や実行への意思決定をし、打ち手を実行します。

このループを何度もまわしていくと、ブレンディ ザリットルで見たような環境の変化を捉え、機会発見から成功につなげられます。


まとめ


今回は粉末タイプのお茶の飲料 「ブレンディ ザリットル」 を取り上げ、マーケティングの観点から学べることを見てきました。

最後にまとめです。

環境変化とビジネス機会
  • 生活者を取り巻く環境、人々の生活スタイル、ものの見方や価値観が変わると、新しい問題や課題感が生まれる
  • 市場が変化しつつある時はチャンス。変化がまだ定着していない状況では、適応したプレーヤーが機会をものにできる

機会を成功につなげる方法
  • 市場環境の変化を捉え成功につなげるために OODA ループを活用するといい
  • 環境変化を観察し、自分たちのビジネスの文脈で意味合いを理解します。そこから戦略や実行への意思決定をし、打ち手を実行する
  • このループを何度もまわし、環境の変化を捉え、機会発見から成功につなげられる


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。