なぜお客さんは、その商品を選ぶのでしょうか？
お客さんの中で ｢これでいい｣ から ｢これがいい｣ へと変わるその瞬間に、顧客心理の真実が隠されています。
今回は、商品がお客さんの心を動かす存在になるための秘訣を探ります。
ファミフェス
出典: 日経クロストレンド
ファミリーマートが、コンビニ業界初となるフェス ｢FamilyMart FEST. (ファミフェス) ｣ を、2023年11月30日に開催しました。
たった1日だけ現れた理想のファミマの店内には、オリジナルのアパレル ｢コンビニエンスウェア｣ を含めたファミマのオリジナルブランド商品が並びました。多様なモデルの人たちがその周りを歩くファッションショーもあり、ファミマが目指す ｢新しい価値づくり｣ をアピールしたイベントです。
ファミリーマートによれば、今後発売予定の新商品などを出品することで、｢未来のファミリーマートを先取りしてご覧いただけるようなつくりにした｣ とのことです (参考記事) 。
たとえば目玉の1つであったコンビニエンスウェアについて、新商品として様々なラインナップを取りそろえることで、全身のコーディネートができるブランドを目指す意気込みを示しています。その狙いは、いつでも買える ｢間に合わせの商品｣ からの脱却と、ファミマの商品が ｢あえて選ばれる存在になること｣ です。
学べること
ではファミマの取り組みから、学べることを掘り下げていきましょう。
選ばれる理由をつくる重要性
ファミマの事例からマーケティングへの学びは、お客さんから選ばれる理由をつくることの重要性です。
お客さんからの商品への評価として、｢これでいい｣ と ｢これがいい｣ とでは、文字にすれば "で" と "が" の違いですが、2つの意味合いはマーケティングの文脈では異なる意味を持ちます。後者の ｢これがいい｣ という、積極的にお客さんから選ばれる状況をつくることがマーケティングでやっていくことです。
そのためには、他ではなく自分たちの商品が選ばれる理由があることが必要になります。選ばれるためには、そこにしかなかったり、その商品でしか得られない価値があることが大事です。
ファミマが目指していること
ファミマは、一般的なコンビニ商品に見られる ｢間に合わせ購入｣ 、別の表現をすれば ｢これでいいかな｣ という売られている商品をただ消極的に選ぶ購買ではなく、｢ファミマのこの商品が欲しい｣ と消費者に思ってもらえることを目指しています。
具体的には、ファミマのオリジナルのアパレル ｢コンビニエンスウェア｣ がそれです。シャツ、パンツ、靴下まで各種をそろえることで、全身のコーディネートができるブランドと位置づけています。
他にはコクヨとのコラボした文房具です。実用性を押さえつつ、おしゃれなデザインに仕上がったファミマの商品です。
マーケティングの本質
では最後に、あらためてマーケティングの本質について考えてみましょう。
マーケティングとは ｢お客さんから選ばれる理由をつくること｣ です。
お客さんから選ばれるためには、その商品にはお客さんが自分のお金を払ってでも欲しいと感じる価値があることが必要です。価値とは強みでもあり、競争力のある ｢選ばれる理由｣ のことです。
お客さんから選ばれるには、偶然に頼るのではなく意図的にその状況をつくることが大事です。
そのためには、機能性や利便性に加えて、デザイン、ストーリーを組み合わせて、そこに価値に見合った価格感を打ち出し、他にはない独自の価値、つまり強みをつくり出すことが求められます。ここにマーケティングの役割があり、また本質であると言えます。
マーケティングとはお客さんから選ばれる理由をつくる活動全般です。偶然に選ばれるのではなく、意図的に選ばれる確率を高め、選ばれ続ける状況をつくるのがマーケティングで目指すことです。
まとめ
今回はファミマの事例を取り上げ、学べることを見てきました。
最後にポイントをまとめておきます。
- お客さんから選ばれる理由をつくる。商品について ｢これでいい｣ から ｢これがいい｣ となるために、つまりお客さんに積極的に選ばれるためには、その商品にしかない価値があることが大事
- マーケティングとはお客さんから選ばれる理由をつくる活動全般。偶然にお客さんから選ばれるのを期待するのではなく、意図的にお客さんから選ばれる理由をつくっていく
- 機能性や利便性、デザインやストーリーなどの組み合わせ、買いたいと思ってもらえる価格設定から独自の価値を創造する
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