今回取り上げるのは文具です。自動で芯が出る "再ノック不要" のシャープペンをご紹介します。
この事例から学べるのは、顧客目線になっての ｢コンセプトのつくり方や価値の伝え方｣ です。ぜひ一緒にその秘訣を探っていきましょう。
自動で芯が出る "再ノック不要" のシャープペン
出典: ぺんてる
2023年の日経 MJ ヒット商品番付の前頭11枚目に入ったのが、ぺんてるのシャープペンシル ｢オレンズ AT デュアルグリップタイプ｣ です。
特徴は、一度ノックすれば自動で芯が出てくる機能があり、残り芯が短くなるまでノックをすることなく書き続けることができます。
シャープペンシルを日常的に使う中高生の間で知名度を高め、発売から10ヶ月で世界累計出荷本数は約33万本になりました (参考記事) 。
学べること
では、ぺんてるのシャープペンシル ｢オレンズ AT デュアルグリップタイプ｣ から、学べることを掘り下げていきましょう。
顧客価値を言語化したコンセプト
ぺんてるの事例で注目したいのは ｢言い換え｣ です。
ノックが不要で自動的にシャー芯が出てくることのユーザー価値を ｢思考を止めないシャープペン｣ とコンセプトにして、ユーザーメリットをしっかりと言語化しました。
ぺんてるのシャープペンシルのターゲット顧客である中高生にとって、勉強中の集中力の維持は重要なことです。中高生以外にも仕事で文字や図を紙に書きたいビジネスパーソンも同様でしょう。
こうした文脈では ｢思考を止めない｣ というコンセプトは、勉強や仕事中に書くことに集中できという価値を強調しています。商品の技術的特徴や機能ではなく、利用者にもたらすベネフィットや価値に重点を置くことで、中高生やビジネスパーソンのニーズに魅力的に訴えかけているのです。
顧客メリットへの言い換え
ぺんてるの事例は、商品特徴を把握し顧客メリットに言い換えることの重要性を示しています。
ぺんてるは、商品コンセプトは単なる機能の説明ではなく、その商品を使用することでの体験や価値に焦点を当てました。
ここでのポイントは、売り手視点から買い手視点･使い手視点に切り替えていることです。その商品を使うことが、お客さんにとってどんな価値や意味があるのかを、お客さんの文脈に沿って言い換えることが大事なのです。
マーケティングの役割
商品の価値をいかに高めるかにマーケティングの役割があります。
単に商品の機能をリストアップするだけではなく、それらの特徴がどのようにお客さんの日常生活にポジティブな影響を与えるか、お客さんの文脈に沿った価値になるかです。
ぺんてるの場合は、シャープペンシルの芯が自動で出るという機能が、書くことでの体験や得られる便益を明確にコンセプトにしたことで、単なる筆記具以上の価値を提案しています。
お客さんが商品を使っての体験や感情に光を当て、お客さんにとっての本当の価値を伝えることがマーケティングでは大事なのです。
まとめ
今回は、ぺんてるの自動で芯が出る "再ノック不要" のシャープペンを取り上げ、学べることを見てきました。
最後にポイントをまとめておきます。
- ぺんてるは、ノックが不要で自動的にシャー芯が出てくるこシャープペンシルの商品コンセプトを、単なる機能の説明ではなく、その商品を使用することでの体験や価値に捉え直した
- その商品を使うことが、お客さんにとってどんな価値や意味合いがあるかを売り手視点から買い手視点に切り替え、お客さんの文脈に沿って言い換えて提案しよう
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