投稿日 2024/03/05

スタバに学ぶ、マーケティングとブランディングの本質的な違い

#マーケティング #ブランディング

マーケティングとブランディング、一見似ているようで実は本質的な違いがあります。

今回は2つが異なるアプローチをとることを、スターバックスの事例に当てはめて、マーケティングとブランディングの違いについて紐解きます。

マーケティングとブランディング


今回は、マーケティングとブランディングについて考察します。

結論から先にお伝えをすると、マーケティングとブランディングは対極的なアプローチをとります。

マーケティングは、市場を意味する 「Market」 に ing がついて Marketing です。市場に働きかけ、動かし、より良い変化を起こすということです。これを現在進行形で進めていくのがマーケティングです。

一方で、ブランディングは 「Brand」 に ing がつきます。

ブランドは自らの信念や想い、哲学、実現したい世界観が起点になって形成され、最終的にはお客さんの頭の中にできる商品やサービス、あるいは企業全体への認識やイメージです。お客さんにとって 「この商品は自分や世の中にこういう価値がある」 という価値イメージの総体がブランドです。

ブランディングは、自分たちが立てたい旗を掲げ、社会に向かって伝えていくことになります。

マーケティングとブランディングについてまとめると、マーケティングは Market という外側を起点に、ブランディングは Brand という内側からです。起点と向かう矢印が真逆になるのが、マーケティングとブランディングの本質的な違いです。

では、ここまでの話を具体的な事例に当てはめてさらに見ていきましょう。


スターバックス


スターバックスのマーケティングとブランディングについて考察すると、2つの違いが明確になります。

スタバのマーケティングのアプローチ


スターバックスの各店舗では、目の前の1人ひとりの来店客に応じることを重視しています。

店舗では、何がお客さんの 「感情的な価値」 につながる要素かを検証し、相関性を探りながら数値を観測しているとのことです (参考記事) 。

スターバックスでは、店舗でのお客さんの反応というミクロ視点と、各チェーン店舗からの販売データやリピート率など定量データのマクロ視点の両方からお客さんの理解に努めています。これらがスタバのマーケティングのアプローチです。

スタバのブランディングのアプローチ


スターバックスのブランディングへのアプローチは、内から外に向かっています。自らのブランドに対する愛がなければ、商品やコミュニケーションに魂は宿らないという考え方からです。

何かを企画する時は 「なぜそれをスターバックスでやるのか」 という視点を大事にし、商品にしてもコミュニケーションにおいても、強いこだわりや想いを込めています。

自分たちのブランディングの土台となる捉え方、もっと言えば企業カルチャーのようになっているのは、仮にお客さんが感じ取らなくても、「ブランドをつくっていくのは自分たちの強いこだわりから」 という考え方です。

マーケティングとブランディングの相互作用


マーケティングとブランディングについて、両者は異なるアプローチを取ることをスタバを事例に当てはめて見てきました。

整理すると、マーケティングは市場という外側から、市場の動向や顧客のニーズにもとづく戦略を構築する 「外から内へ」 です。

一方で、ブランディングはブランドという内側からのアプローチで、企業の価値観や理念を表現し、お客さんの心に響くブランド像を築き上げる 「内から外へ」 と向かいます。スタバの場合、店舗での1人ひとりへの接客において、ブランディングが体現されています。

スタバのマーケティングとブランディングの組み合わせは、お客さんに対する理解と共感、そして自分たちのブランドへの愛情と情熱にもとづいています。

市場を捉え、自社のブランド価値と結びつけることで、従業員であるパートナー同士、そしてお客さんとの強い関係を築き、既存顧客の満足度や愛着を高め、新しいお客さんを獲得していくことで、ブランドの持続的な成長を促進しているのです

スタバから学べるのは、マーケティングとブランディングがどのように相互作用するかです。


まとめ


今回はスターバックスを取り上げ、マーケティングとブランディングに学べることを見てきました。

最後にポイントをまとめておきます。

  • マーケティングは市場を意味する 「Market」 に ing がついて Marketing 。市場に働きかけ、動かし、より良い変化を起こす。外から内へというアプローチ

  • ブランディングは Brand に ing となり、Brand という内側から外 (お客さん) へと向かう

  • ブランドは自らの信念や想い、哲学、実現したい世界観が起点になって形成され、最終的にはお客さんの頭の中にできる商品やサービス、企業全体への認識。お客さんにとって 「この商品は自分や世の中にこういう価値がある」 という価値イメージの総体がブランド


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。