投稿日 2024/03/16

スーパーマリオワンダーに学ぶ、新規顧客を獲得してビジネスを成長させる方法

#マーケティング #ゲーム #新規顧客の獲得

ビジネスを成長させるためには、新しいお客さんを増やすことが不可欠です。

ではどうすれば、今のビジネスがまだ見ぬお客さんを惹きつけることができるのでしょうか?

今回は、人気ゲームの 「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」 から学べる、新規顧客を獲得する秘訣を紐解きます。

スーパーマリオブラザーズ ワンダー



シリーズ最高のスタートダッシュ


2023年10月に任天堂が発売した、スイッチ向けゲームの 「スーパーマリオブラザーズ ワンダー」 (以下マリオワンダー) が好調です。

任天堂の2024年3月期の第2四半期決算説明会の資料によれば、発売から2週間で世界累計販売本数は430万本に達したとのことです。マリオシリーズでの最高のスタートダッシュでした。

ゲームファンからの評判も高く、発売後すぐに世界で最も権威あるテレビゲームの賞である 「The Game Awards 2023」 の最優秀作品候補にノミネートされました。最優秀作品となる 「ゲーム・オブ・ザ・イヤー」 ではなかったものの、ベストファミリーゲーム賞を受賞し、任天堂の看板ソフトとしての貫禄を見せつけた格好です。

初心者にやさしいゲ-ム設計


マリオワンダーを実際にプレイしての印象は、ゲーム設計がマリオやアクションゲームの初心者にやさしいゲームになっていることです。

たとえば、ゲームに慣れていない人にも使いやすい操作キャラクターが用意されています。

マリオワンダーでは、マリオ、ルイージ、キノピオ、ピーチなどシリーズ最多全12種類のキャラクターを選べます。

これらのキャラクターのうち、初心者向けが 「トッテン」 です。トッテンはマリオやピーチなどと違い、スーパーキノコやファイアフラワーなどのアイテムを取っても変身できない代わりに、トッテンは敵キャラと接触してもノーダメージという設定です。また、トゲトゲの床の上もそのまま走り抜けることができるという、無敵キャラになっているのです (ただし穴や溶岩に落ちると死んでしまいます) 。

他には 「ヨッシー」 も特徴的です。トッテンと同じように敵キャラに当たってもダメージは受けません。

また、ヨッシーは舌を伸ばし敵キャラを食べることができます。落下中にボタンを押せば、ふんばりジャンプという浮き上がることができるので、穴に落ちそうになっても、挽回できることもあります。

ヨッシーの背中にマリオなどの別のキャラを乗せられるので、ゲーム内の難しいシーンでは、ゲームに慣れない人のキャラをうまい人が操作するヨッシーの背中に乗せて、先へ連れて行ってあげるといった遊び方もできます。

誰かが失敗するとゲームがより楽しくなる


一般的なアクションゲームを複数人で同時プレーをすると、もしメンバーの中に初心者がいれば、どうしてもゲームのテンポがお互いに合わなくなります。

初心者はすぐにミスをして操作キャラがやられてしまうため、そのたびにゲームが中断します。中上級者からすると 「そんな簡単なところでつまづくなよ」 と文句の1つも言いたくなるでしょう。次第にゲームがつまらなくなり、一方の初心者は萎縮してしまいます。

しかしマリオワンダーは、そうはならないゲーム設計になっています。むしろ上手ではない人がいるほど、ゲームは盛り上がるようにつくられています。

複数人でプレーしていて、そのうちの1人がミスをしても 「救済措置」 が用意されています。複数プレー時では、ミスして穴に落ちてしまっても死なず、幽霊のような状態になって他のプレイヤーの周囲をふわふわとさまよえます。一定時間内に、他のプレーヤーが幽霊キャラにタッチすれば、もとに復活できるという仕組みです。

お互いに 「なんで、こんなところで死ぬんだよ!」 とか 「死んだから早く助けてー!」 のような会話が自然と生まれ、初心者は罪悪感がなく、中上級者は助けることで感謝されながら気持ちよく協力プレーができるわけです。

こうした細かいところまで、1つ1つ積み重ねている初心者向けの配慮が、マリオワンダーの特徴です。

CM では親子プレーをアピール


マリオワンダーの CM も興味深いです。ゲーム初心者の遊び方のストーリーとして、親子でのプレーを描いていました。

CM の主人公は、初めてゲーム機に触れる小さな女の子です。お父さんから 「コントローラーはこう握るんだよ」 「ボタンはこうやって押すんだよ」 と、1つずつ教わりながら、一緒にマリオワンダーのゲームを進めていきます。

また、これとは別の CM では4人みんなでプレイし、お互いに助け合うシーンが微笑ましく描かれています。


任天堂が CM に込めたメッセージは、「初めてゲームに触れる子どもでも楽しめるゲーム」 「ゲームがうまくなくても楽しめる」 、「子どもと一緒にプレーすると、親子で笑顔になれる」 というものです。


マリオワンダーに学べること


ではゲームのマリオワンダーから、ビジネスに学べることを掘り下げていきましょう。

新しいお客さんの獲得


ビジネスを成長させるためには、ライトユーザーやノンユーザーを獲得することによって顧客数を増やしていくことが大事です。

そのためにはカテゴリー自体の初級者、マリオの例で言えばアクションゲームの初心者への配慮が欠かせません。初心者でも経験者と同じように楽しめることが重要になってくるのです。

カテゴリーやブランドの初心者への配慮


マリオワンダーでは操作キャラクターから遊び方まで、マリオのようなアクションゲームに不慣れな人にも配慮されていました。大人から小さい子どもまで、誰でも楽しめるゲーム体験ができます。

また、マリオワンダーの CM では親子やみんなで楽しくゲームをする様子を描くことで、共感を生む訴求をしました。

未来の主要顧客を取りに行く


任天堂がマリオワンダーでやっているアプローチには、小さな子どもという次世代の顧客獲得も見据えたこれからのゲームユーザーを増やしていく狙いもあります。

小さな子どもたちもターゲットユーサーに含めることで、未来の主要顧客層を今から育み、長期的な視点でマリオやゲームへの愛着、ブランドや自社へのロイヤルティを築き上げているのです。将来的な市場で自分たちが存在感を発揮することを見越してのものです。

マリオワンダーの事例から学べるのは、新規のお客さんを増やすことの重要性と、その方法です。どうやってノンユーザーやライトユーザーという新しいお客さんを取り込んでいくかへの示唆を与えてくれます。


まとめ


今回はゲームのマリオワンダーを取り上げ、学べることを見てきました。

最後にポイントをまとめておきます。

  • ビジネスを成長させるためにはライトユーザーやノンユーザーの 「未顧客」 の獲得が不可欠。カテゴリーの新規顧客、自社商品の新規顧客に配慮した商品・サービス提供が重要になる

  • ゲームのマリオワンダーは、大人から小さい子どもまで幅広い年齢で楽しめるゲーム設計がされている。親子やみんなでのプレーを描いた CM により共感を生む訴求でコミュニケーションを展開した

  • 小さな子どもという次の世代の顧客層に今からアプローチをはじめることで、長期的なブランドロイヤルティを構築し、将来の市場でも存在感を発揮できることを目指している


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。