
今回は、クリステンセンと 「人生の目的」 についてです。
- クリステンセン死去に思うこと
- 人生の目的とは?
- 自画像、献身、尺度を言語化すると?
こんな疑問に答える内容を書きました。
この記事でわかること
この記事でわかるのは、「企業の目的」 と 「人生の目的」 に共通することです。
クリステンセンの名著から、人生の目的とは何かを掘り下げています。
ぜひ記事を読んでいただき、お仕事やキャリア、そして生き方への何か参考になればと思います。
クリステンセンの死去に思うこと
クリステンセンが死去しました (2020年1月23日) 。
「イノベーションのジレンマ」 の著者、クレイトン・クリステンセン氏が逝去|TechCrunch Japan
クリステンセンは、「破壊的イノベーション」 や 「イノベーションのジレンマ」 を提唱したことで有名です。
クリステンセンの理論や著書から学び、これまでに影響を受けました。イノベーションのジレンマ以外にも、例えばジョブ理論です。
クリステンセンの本の中では、特に イノベーション・オブ・ライフ - ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ は何度も読んでいます。
この本の特徴は、経営理論が学べるだけではなく、個人のレベルで何が当てはまるかを読者に問いかけていることです。表面的なノウハウとしてではなく、人生という生き方においてです。
クリステンセンは67才で生涯を閉じました。ご冥福をお祈りします。
ここからは、先ほどご紹介した イノベーション・オブ・ライフ から、企業の目的を取り上げます。
企業の目的
クリステンセンは、イノベーション・オブ・ライフ で、企業の目的を次のように説明しています。
以下は、本書からの引用です。
企業の表明する目的が意味をもつためには、次の三つの部分をもっていなければならない。
一つは、わたしが 「自画像」 と名づけたものだ。
(中略)
企業の 「自画像」 とは、主要なリーダーや従業員が、企業がいま進みつつある道を最後まで行ったとき、こんな企業になっていてほしいと思い描くイメージを言う。
(中略)
むしろ自画像とは、経営者や従業員が、旅の重要な節目に達したとき、実際にこうなっていてほしいと思う企業の姿を言う。
(引用: イノベーション・オブ・ライフ - ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ)
3つのうち、1つ目は自画像です。では、残りの2つは何でしょうか?
二つめとして、目的が本来の役割を果たすためには、従業員と幹部が、実現しようとしている自画像に対して、深い献身を - ほとんど信仰とも言えるものを - もたなくてはいけない。
目的は書面で完結するのではない。従業員は、何を優先すべきかという問いを、思いもよらない形で四六時中突きつけられる。このとき深い献身をもっていなければ、やむを得ない事情の波に揉まれて、自画像を傷つけてしまう。
企業の目的の三つめの部分が、経営者や従業員が進捗を測るために用いる、一つまたは少数の尺度だ。すべての関係者が、それぞれの仕事を尺度と照らし合わせることでこそ、企業全体が一貫した方向に進んで行ける。
(引用: イノベーション・オブ・ライフ - ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ)
企業の目的は、次の3つです。
企業の目的
- 自画像
- 献身
- 尺度
人生の目的
イノベーション・オブ・ライフ という本が考えさせられるのは、各章ごとの経営理論や企業活動のケースが、個人の人生にどんな学びや示唆があるかを読者に問いかけるからです。
先ほどの企業の3つの目的も、そのまま人生の目的になるとクリステンセンは言います。
人生の目的
- 自画像
- 献身
- 尺度
3つは、相互に関係し合います。
3つの相互作用
- 自画像 (理想の自分像) を実現するために献身がある
- 献身できているかを判断するために尺度がある
- 尺度と献身が両輪となり、自画像に向かっていく
もう少し、3つの目的を掘り下げてみます。
自画像、献身、尺度の具体的なイメージを持っていただければと思い、私の場合を例にご紹介します。
自画像
まずは、自画像からです。
私がイメージをしている理想の自分像を一言で表現をすると、かっこよく生きるです。
ここで言うかっこよくというのは、他人から見てやモテたいというよりも、自分自身がそう思えるかです。具体的には、3つの立場からです。
自画像を判断する3つの視点
- 今の自分から見て
- 子どもの自分 (小学2年生) が、大人になった今の自分を見てかっこいいと憧れるか
- 80才になった自分が昔の自分 (= 今の自分) を見て、当時のことをそう思えるか
献身
献身とは、自画像という理想イメージを実現するために、具体的に何をするかです。
私は、次の3つを献身にしています。
献身
- 正しいと思うことをする
- 新しいことに挑戦し、自ら変化する
- 主体的に与える (ギブファースト)
尺度
尺度とは、日々の行動において献身ができているか、それが自画像をつくろうとしているかを判断する基準です。
別の表現をすれば、自分のものさしです。
ちなみに、書籍 イノベーション・オブ・ライフ の原題は、"How Will You Measure Your Life?" です。タイトルで、読者に 「あなたの尺度は何か」 を問いかけているのです。
私の場合は、尺度はグロースモデルの中にあります。
グロースモデルを、次の図のようにつくって意識して見返すようにしています。

このグロースモデルのポイントは、次の通りです。
自分のグロースモデル
- 具体と抽象化 (思考と言語化) を実践し、価値提供から信頼を蓄積する
- 信頼が新たな仕事になっていく
- 実践と価値提供が新しい思考と言語化につながる
尺度は大きく2種類あります。「アクションの尺度」 と 「結果の尺度」 です。
アクションの尺度
- 具体と抽象の往復運動
- 学んだことの実践
結果の尺度
- 価値提供
- 信頼蓄積
後者の結果尺度を明確な数値で測ることは簡単ではありません。相手との会話など定性情報からの総合的な判断になります。
それでも、自分の行動から相手に価値を提供できているか、それが信頼につながっているかを意識しておくだけでも意味はあります。献身ができているか、ひいては自画像に近づいているかに向き合うことができます。
まとめ
今回は、クリステンセンの死去からあらためて考えたことでした。
自画像、献身、尺度という、企業経営の目的でもあり、人生の目的を掘り下げました。
いかがだったでしょうか?ぜひ、ご自身の自画像や、そのための献身と尺度は何かを考えてみるきっかけや参考になればうれしいです。
最後に今回の記事のまとめです。
1.
書籍 「イノベーション・オブ・ライフ」 で読者に問いかけるのは、人生の目的。自画像、献身、尺度。3つは相互に作用する。
- 自画像 (理想の自分像) を実現するために献身がある
- 献身できているかを判断するために尺度がある
- 尺度と献身が両輪となり、自画像に向かっていく
2.
自分自身の自画像は 「かっこよく生きる」 。
- 今の自分から見て
- 子どもの自分 (小学2年生) が、大人になった今の自分を見てかっこいいと憧れるか
- 80才になった自分が昔の自分 (= 今の自分) を見て、当時のことをそう思えるか
3.
献身
- 正しいと思うことをする
- 新しいことに挑戦し、自ら変化する
- 主体的に与える (ギブファースト)
4.
尺度
- 具体と往復運動、実践 [アクション尺度]
- 価値提供、信頼蓄積 [結果尺度]
イノベーション・オブ・ライフ - ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ