
今回は書評です。
Google × スタンフォード NO FLOP! - 失敗できない人の失敗しない技術 という本をご紹介します。
- 何が書かれている本?
- 失敗しない技術とは?
- むしろ小さな失敗を早くする方法 (一言の所感)
こんな疑問に答える内容を書きました。
この記事でわかること
この記事でわかるのは、
- 書籍 Google × スタンフォード NO FLOP! の概要
- 失敗をしないための方法
- 読んで思ったこと
ぜひ記事を最後まで読んでいただき、本書を手に取って読んでみてください。
本書の概要
この本の内容を一言でまとめると、新規ビジネス立ち上げの失敗確率を下げる方法が書かれた本です。
新商品やサービスを市場に出してから大失敗をしてしまうのではなく、むしろコンセプト段階で見極める方法が具体的に紹介されています。
サブタイトルは 「失敗できない人の失敗しない技術」 とありますが、私が思ったのは、書かれているのは小さな失敗を早めにする方法です。
以下は、本書の内容紹介からの引用です。
「新しいアイデアの 90 パーセントは失敗する。どれだけ有望に見え、情熱を持ってぬかりなく実行されたとしても」
Amazon, Google, Uber, IBM など、名だたる企業の成功と失敗を調べ尽くした、Google 初代技術責任者であるアルベルト・サヴォイア氏はこんな法則を導き出した。
では、「そもそもが間違っていないかどうか、どう調べたらよいか」 。
その疑問に答えたのが本書だ。あなたのアイデアは、そもそもが間違ってはいないか。それを調査・分析できる、シリコンバレー激賞のツール 「プレトタイピング」 を、その成り立ち、手法、実例、展開シナリオで、詳細に説明。
新商品、新サービス、新店舗、新規事業……
すべての 「新しいこと」 に取り組むすべての人必読の書、本邦初公開。
キーワード
この本のキーワードは、次の4つです。
本書のキーワード
- Right it
(正しいアイデア) - XYZ 仮説
(明確で検証可能な仮説) - プレトタイプ
(プロトタイプではなく) - YOD
(あなた自身のデータ: Your Own Data)
アイデアの 90% は間違っている
この本では、新商品やサービスの失敗には、3つの大きな要因があると書かれています。
市場投入、機能、アイデアそのものです。本書では3つ目のアイデアに注目し、「アイデアの 90% は失敗する」 と書かれています。
失敗しない技術のコアになる考え方は、Right it という正しいアイデアをつくり、本当に正しいかを適切な方法で検証するというものです。
Right it とは適切な方法で進めれば市場に受け入れられるアイデアのことです。対義語は Wrong it です。
では、具体的にどういう方法で Right it を検証すればよいのでしょうか?
XYZ 仮説とプレトタイプ
検証のキーワードは、「XYZ 仮説」 と 「プレトタイプ」 です。
XYZ 仮説とは
XYZ 仮説とは、明確で検証可能な仮説のことです。「少なくとも X パーセントの Y は Z する」 と表現される仮説です。
本書に紹介されていた例でご紹介します。
Right it が 「洗濯物の集配をしてくれるウーバーのようなサービス」 の時に、あいまいな仮説と XYZ 仮説は、次のようになります。
あいまいな仮説 vs 明確な仮説
- あいまいな仮説:コインランドリーで洗濯をしている人のほとんどは、その時間をきわめて苦痛に感じている。だから、数ドル余計に払っても、洗濯物を取りに来て、洗濯・乾燥し、それなりの期間内に届けてくれるサービスを利用するだろう
- 明確な仮説 (XYZ 仮説) :コインランドリーで洗濯をする人の少なくとも 10% は、洗濯物を取りに来て、24時間以内に洗って返してくれるサービスを5ドル払って利用するだろう
プレトタイプ
XYZ 仮説を検証するために、プレトタイプをつくります。
プレトタイプは、プロトタイプとは役割が異なります。
プロトタイプを使って検証するのは、
- 製品やサービスのアイデアが実現可能かどうか
- つくる場合にはどうつくるべきか
- どのように機能するのか、どんな形やサイズにするのが最適か
一方のプレトタイプの位置づけは、そのアイデアをそもそも手がけ、製品化すべきかどうかです。すぐさま低コストで確かめるためです。
YOD で検証する
プレトタイプを使い、そのアイデアが Right it かどうかを検証します。
検証のポイントは YOD を手に入れることです。YOD は Your Own Data の略で、あなた自身のデータのことです。具体的には、自分たちのアイデア検証のためだけのデータです。
本書で指摘するのは、アイデア検証を他人のデータ (OPD: Other People's Data) を使うと、適切な検証方法にはなりません。データを重視し、かつそのデータが YOD でなければいけないというのは、何度も強調されます。
身銭を切るか
検証で Right it かどうかを見極めるポイントは、ユーザーが身銭を切るかどうかです。
アンケートでの 「使ってみたい」 「買いたい」 という意見ではなく、実際にお金を払うか、それ相応の対価を払って使ってくれるかです。
意向という気持ちではなく、身銭を切るという行動が起こるかで、アイデアが正しいかどうかを見極めます。
読んで思ったこと
最後に、この本を読んで思ったことです。
箇条書きで簡単に書いておくと、次のようになります。
読んで思ったこと
- アイデアを磨き込むことに注力する (一足飛びにビジネスモデルや事業計画をつくらない)
- YOD の大切さ
- 仮説の磨き込み (XYZ 仮説という明確で検証可能な仮説をつくる)
まとめ
今回は、書籍 Google × スタンフォード NO FLOP! - 失敗できない人の失敗しない技術 をご紹介しました。
最後に今回の記事のまとめです。
1.
新規ビジネス立ち上げの失敗確率を下げる方法が書かれた本。
新商品やサービスを市場に出してから大失敗をしてしまうのではなく、むしろコンセプト段階で見極める方法が具体的に紹介されている。
2.
本書のキーワード
- Right it (正しいアイデア)
- XYZ 仮説 (明確で検証可能な仮説)
- プレトタイプ (プロトタイプではなく)
- YOD (あなた自身のデータ: Your Own Data)
3.
思ったのは、書かれているのは 「小さな失敗を早めにする方法」 。
新しいアイデアの 90% は間違っている。XYZ 仮説とプレトタイプから YOD を手に入れ、ユーザーが身銭を切るかで、アイデアが Right it かどうかを見極める。
Google × スタンフォード NO FLOP! - 失敗できない人の失敗しない技術