
今回は、企業のアウトソースに学ぶ、個人のビジネスキャリアです。
- 短期的な成功が自滅につながる 「なるバカ」 とは?
- 「アウトソースの悲劇」 の本質
- ビジネスキャリアへ学べること
こんな疑問に答える内容を書きました。
この記事でわかること
この記事でわかるのは、長期の目線でビジネスキャリアをどうつくっていくかです。
企業の 「アウトソースの悲劇」 という事例から、個人のレベルに当てはめキャリアへ学べることを考えています。
ぜひ記事を読んでいただき、お仕事やキャリアへの参考にしてみてください。
デルのアウトソース
今回の記事でご紹介したい本は、イノベーション・オブ・ライフ - ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ です。
この本に書かれてた、パソコンメーカーのデルの事例が興味深かったです。
短期的には成功したアウトソースが、後の悲劇につながったという話です。デルは、エイスースへのアウトソースです。
デルのアウトソース
- 最初は製造プロセスの一部をアウトソースしていた
- サプライチェーン管理に広げた
- コンピューター設計にまで拡大
- 最終的にはパソコン事業そのものをアウトソース
この結果、本書に書かれていたのは、「デルは凡用な企業になってしまった」 でした。
デルの 「アウトソースの悲劇」 から、私たちは何が学べるでしょうか?
アウトソースの悲劇の教訓
デルの話は、要するに何を意味するのでしょうか?
それは、良かれと思ったアウトソースは短期的には成功したもの、長期では将来の成長機会を失ってしまったのです。
短期的には 「なるほど」 と思えたものの、長期では 「バカな」 となってしまいました。私は、デルのこの事例を 「なるバカ」 だと思いました。
個人への示唆
個人のレベルでも、「なるバカ」 には示唆があります。
例えばアウトソースを、自分の仕事を誰か他のメンバーに振ることに当てはめてみます。
短期的には仕事を振ったほうが効率は良く、成果につながりやすいです。しかし、その時は良かれと思ったアウトソースが、将来の自分の成長機会を奪ってしまっていないでしょうか。
では、仕事を振るかどうかの判断は、どのようにすればよいでしょうか?
仕事を振る判断基準
誰かに仕事を振る判断基準は、短期と長期に分けて考えてみるといいです。
仕事を振る判断基準 [短期]
- 自分がやる必要がない (自分にしかできないことに注力する)
- 他の人のほうが自分よりうまくできる (早い/安い, より価値を出せる)
- 自分が抱えすぎている。仕事を振ってボトルネックを解消する
仕事を “振らない” 判断基準 [長期]
- 自分の強みをさらに伸ばせること
- 新しい経験やスキル構築になる (種まき活動)
- 信頼蓄積につながる
アウトソースの悲劇からの教訓は、長期での広い時間軸の視野で判断ができるかです。
たとえ短期的には成果が出ない、やったことが報われなくても、長い目で見れば将来の成長機会がありそうなものは、アウトソースをせずに自分でやり抜くという意思を持ちます。
では、短期的な成果を求めず、あえて振らずに自分が持ちたいと思える仕事は、どんなものがあるでしょうか?
アウトソースしない仕事の例
私自身の場合で、どんな仕事が当てはまるかをご紹介します。
一言で言えば、「0 → 1 を考えたアウトプット (たたき) 」 です。
最初に全体や構想を考え、それを関係者へのたたき台として見せるアウトプットです。具体的には、
- 戦略
- 仮説
- 設計
- 企画
- 計画
最初のアウトプットなので、ゼロから生み出す苦しみがあります。
さらに、たたきをつくっても外れることも起こります。方向性が違ったり、具体性が足りない、視野が狭いといった要因からです。つまり、リソースを使うわりに、すぐの目に見える成果にはつながりにくい仕事です。
しかし、ここは誰か他の人に任せるというアウトソースはせずに、自分の価値提供の能力を持ち続けるために大事にしています。
1つ1つのアウトプットが、自分の血肉になるからです。
まとめ
今回は、アウトソースの事例から、個人のキャリアで何が学べるかを考えました。
短期的には合理、長期的には非合理という 「なるバカ」 という見立てから、個人にも当てはまる教訓、具体的な例で、普段の仕事のアウトソースについて掘り下げました。
最後に今回の記事のまとめです。
1.
良かれと思ったアウトソースは短期的には成功したもの、長期では将来の成長機会を失ってしまうことがある。
短期的には “なるほど” と思えたものの、長期では “バカな” という 「なるバカ」 。
2.
個人への示唆は、仕事を他のメンバーに振る場合。短期的には仕事を振ったほうが効率は良く成果につながりやすい。しかし、良かれと思ったアウトソースが、将来の自分の成長機会を奪ってしまっていないか。
3.
たとえ短期的には成果が出ない、やったことが報われなくても、長い目で見れば将来の成長機会がありそうなものは、アウトソースをせずに自分でやり抜く。
4.
アウトソースしない仕事の例は、「0 → 1 を考えたアウトプット (たたき) 」 。
ゼロから生み出す苦しみがあり、目に見える成果にはつながりにくい仕事。しかし、他の人に任せずに、自分の価値提供の能力を持ち続けるために大事。
イノベーション・オブ・ライフ - ハーバード・ビジネススクールを巣立つ君たちへ