投稿日 2021/10/25

弱者には弱いなりの戦略がある。3つの事例でのランチェスター戦略に学ぶ、弱者の戦い方


今回のテーマは戦略です。

この記事でわかること


  • 3つのビジネスのご紹介
  • 共通点は 「自ら顧客に出向くこと」
  • ランチェスター戦略の弱者の戦略
  • 学べること

ご紹介するビジネスの3つの事例は一見すると関連性はないのですが、俯瞰すると共通することがあります。

その共通点をランチェスター戦略から紐解き、ビジネスに学べることを掘り下げていきます。ぜひ最後まで読んでいただき、何か参考になればうれしいです。


3つのビジネスのご紹介


これから紹介する3つのビジネスの事例は、次の通りです。

✓ 3つの事例
  • 飲食店ハブの移動販売
  • 松屋銀座のスーツ出張販売
  • 自動車整備の出張サービス Seibii

3つには共通点があり、共通することを先に言っておくと 「自ら顧客に近づくやり方」 です。では順番に見ていきましょう。


飲食店ハブの移動販売


この事例を知ったのは日経新聞の Web 記事からでした。

以下は記事からの引用です。

英国風パブ運営のハブが新たな一手を打っている。移動式店舗のハブトラックの運行、そして球場への簡易店舗の出店だ。

酒類提供の自粛で従来型店舗が休業を余儀なくされるなか、少しでも利用が想定されるエリアに進出して、需要を取り込む作戦だ。

 (引用: 日経 2021.9.22)

松屋銀座のスーツ出張販売


続けて2つ目の事例です。

これも日経の記事から引用します。

松屋銀座はスーツの移動販売を始めた。企業の事務所などに出向いてオーダースーツの試着や採寸、購入までを完結できるようにした。

新型コロナウイルスで自由な外出が制限されるなか、顧客にとっては出社したついでに買い物ができる利点がある。業績の低迷が続く百貨店業界はコロナ下での販売方法を模索しており、移動式サービスはその1つになりそうだ。

 (引用: 日経 2021.8.18)

自動車整備の出張サービス Seibii


3つ目の事例が、自動車整備のアプリである Seibii (セイビー) です。

どんなサービスかと言うと、

自動車の保有者に整備士を仲介するアプリを運営する Seibii (セイビー、東京・港) が利用を伸ばしている。

修理台数は1万台を突破。新たな資金調達でエンジニアを中心とした人材採用を増やすほか、整備工場との連携も検討する。サービス品質を磨き、顧客開拓に弾みを付ける。

セイビーのサービスはユーザーがスマホ上で車種や車の状態、居住地などの質問に答えると、条件に合った整備士が自宅に派遣される。

 (引用: 日経 2021.8.18)

ここまで3つのサービス事例をご紹介しました。いずれにも共通するのは、従来は一般的には店舗までお客に来てもらうビジネスでしたが、自ら顧客のほうに足を運ぶアプローチをとります。


ランチェスター戦略


では、3つのサービスの共通点である 「顧客に自ら出向くビジネス」 を戦略の観点から紐解いていきましょう。

補助線として使いたいのがランチェスター戦略です。

ランチェスター戦略には大きく2つの法則があり、第一法則が 「弱者の戦略」 、第二法則が 「強者の戦略」 です。弱者と強者では戦略として 「やること」 と 「やらないこと」 が逆になります。

簡単に整理すると、

✓ 弱者の戦略
  • 局地戦
  • 接近戦
  • 一点集中

✓ 強者の戦略
  • 総力戦
  • 広域戦
  • 全方位

強者と弱者の戦略について詳しくは別の記事で書いています。よかったらこちらも読んでみてください。



弱者の戦略での 「接近戦」


ここで話を前半で見た3つのビジネスにつなげてみます。

共通点の 「自らお客のもとに行く」 とは、弱者の戦略の接近戦のことです。

もともとランチェスター戦略での弱者とは、市場やカテゴリーでシャアが1位ではないプレイヤーです。また1位であっても、シェアの値が2位と 1.7 倍未満であれば弱者です。

取り上げた3つのビジネス (ハブ, 松屋銀座, Seibii) のうち、ハブや松屋銀座は、弱者の当てはめをシェアが1位ではないプレイヤーというよりも、「コロナ禍という急激な環境変化によって劣勢に立たされた会社」 と見ることができます。

この意味において、弱者の戦略の1つのポイントである 「接近戦」 を展開するのは理に適っています。


学べること


では最後に、今回の内容からビジネスに一般化して学べることを整理してみましょう。

ランチェスター戦略の弱者の戦略から、次の5つの観点から 「自分たちのビジネスでできることは何か」 を考えてみるとヒントや着想が得られます。

✓ ランチェスター戦略の 「弱者の戦略」 の実践
  • 市場やカテゴリーを絞る [局地戦]
  • リソースを注力する (商品・ターゲット顧客・エリア等) [一点集中]
  • 直接対決する相手はなるべく少なくする [一騎打ち戦]
  • エンドユーザーや顧客に直接アプローチをする [接近戦]
  • 大手プレイヤーにはできない時には泥臭い打ち手 [撹乱戦]

以上がご紹介した3つのビジネス事例と、ランチェスター戦略の第一法則 (弱者の戦略) から学べることです。


まとめ


今回はランチェスター戦略に見る 「弱者の戦い方」 についてでした。

最後にまとめです。

ランチェスター戦略
  • ランチェスター戦略には第一法則の 「弱者の戦略」 、第二法則の 「強者の戦略」 がある
  • 弱者の戦略は 「局地戦・接近戦・一点集中」 、強者の戦略は 「総力戦・広域線・全方位」
  • 弱者と強者では 「やること」 と 「やらないこと」 が逆になる

ランチェスター戦略の 「弱者の戦略」 の実践
  • 市場やカテゴリーを絞る [局地戦]
  • リソースを注力する (商品・ターゲット顧客・エリア等) [一点集中]
  • 直接対決する相手はなるべく少なくする [一騎打ち戦]
  • エンドユーザーや顧客に直接アプローチをする [接近戦]
  • 大手プレイヤーにはできない時には泥臭い打ち手 [撹乱戦]


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。