投稿日 2021/10/19

ヒット商品 「紙カミソリ」 に学ぶ、アイデアのつくり方。異業種の成功事例はアイデアの宝庫


今回は、商品開発の話です。アイデアのつくり方についてです。

この記事でわかること


  • マーケター・オブ・ザ・イヤー 2021 の1つ 「貝印の紙カミソリ」
  • 紙カミソリから商品開発に学べること
  • アイデアのつくり方
  • 異業種の成功事例をヒントにしよう

この記事を読んでいただきたいと思うのは、商品開発を担当し、新しい商品・サービスのアイデアや企画を考える仕事をされている方です。ヒット商品を事例に、アイデアの生み出し方を解説していきます。

他に読んでいただきたいのは、ヒット商品の 「紙カミソリ」 はどんなアイデアから生まれたのか、ヒットの理由を知りたいと思った方です。

ぜひ最後まで読んでいただき、何か参考になればうれしいです。


貝印の 「紙カミソリ」


今回ご紹介するのは貝印の紙カミソリです (公式サイトはこちら) 。

日経クロストレンドの企画 「マーケター・オブ・ザ・イヤー 2021」 で、5人のトップマーケターが選ばれました (特集記事はこちら) 。

そのうちの1人が、紙カミソリの開発担当者である貝印の鈴木曜氏です。今回の記事では、紙カミソリの開発から学べることを掘り下げます。


以下は、日経クロストレンドの記事からの引用です。

2021年4月の試験販売では3日で完売。同年で創業113年の貝印としても、初挑戦ずくめだった。

カミソリのハンドル部分を紙で作る――。そんな常識破りの商品を21年4月、貝印が発売した。紙カミソリは T 字で組み立て式の3枚刃。同社の通常の3枚刃カミソリに比べてプラスチックを 98% 削減したのが特徴だ。

紙カミソリは刃体の部分が金属、ハンドルの部分が紙でできている。刃の接着やコーティングに僅かにプラスチックを使っているものの、従来品から大幅にカットした。

カミソリは通常、シェービングクリームや水とともに使うことが多く、一見すると紙との相性は最悪だが40度までのお湯に耐えられる。 

 (引用: 日経クロストレンド 2021.9.15)

紙カミソリのプロモーション動画はこちらです。


貝印の紙カミソリの特徴を整理すると、次の3つです。

✓ 貝印の紙カミソリの特徴
  • 刃以外は全て紙でできている
  • 自分で作る組み立て式
  • ジェンダーフリー (男女兼用)


アイデアのつくり方


ではここからは、紙カミソリの開発から学べることを見ていきましょう。アイデアの生み出し方に学びがあります。

これは名著 アイデアのつくり方 にも書かれていることで、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」 です。


紙カミソリで実際に 「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ」 をやったことが、常識を覆すユニークなヒット商品につながりました。

 「既存の要素の新しい組み合わせ」 とは、異なるもののかけ合わせです。これを商品開発やマーケティングからの解釈を入れると、異業種の成功事例を自分たちの業界に取り入れることです。


紙カミソリのアイデア


では、紙カミソリはどのように異業種の成功事例をヒントにしたのかを、紙カミソリの3つの特徴に当てはめてみましょう。

✓ 貝印の紙カミソリの特徴 (再掲)
  • 刃以外は全て紙でできている
  • 自分で作る組み立て式
  • ジェンダーフリー (男女兼用)


刃以外は全て紙でできている


SDGs の高まりや環境配慮から、飲食店でのドリンクのストローは従来のプラスチック製から紙ストローに置き換わっています。

紙カミソリは、プラスチックから紙へのトレンドをカミソリにも採用するという、飲食業界の流れを取り入れました。飲食業界では普通になっていることでも、カミソリの世界では誰もやっていなければ先進的な商品になるのです。


自分で作る組み立て式


通常カミソリは、すぐに使える完成された状態で売られています。

しかし貝印の紙カミソリは自分で作るという組み立て式です。


完成品という商品 (結果) だけではなく、作るプロセスからも価値を提供しています。

ここにはプラモデルやレゴブロックを作る楽しさと共通点があります。自分で作るというアイデアを、プラモやレゴとは全く違う業界のカミソリに持ってきました。


ジェンダーフリー


貝印の紙カミソリは、LGBT のトレンドをカミソリに取り入れました。

カミソリの用途を男性の髭剃りだけではなく、女性の脱毛にも使える男女兼用にしました。

機能面だけではなくデザインもジェンダーフリーです。



学べること


最後に貝印の紙カミソリから、商品開発でのアイデアや企画に学べることを整理してみましょう。

アイデアを生み出すために、同じ業界の競合の真似をするのではなく異業種に目を向けると良いです。それも、なるべく遠い業界です。

たとえアイデアの元ネタは異業種の真似から入ったとしても、自分たちの業界で他の誰もやっていなければ先進的な取り組みになります。

なお、1つ注意点があります。

留意しておきたいのは、異業種の成功事例をそのまま真似すると自分たちの業界にはうまく当てはまらない場合があることです。アイデアの本質は同じでも、自分たちの業界に合ったアレンジをすることも時には必要です。

具体的には、貝印の紙カミソリは自分で作る組み立て式で、これはプラモデルやレゴと共通します。

ただしプラモのように作るのが複雑すぎると、カミソリは難しい組み立てで手間や時間がかかれば、毎朝使うこともあるようなカミソリの利用用途に合いません。一方で、単純すぎる組み立てではカミソリの使用に耐えきれなくなります。このあたりの組み立ての難易度は、単純にプラモやレゴからの真似ではなく、カミソリ独自の設定が大事です。


まとめ


今回は貝印のヒット商品 「紙カミソリ」 から、商品開発に学べることを掘り下げました。

最後にまとめです。

貝印の紙カミソリの特徴とアイデア元
  • 刃以外は全て紙でできている ← 飲食業界の紙ストロー
  • 自分で作る組み立て式 ← プラモデルやレゴブロック
  • ジェンダーフリー (男女兼用) ← LGBT のトレンド

学べること
  • アイデアを生み出すために、同じ業界の競合の真似ではなく異業種に目を向けよう。それも、なるべく遠い業界が良い
  • アイデアの元ネタは異業種の真似からでも、自分たちの業界では先進的な取り組みになる
  • 注意点は異業種の成功事例をそのまま真似すると、自分たちの業界には当てはまらない場合がある。自分たちの業界に合ったアレンジをすることも必要


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。