投稿日 2021/10/30

アシックスの BtoB 健康管理サービスに学ぶ、データを 「宝の持ち腐れ」 にしない方法


今回は、データ分析や活用、商品・サービス開発の話です。

この記事でわかること


  • アシックスの企業向け健康管理サービス
  • 他にはないデータからの歩行年齢診断
  • 企業導入への2つの壁と解決策
  • データ分析に学べること

アシックスの BtoB サービスを事例に、商品開発やデータ分析に学べることを掘り下げています。

どんなに良いデータでも、持っているだけでは宝の持ち腐れです。そうならないためにはどうすればいいかを解説しています。ぜひ最後まで読んでみてください。


アシックスの企業向け健康管理サービス



アシックスの企業向けのサービスで、従業員の健康管理や向上をサポートするのが 「アシックスヘルスケアチェック」 です (公式サイトはこちら) 。


以下は日経新聞の Web 記事からの引用です。

体力測定サービス 「アシックスヘルスケアチェック」 を2019年1月から始めた。歩行能力や握力、体脂肪率のほか、日付や曜日を答える 「脳活」 など最大38項目について30分ほど測定する。

これらを年齢や性別ごとに評価し、総合的な健康度を年齢で表現するものだ。従業員の健康管理ツールとして主に企業向けサービスとして提供しており、これまでロート製薬などが導入した。

 (引用: 日経 2021.10.4)


他にはない精緻なデータ


アシックスヘルスケアチェックの特徴の1つが、歩行年齢の診断です。

先ほどの日経記事からの引用を続けます。 

体力測定のなかで 「歩行年齢」 は同サービスの目玉だ。

テープに沿って 6 メートルほど歩くと結果がわかる。10 ~ 90 歳代まで 1000 人以上から集めた歩行データを基に、歩行速度や体の揺れを評価して算出しているという。開発担当の大野真澄氏は 「ここまで精緻にデータが取れる測定は他にはないだろう」 と話す。

 (引用: 日経 2021.10.4)

このようにアシックスヘルスケアチェックでは、他にはない独自なデータが活用されています。


新たにアプリをリリース


2021年9月にアシックスは、アプリをリリースしました。

アシックスヘルスケアチェックの結果が見られ、改善メニューも提示してくれるアプリです。アプリの名前は 「アシックスウェルネスコンサルタント」 です (ニュースリリースはこちら) 。

このアプリを開発した狙いは、アシックスヘルスケアチェックの 「企業導入の2つの壁」 を乗り越えるためでした。


アプリは 「導入への2つの壁」 の解消


ボトルネックは次の2つです。

✓ 導入へ2つの壁
  • 測定結果が本人に届くのに3週間かかる (測定からフィードバックのタイムラグ)
  • 紙に書かれた改善メニュー説明が分かりにくい (結果が活用されない)

この2つに壁について、日経からの引用です。

アシックスは同サービスの結果を確認できるアプリ 「アシックスウェルネスコンサルタント」 を9月28日に発表した。今までは紙で確認する形式で実施から3週間後に届いていたが、アプリだと 2 ~ 3 日後には確認できる。「結果が届くのが遅くて導入を断られるケースが多かったことに対応した」 (大野氏)

同アプリは体力測定からみえた課題の改善に向けたトレーニングを動画で紹介している。トレーニングは計 55 種類を用意し、個人の結果に応じて最適な運動メニューなどを勧める。今までは紙でのフィードバックだったため、分かりづらいという声があったという。

 (引用: 日経 2021.10.4)

以下の画像イメージが、アシックスウェルネスコンサルタントのアプリで提示されるメニューです。

左の写真がおすすめトレーニング提案画面とトレーニング動画イメージ、右がアプリ内で得られるポイント (モチポ) とランキング画面です。



学べること


では、「アシックスヘルスケアチェック」 と、アプリの 「アシックスウェルネスコンサルタント」 から、データ分析に学べることを見ていきましょう。

一言で言えば学びは、「データは持っているだけではなく、価値創出につなげてこそ意味がある」 です。

アシックスの場合では例えば歩行データは持っていましたが、企業向けの健康管理・改善サービスへは導入が断られるケースがありました。せっかくの他にはない独自性のあるデータが宝の持ち腐れになっていたわけです。

そこで、アシックスウェルネスコンサルタントというアプリを使ってもらうことでフィードバックを早くし、アシックスの保有データと測定結果から健康増進につながる価値提供を狙います。

データ分析への学びとして一般化すると、データ分析結果を出して終わりではありません。むしろ大事なのはここからで、結果や示唆・提言を活用してもらうためのボトルネックを見極め解消し、ビジネスへの貢献につなげることが求められます。

データ分析者の役割や責任として、ビジネス活用と価値創出までを常に意識して実現することが大切です。


まとめ


今回は、アシックスの企業向け健康管理サービスからデータ分析と活用に学べることを見てきました。

最後にまとめです。

アシックスヘルスケアチェック
  • 企業向けに従業員の健康管理や向上をサポートするサービス
  • 特徴の1つは歩行年齢の診断。1000人以上から集めた他にはない独自の精緻な歩行データを使っている

導入への壁と解決策
  • 企業導入に2つの壁があった
  • ① 測定結果が本人に届くのに3週間かかる (測定からフィードバックのタイムラグ)
  • ② 紙に書かれた改善メニュー説明が分かりにくい (結果が活用されない)
  • 解決のために、測定から 2 ~ 3 日で結果が届き、改善の運動メニューが動画でわかりやすく見られるアプリ 「アシックスウェルネスコンサルタント」 をリリースした

学べること
  • データは持っているだけではなく、価値創出につなげてこそ意味がある
  • データ分析結果を出して終わりではない。活用してもらうためのボトルネックを見極め解消し、ビジネスへの貢献につなげることが重要
  • データ分析者の役割や責任として、ビジネス活用と価値創出までを常に意識して実現しよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。