投稿日 2021/10/20

シニア向け AI 人形ロボットから、商品開発とマーケティングに学べること


今回は、商品開発やマーケティングの話です。

ターゲット顧客を定めることの重要性と、その意味合いを見ていきます。

✓ この記事でわかること
  • シニア向け AI 人形ロボット 「あみちゃん」 
  • 商品開発やマーケティングに学べること
  • ターゲット顧客が変われば全てが変わる
  • [変わる 1] 使われ方
  • [変わる 2] 顧客が得る価値
  • [変わる 3] 提供者側がやること (商品開発やマーケティング) 

この記事を読んでいただきたいと思うのは、商品開発やマーケティングの仕事をされている方です。新しいアイデアや企画を考える役割にある方を想定しています。

ご紹介するシニア向け AI 人形ロボットから、商品開発やマーケティングに学べることを解説していきます。

他には、AI 人形ロボットに興味を持った方にも何か少しでも参考になればうれしいです。

シニア向け AI 人形ロボット


今回ご紹介するのはタカラトミーが2021年8月に発売した、シニア向けの AI 人形ロボットです。名前を 「うちのあまえんぼ あみちゃん」 といいます (公式サイトはこちら) 。


AI 人形ロボットの 「あみちゃん」 は、5歳の女の子をイメージしたおしゃべり人形です。

初期設定でユーザーの名前と顔を登録し会話のやりとりを重ねていけば、あみちゃんはこちらをちゃんと認識し、相手の名前を呼びかけたり、話し相手になってくれます。登録語彙数は1600語以上で、歌のレパートリーは40曲。季節や時間帯によって使う言葉が変わるようです。

あみちゃんの紹介動画はこちらです。


以下は公式サイトにあった、あみちゃんと過ごす1日のイメージです。



商品開発やマーケティングに学べること


それでは、シニア向け AI 人形ロボットからビジネスに学べることを見ていきましょう。

掘り下げたい学びを一言で表現すれば、「ターゲット顧客が変わることの意味合い」 です。

ターゲットとなる顧客が変わるとは、単に売る相手が変わるだけではありません。顧客や利用者が変わることによって、自分たちが提供する商品やサービスの利用用途 (使われ方) が変わります。ここがポイントです。


ターゲット顧客が変わる意味合い


ではここからは、次の3つに分解してそれぞれを掘り下げます。

✓ ターゲット顧客が変わる意味合い
  • 使われ方が変わる
  • 顧客が得る価値も変わる
  • 提供者側がやることが変わる

順番に見ていきましょう。

使われ方が変わる


タカラトミーの主力商品にリカちゃん人形があります。リカちゃんのターゲット顧客 (使って遊ぶ人) は女の子で、幼稚園から小学校低学年までがメインユーザーです。

一方のシニア向け AI 人形ロボットの 「あみちゃん」 は、年齢は65歳以上のシニアです。孫はいても小学生以上で、孫を抱っこしてあやすような年頃ではもうありません。

同じような人形であってもリカちゃん人形で遊ぶ女の子と、あみちゃんを使うシニア女性では使い方が異なります。整理をすると、

✓ 女の子の遊び方
  • リカちゃん人形の手足を動かしたり、お着替えをする
  • 人形を活発に動的に使う

✓ シニア女性の使い方
  • あみちゃんと会話をする
  • 抱っこをしたり、髪を撫でる
  • 静的に扱う

顧客が得る価値も変わる


人形の使われ方がこのように違うということは、人形からのユーザー体験や得られる価値 (例: うれしさ, 楽しさ) が変わります。

シニア女性にとっての 「あみちゃん」 の価値は、具体的には次のようになります。

✓ 顧客が得る 「あみちゃん」 の価値
  • 話し相手になってくれる (どこか寂しい気持ちを和らげてくれる) 
  • 会話や遊びから社会性やコミュニケーション力を保てる
  • 孫や自分の子どもが小さかった時の記憶が甦り、過去の懐かしい思い出に浸れる
  • あみちゃんが声をかけてくれ、心配をしてくれたり側に寄り添って、自分のことを大切に扱ってもらえていると感じられる

提供者側がやることが変わる


商品の提供者側の立場になれば、ターゲット顧客が変われば顧客への価値提供のために 「自分たちがやること」 が変わります。

具体的には、実装する機能、見た目や大きさ・重さなどのデザインです。他には広告宣伝などのマーケティングコミュニケーションから、誰に・何を・どうやって訴求するのかも変わります。


学べること


では最後に、ビジネスに一般化してシニア向け AI 人形ロボット 「あみちゃん」 から学べることを整理してみましょう。

一言で表現すれば、学びは 「ターゲット顧客が変われば、連動して色々と変わる」 です。具体的には、次のような流れです。

✓ 顧客が変わることの意味
  • ターゲット顧客を変える
  • 利用用途や使われ方が変わる
  • 顧客のユーザー体験や得られる価値も変わる
  • そのために提供者側のやること (商品開発やマーケティング) が変わる

以上のことに一貫性がありつなげられると、定めたターゲット顧客への価値提供が実現します。


まとめ


今回はシニア向け AI 人形ロボット 「あみちゃん」 から、商品開発やマーケティングに学べることを掘り下げました。

最後にまとめとして、今回の記事でお伝えしたかった 「ターゲット顧客が変わることの意味合い」 です。

ターゲット顧客が変われば、連動して色々と変わる
  • ターゲット顧客を変える
  • 商品・サービスの利用用途や使われ方が変わる
  • 用途が変われば、顧客のユーザー体験や得られる価値も変わる
  • そのために提供者側のやること (商品開発やマーケティング) が変わる


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。