投稿日 2021/10/16

ゴルフ場での 「その手があったか!」なキャンプサービスに学ぶ、新規事業開発のつくり方


今回は、新しい商品やサービス開発、新規事業開発の話です。

✓ この記事でわかること
  • 瀬戸内海が眺められるゴルフ場でのキャンプサービス
  • 新規事業開発に学べること
  • 新しい利用用途への資産の有効活用
  • ポイントは独自の価値提供の実現

この記事を読んでいただきたいと思うのは、新しい商品・サービスのアイデアや企画を考える仕事をされている方です。

瀬戸内海に面したゴルフ場の新しいサービスから、新規事業開発に学べることを解説していきます。よかったらぜひ最後まで読んでみてください。

ゴルフ場でのキャンプサービス


広島にある瀬戸内ゴルフリゾートが、ゴルフ場内でキャンプができるサービスを2021年4月から開始しました (公式サイトはこちら) 。


キャンプを紹介した動画はこちらです。



キャンプでできること


瀬戸内ゴルフリゾートのキャンプサービスを取り上げた日経新聞の記事があるので、一部を抜粋して引用します。

ゴルフ場にテントを張り、家族や友人と夜を過ごす――。広島県竹原市の 「瀬戸内ゴルフリゾート」 が始めた新サービスが人気だ。新型コロナウイルス禍で 「密」 になりにくい2つのレジャーを組み合わせた。クラブハウスの大浴場などゴルフ場としての設備を生かし、一般のキャンプ場と差別化。ゴルフの裾野を広げるきっかけにすることも狙う。

広島市から車で1時間強。海沿いの小高い山を上った先に、瀬戸内ゴルフリゾートはある。全18ホールから瀬戸内海が見えるのを売りにしているだけあり、眺めは抜群だ。

 (中略) 

コース内のティーグラウンドなどに、テントを張る区画を5カ所設置。クラブハウスの大浴場やトイレを使えるようにし、清潔な環境として売り出す。管理された芝生も強みだ。

テントや寝袋などのキャンプ用品は貸し出しており、料金は夕食付きで一人1万2千円。最大で一日30人弱が泊まることができ、連休などの繁忙期には予約が埋まる。

キャンプの日程イメージは、



新しい利用用途への資産の有効化


ここからは瀬戸内ゴルフリゾートのキャンプサービスについて、新規事業開発の観点から掘り下げていきます。

ポイントを一言で表現すれば、既にある設備やノウハウという資産を有効活用し、ゴルフではないキャンプという新しい利用用途へ横展開しています

ゴルフ場として持っていたこと、例えば広大な土地、瀬戸内海が見渡せるパノラマの景色、良質な芝生、満天の星空が見える夜空、移動に使えるカート、大入浴場、レストランは、キャンプというアウトドアレジャーには魅力のあるものばかりです。さらに元々がゴルフ場なので、キャンプに来てゴルフもできます。

これらは一般的なキャンプ場にはないので、瀬戸内ゴルフリゾートのキャンプは差別化され独自のポジションを築けます。

利用者の立場になれば、他のキャンプ場にはない体験ができます。行ってみたいと思え 「ここでいい」 という消去法ではなく、「瀬戸内ゴルフリゾートのキャンプがいい」 という能動的な気持ちから瀬戸内リゾートゴルフを選んでもらえます。


学べること


ではここまでの内容を一般化して、商品・サービスのアイデアや企画、新規事業開発、マーケティングでも学べることを整理してみましょう。

同じ商品・サービスでも今までとは違った用途を提案することで、既存顧客の利用頻度 (購入頻度) の増加、新規顧客の獲得につなげられます。

新たな利用用途に展開する時のポイントは、今ある資産設備やノウハウを活かせられるかです。

ここで言う 「資産を活かす」 とは、新しい利用用途 (今回の例ではゴルフ場でのキャンプ) で他の競合商品・サービスとは差別化された 「独自の価値提供」 を顧客にできることです。瀬戸内ゴルフリゾートで言えば開放感があり、パノラマ景色、良質な芝生、バーベキューやキャンプファイヤー、星空、大浴場などの他のキャンプ場にはない 「ここでしかできない体験」 があり、思い出に残せる価値です。

ゴルフ場でのキャンブをする単に奇をてらった横展開ではなく、資産の有効活用をする 「その手があったか」 とも思え、興味深いビジネスです。瀬戸内ゴルフリゾートのキャンプは、「既存事業を活用する新規事業開発」 という観点から学びがあります。


まとめ


今回は瀬戸内ゴルフリゾートのキャンプサービスから、新規事業のつくり方を見てきました。

最後にまとめです。

瀬戸内海が眺められるゴルフ場でのキャンプサービス
  • 広島にある瀬戸内ゴルフリゾートがゴルフ場内でキャンプができるサービスを開始
  • ゴルフ場の自然と設備で一般のキャンプ場と差別化。ゴルフ人口の裾野拡大も狙っている

新しい利用用途への資産の有効活用
  • ゴルフ場として持っていたこと (例: 広大な土地, パノラマ景色, 良質な芝生, 満天の星空が見える夜空, 大入浴場など) は、キャンプには魅力のあるものばかり
  • 利用者の立場になれば、他のキャンプ場にはない体験ができる
  • 瀬戸内ゴルフリゾートのキャンプは差別化され独自のポジションを築ける

新規事業開発に学べること
  • 新しい用途を提案することで、既存顧客の利用頻度 (購入頻度) の増加、新規顧客の獲得につなげる
  • 今ある資産 (設備やノウハウ) を新しい利用用途に活かし、他の競合商品・サービスと差別化された独自価値を顧客に提供しよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。