投稿日 2021/10/06

西松屋 PB 拡充に学ぶ、ターゲット顧客を広げる意味と判断ポイント


今回は、マーケティングや戦略の話です。

この記事でわかること


  • 西松屋の危機感
  • お客の 「卒業」 を防ぐため PB (プライベートブランド) を拡充
  • 顧客を定義することの重要性
  • ターゲット顧客を新たに広げることの意味合い
  • 西松屋の PB 拡充から学べること

この記事を読んでいただきたいと思うのは、マーケティングや戦略のことを考えたり、事例を知ることが好きな方です。特にマーケティングや戦略を考える仕事をされている方には、少しでも参考になればと思います。

西松屋の事業に対する危機感と打ち手から、マーケティングや戦略に学べることを見ていきます。ぜひ最後まで読んでみてください。


西松屋が PB を拡充


日経新聞の Web 記事からの引用です。

子供向け衣料・用品の西松屋チェーンは収益性の高いプライベートブランド (PB) の拡充に乗り出す。赤ちゃんや幼児用品のイメージが強く、小学校高学年向け衣料や食品など手薄な分野を強化する。

 (中略)

現在、衣料品の大半は 0 ~ 9 歳向けで、「スクール」 と定義する 130 センチメートル以上のサイズが中心の高学年向けは全体の数 % にとどまる。顧客が成長に伴い 「卒業」 し、競合となるしまむらやユニクロに流れているのが現状だ。10 ~ 12 歳を拡充することで、高学年向けが全社の売上高に占める割合を 10 ~ 20% にまで引き上げられるとみる。

 (引用: 日経 2021.9.10)

これまでの西松屋のターゲット顧客は 0 ~ 9 歳の子ども (を持つ親) でした。しかし、この年齢以降になるとしまむらやユニクロにお客が移ってしまい、意図せぬ 「顧客の卒業」 が起こっているようです。

そこで西松屋は 10 ~ 12 歳の子ども向けに PB を投入します。


顧客定義の重要性



どんなビジネスもお客がいて初めて成立します。

事業では 「自分たちのお客は誰か」 という顧客定義がまず大事です。ターゲット顧客を明確にし、顧客を理解することが事業を営んでいくためのスタートです。

先ほど見た西松屋の PB 拡充の話は、ターゲット顧客を従来の 0 ~ 9 歳の子どもに加えて、新たに 10 ~ 12 歳の年齢の子どもに広げるということです。


ターゲット顧客を広げる意味


ではここからは、西松屋の事例から 「ターゲット顧客を広げることの意味合い」 について見ていきます。

マーケティングの観点からは次の2つの意味があります。


ターゲット顧客を広げる意味
  • 顧客ニーズが増える
  • 競合が増える


ではそれぞれについて順番に見ていきましょう。


顧客ニーズが増える


単なる顧客の数が増えるのではなく、今までと質的に異なる層を新たにターゲット顧客にすると、満たすべき顧客ニーズが増えます。

西松屋の例では 0 ~ 9 歳の子どもや親が衣服に求めることと、10 歳以降ではニーズが同じではありません。単純なサイズだけではなく、機能やデザイン、子ども本人や親にとっても服を着ることの意味合いも違います。

新しく狙う顧客層の顧客ニーズを理解し、満たす商品やサービスを提供することが必要になります。これがターゲット顧客を広げることの1つ目の意味です。


競合が増える


一般的な話として、マーケットでは顧客からのニーズに対して誰が一番うまく応えられるかの競争が常に起こっています。争う相手が競合プレイヤーです。

先ほどの1つ目に見たように顧客ニーズが増えるので、そのニーズを満たす競合もまた増えるわけです。

西松屋の場合は、0 ~ 9 歳の子ども服での競合と、10 ~ 12 歳向けの競合は同じではなく、例えば 「しまむら」 や 「ユニクロ」 と真っ向勝負をすることになります。


学べること



では最後に、西松屋の PB 拡充 (ターゲット顧客の拡大) から、マーケティングや戦略に学べることを整理してみましょう。

今回の学びは 「ターゲット顧客を広げるかどうかの判断ポイント」 です。具体的には次のように自分たちに問いかけをしてみるといいです。


ターゲット顧客を広げる判断ポイント
  • 新たな顧客ニーズをつかんでいるか (新しいターゲット顧客の理解)
  • そのニーズに自分たちは応えられるか
  • 新しい競合プレイヤー、競合商品やサービスは何か
  • 競合とのニーズ争いに勝てるだけのリソースは十分にあるか


最後にあった 「リソース」 への補足です。

結局のところターゲット顧客を広げるとは、その分だけ投入するリソース (人, モノ, 金) が増えることを意味します。

新しい顧客対応にリソースを配分すれば、従来の顧客対応 (西松屋なら 0 ~ 9 歳) への投入リソースは減ります。相乗効果もあるなら単純なトレードオフにはならないかもしれませんが、ターゲットを広げる場合には、リソースが十分なのかが大事なポイントです。

リソースが分散してしまい、既存にも新規のことについてどちらも中途半端な対応では成功は難しいです。

リソースが増やせられないのであれば、これまでやってきたことを省力・効率化し、少ないリソースでできるようにした分を、新しいターゲット顧客への対応に振り分けることになります。


まとめ


今回は西松屋の事例からターゲット顧客を広げることの意味合い、学べることを見てきました。

最後にまとめです。


ターゲット顧客を広げる意味
  • 顧客ニーズが増える。新しく狙う層の顧客ニーズを理解し、満たす商品やサービスの提供が必要になる
  • 競合が増える。新しく対応する顧客ニーズを満たす競争相手 (競合) も増える


ターゲット顧客を広げる判断ポイント
  • 新たな顧客ニーズをつかんでいるか (新しいターゲット顧客の理解)
  • そのニーズに自分たちは応えられるか
  • 新しい競合プレイヤー、競合商品やサービスは何か
  • 競合とのニーズ争いに勝てるだけのリソースは十分にあるか



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。