投稿日 2021/10/17

雪印メグミルク 「MBP ドリンク」 に学ぶ、認知をつくるマーケティングコミュニケーション方法


今回は、マーケティングの話です。

この記事でわかること


  • 雪印メグミルクの乳酸菌飲料 「MBP ドリンク」
  • 特徴はわずか 0.005% の希少な成分 MBP
  • MBP ドリンクのマーケティングコミュニケーション
  • マーケティングに学べること

この記事ではマーケティングでの 「認知」 をキーワードに、MBP ドリンクからマーケティングコミュニケーションに学べることを解説していきます。ぜひ最後まで読んでみてください。


雪印メグミルクの MBP ドリンク


今回ご紹介したいのが雪印メグミルクの乳酸菌飲料である MBP ドリンク です (公式サイトはこちら) 。


2021年3月に発売されました (ニュースリリースはこちら) 。

消費者庁に届け出た機能性表示食品で、パッケージには 「骨密度を高める」 と強調されています。


わずか 0.005% の希少な栄養成分


MBP ドリンクの特徴は、商品名にも入っている MBP という栄養成分です。MBP とは 「ミルクベーシックプロテイン」 で、牛乳の中におよそ 0.005% しか含まれていない希少な機能性たんぱく質です。

MBP は古い骨を壊す力と新しい骨をつくる骨の新陳代謝を調整します。骨を壊す 「破骨細胞」 に働きかけ、古い骨からカルシウムが過剰に溶け出すのを抑えます。さらに骨をつくる 「骨芽細胞」 の働きを活性化し、骨にカルシウムが定着するのを助ける役割を果たします。

以下は MBP の解説動画です。



認知の重要性


骨を強くしたり骨密度を高くするために必要な栄養素は、カルシウムというイメージが強いです。他にはカルシウムの吸収を助けるビタミン D もあります。これらに比べて一般的には MBP は知られていません。

MBP のように希少性があり身体に良い栄養成分だとしても、どんなに良いものでも知られていなければ選ばれたり買ってもらえません。

マーケティングの話として一般化すると、自分たちの商品やサービスを認知してもらうことが重要なのです。


MBP ドリンクのマーケティングコミュニケーション


では、雪印メグミルク 「MBP ドリンク」 のマーケティングコミュニケーションについて見ていきましょう。

ターゲット顧客にもよりますが、新しいもの好きで、ともするとマニア層であるイノベーターやアーリーアダプター以外には、論理的な説明だけではなくわかりやすくイメージで感情にも訴えるような伝え方が良いです。

この観点で MBP ドリンクの CM を見てみましょう。



CM では、イメージキャラクターの松岡修造さんが 「女性は50代が骨の曲がり角」 と CM を見ている人の不安を生むようなことをまずは伝えています。

一度ネガティブな気持ちにしておいて、その直後に救世主のような位置づけで MBP を出しています。最後に MBP ドリンクをアピールします。

このように以下の流れで、論理だけではなく感性的なストーリーから訴求しています。

✓ MBP ドリンクのコミュニケーションの流れ
  • ネガティブ情報の提示 (女性は50代が骨の曲がり角)
  • 課題感の発生 (見ている人は骨を強くするために何かしなければと思う)
  • 解決方法の提案 (骨密度を高める MBP ドリンク)

このような流れで、MBP という人によっては初めて効く栄養成分を強調した CM になっています。


学べること


では最後に、マーケティングに学べることを一般化して整理しておきましょう。

今回の学びは、マーケティングコミュニケーションの最初の関門である認知の重要性です。いくら良いものでも、そもそも知られていなければ買ってもらえません。

提供者である売り手にとってはよく知っていて当たり前のことでも、買い手はそうではないのです。詳しくなかったりそもそも知ってすらいません。

だからこそ認知をしてもらい興味を持ってもらうためには、提供者側の理解レベル (例: 専門用語で詳しい説明) ではなく、相手に合わせての伝え方が必要です。

MBP ドリンクで見たような感情に訴えかけ、論理的な説明だけで終わらず感性的なストーリーのイメージで訴求すると良いです。


まとめ


今回は雪印メグミルクの乳酸菌飲料 「MBP ドリンク」 に学ぶマーケティングコミュニケーションの方法でした。

最後にまとめです。

雪印メグミルクの乳酸菌飲料 「MBP ドリンク」 と認知
  • MBP は古い骨を壊す力と新しい骨をつくる骨の新陳代謝を調整する
  • MBP のように希少性があり身体に良い栄養成分で、知られていなければ選ばれたり買ってもらえない
  • 自分たちの商品やサービスを認知してもらうことが重要

MBP ドリンクのマーケティングコミュニケーション
  • ネガティブ情報の提示 (女性は50代が骨の曲がり角)
  • 課題感の発生 (見ている人は骨を強くするために何かしなければと思う)
  • 解決方法の提案 (骨密度を高める MBP ドリンク)

マーケティングに学べること
  • いくら良いものでも知られていなければ買ってもらえない。最初の関門である認知の重要性
  • 売り手は知っていて当たり前でも、買い手は詳しくなかったりそもそも知ってすらいない
  • 認知のためには、提供者側の理解レベル (例: 専門用語で詳しい説明) ではなく、相手に合わせての伝え方が大事
  • 論理的な説明だけで終わらず感性的なストーリーのイメージで訴求しよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。