今回のテーマは DX です。
✓ この記事でわかること
- DX の本質
- サラダ専門店の 「クリスプ・サラダワークス」
- クリスプ・サラダワークスに見る DX 導入と価値創出
- 学べること
この記事を読んでいただきたいと思うのは、仕事で DX に関わっていたり、DX の事例を知りたいと思っている方です。
飲食店の先進的な DX 事例から、DX の本質や実現させるポイントを見ていきます。よかったら最後まで読んでいただき、何か少しでも参考になれうれしいです。
サラダ専門店のクリスプ・サラダワークス
今回取り上げたいのはサラダの専門店の 「クリスプ・サラダワークス」 です (公式サイトはこちら) 。
出典: クリスプ・サラダワークス
クリスプ・サラダワークスは、「サラダを健康のために仕方なく食べるものではなく、メインディッシュとしておいしく食べるものに変えたい」 という思いから、2014年にサラダ専門店として開業しました。
2021年現在は都内に19店舗があり、提携したオフィスにサラダを届ける事業も展開しています。
クリスプ・サラダワークスで注目したいのは DX です。DX を積極的に進めています。自社開発した決済端末を導入するなど早くからデジタル化に着手し、顧客データに基づいた経営をやっています。
自社開発したキャッシュレス端末 (出典: 日経)
日経クロストレンドの記事によれば、クリスプ・サラダワークスはデジタルでの注文比率が 90% を超えます。これができているのは、自社開発のキャッシュレス決済端末を各店舗に導入しているのが要因として大きいです。
* * *
ではここからは、クリスプ・サラダワークスを DX の観点から掘り下げていきましょう。
DX の本質
あらためて DX とは何でしょうか?
これは私の一言の定義で、DX とは 「事業や経営のコア領域をデジタル化し、ビジネスモデルを進化させること」 です。
裏を返せば単なる IT ツールの導入、例えば印鑑をなくして電子印鑑に変えただけでは DX ではありません。DX を事業課題の手段として取り組み、業務プロセスや人・組織が変わりデジタルに適応し、ビジネスモデルを変革し成果化につなげるのが DX です。
DX によってどれだけ価値を生み出せるかが問われます。DX は価値創出の手段であり、これからは DX は当たり前の前提になります。
クリスプ・サラダワークスの DX
では、クリスプ・サラダワークスを DX の観点から見ていきましょう。
クリスプ・サラダワークスは DX によって顧客情報の可視化と、そこからの顧客満足度の向上につなげています。
顧客情報の可視化
クリスプ・サラダワークスではデジタル注文比率が 90% を超えています。各店舗にキャッシュレス端末があり支払いがデジタル化されているので、お客の購入データが取れます。
顧客データから顧客情報が一元管理され、クリスプ・サラダワークスでは 「CRISP METRICS (クリスプメトリックス) 」 という顧客に関する重要指標 (KPI) を設定しています。
クリスプメトリックスの画面イメージ (出典: 日経クロストレンド)
特に重視しているのは全来店者数に占める3回目の来店者数の割合で、これをクリスプ・サラダワークスで 「スマイルレート」 と呼んでいます。
重要視している根拠は、3回目の来店客が次にまた来てくれるのが、ファンのようにクリスプ・サラダワークスに愛着を持ってもらえるかの分かれ目になるからです。スマイルレートの数値をチェックし、「どんな客が3回以上来店しているのか」 「引き続き来店するためにはどんな接客をすると良いのか」 の知見を貯めています。
顧客満足度の向上
リピーターのお客を大切にすることはわかっていても、では具体的にどうすればいいか、そもそも誰がリピーターなのかは、一般的にはお店全体で認識や理解されているわけではありません。勘の良い一部の従業員は気づいて対応しているかもしれませんが、あくまで属人的で組織で回る仕組みにはなっていません。
クリスプ・サラダワークスではお客の決済方法をキャッシュレス化し、顧客情報の集約と整備がされ、このように事業におけるコア領域をデジタル化しているからこそ、次にやるべき課題、やった時の効果が見えてきます。
デジタル化によって業務プロセスや顧客の買い物が効率的になるだけではなく、一人ひとりのお客の状況に合った商品提供や接客ができるようになります。お客にとっては他にはないクリスプ・サラダワークスならではの買いもの体験と価値が生まれ、顧客満足度が向上していくのです。
学べること
では最後に、クリスプ・サラダワークスから学べることを一般化して整理してみましょう。
DX とは何か、DX を実現させて何のためにやるのかが、クリスプ・サラダワークスの事例から見えてきます。
DX とは、事業や経営のコア領域をデジタル化し、ビジネスモデルを進化させることです。そして、DX 実現のポイントは次の3つにまとめられます。
✓ DX 実現のポイント
- アナログ情報やブラックボックス情報のデジタル化と集約・一元管理
- 業務プロセスや顧客のユーザー体験 (例: 買いもの体験) の省力・効率化
- お客が得られる価値の創出
DX はあくまで手段であり事業や経営をしていくための前提で、DX 導入自体を目的にしてはいけません。経営や事業の課題を見極め、デジタル化によってビジネスモデルを変革させ、顧客への価値提供につなげることが大事です。
まとめ
今回はサラダ専門店のクリスプ・サラダワークスを事例に、DX ついて見てきました。
最後にまとめです。
DX の本質
- DX とは事業や経営のコア領域をデジタル化し、ビジネスモデルを変革させること
- あくまで DX は価値創出の手段であり、これからは DX は当たり前の事業や経営の前提になる
DX 実現のポイント
- アナログ情報やブラックボックス情報のデジタル化と集約・一元管理
- 業務プロセスや顧客のユーザー体験 (例: 買いもの体験) の省力・効率化
- お客が得られる価値の創出
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