投稿日 2021/10/18

ファミマの 「店舗メディア化」 の本質から考える、これからの小売ビジネスと生活者メリット


今回は、小売のビジネスモデルについてです。

この記事でわかること


  • ファミマの 「店舗メディア化」 の取り組み
  • アメリカではウォルマートでも導入
  • 店舗メディア化とは 「リアル店舗の再定義」
  • 生活者へのメリットは? (個人的には懐疑的)

この記事を読んでいただきたいと思うのは、小売のビジネスに関わっている方です。店舗のメディア化の話なので、広告の仕事をされている方にも参考になればと思います。

ファミマの取り組み事例から、これからの小売ビジネスについて掘り下げていきます。ぜひ最後まで読んでみてください。


ファミマの店舗メディア化


ファミリーマートが新会社を設立し、ファミマ店内へのデジタルサイネージを設置していくとのことです (ニュースリリースはこちら) 。

可能な全店での導入を目指しています。以下は日経記事でのファミマ社長へのインタビューからの引用です。

ファミリーマートが次世代のコンビニ作りを急いでいる。国内約1万6000店に情報発信メディアとしての機能を加え、リアル店舗の価値を高める。さらに大手で初めて無人店も本格展開する。コロナ禍でフランチャイズチェーン (FC) 加盟店の経営が悪化する中、その打開策を細見研介社長に聞いた。

―― 24日にメディア事業の新会社が発足します。

 「店舗にデジタルサイネージ (電子看板) を設置して、商品 CM やニュースなど消費者向け情報を配信します。まずは22年春までに約3000店に導入し、その後は設置可能な全店に広げる計画です。1日1500万人が来店する店舗網に、メディアとしての機能を加えます。自社のメディアを持つということです」 

 (引用: 日経 2021.9.20)


店舗メディア化のトレンド


アメリカではウォルマートが店舗メディア化を進めています。こちらは Walmart DSP です。

日本でもファミマ以外に、例えばドラッグストアのツルハが取り組んでいます (ツルハ AD プラットフォーム) 。

これらについての詳細は、過去の記事で紹介しているのでよかったら読んでみてください。



リアル店舗の再定義


店舗メディア化の本質は、一言で表現をすれば 「リアル店舗 (実店舗) の再定義」 です。

再定義の意味合いには2つの要素があります。1つ目はリアル店舗が商品を売る場だけではなく、情報コンテンツを発信する場になるということです。

一般的にはコンビニやスーパーは商品を卸やメーカーから仕入れ、店頭で販売するビジネスです。店舗メディア化は、扱うものを情報にも広げていきます。

もう1つの意味は収益の多様化です。仕入れた商品を売って利益を得るビジネスモデルだけではなく、店舗メディアへの広告配信収入を得ます。メーカーなどの広告主からの広告や販促費が、小売にとっての新たな収入源になるのです。


生活者へのメリットは?


店舗メディア化は、ビジネス運営側のファミマにとっては、ビジネスモデルが進化をするので魅力的な話です。一方で来店客である生活者には、コンビニ店内のデジタルサイネージ設置はメリットになるのでしょうか?

今のところ自分の結論は、生活者メリットは懐疑的です。

確かにコンビニの中にサイネージがあれば見るとは思いますが、メディア化されたからといってコンビニの魅力が高まるとは思えません。

もちろん、サイネージ設置は売上向上につながり、具体的には CM で訴求される商品からの買上げ点数の増加、CM 商品が高単価であれば単価の向上を期待できます。これらは店側にはメリットですが、1人の生活者としては個人的にはレジ無しになり、少しでも支払いの手間が減り効率的に買い物ができるほうがコンビニの魅力は上がります。

サイネージ設置からの店舗メディア化は、コンビニよりドラッグストアやスーパー、あるいはドンキなどのほうが価値を出せます。ドラッグストアでは医薬品の使い方の説明、ドンキではユニークな商品の紹介がされるほうが、デジタルサイネージ設置の生活者メリットがイメージしやすいです。

店舗メディア化がコンビニ、スーパー、ドラッグストア、バラエティショップなどそれぞれのリアル店舗で、生活者、店舗 (小売) 、メーカー (広告主) の三者に価値があるのかは注目したいです。


まとめ


今回はファミマの店舗メディア化の取り組みから、これからの小売ビジネスについて掘り下げました。

最後にまとめです。


ファミマの店舗メディア化
  • ファミマが店内へのデジタルサイネージを設置。設置可能な全店に広げる計画
  • 商品 CM やニュースなど消費者向け情報を配信していく
  • 日本全国の店舗網にメディアとしての機能を加える (店舗メディア化)


ファミマの狙い
  • 店舗メディア化とは 「リアル店舗 (実店舗) の再定義」
  • リアル店舗が商品を売る場だけではなく、情報コンテンツを発信する場にする
  • 仕入れた商品を売って利益を得るだけではなく、メーカーなどの広告主からの広告・販促費が、新たな収入源になる (収益の多様化)


生活者へのメリット
  • 生活者メリットは懐疑的。メディア化されたからといってコンビニの魅力が高まるとは思えない
  • 店舗メディア化は、コンビニよりドラッグストアやスーパー、あるいはドンキなどのほうが価値を出せる
  • 店舗のメディア化がリアル店舗で生活者, 店舗 (小売) , メーカー (広告主) の三者にどんな価値を生み出すかは注目したい



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。