投稿日 2021/10/27

非常食用リポビタンゼリーの 「ファイト」 に学ぶ、多角化の商品開発とブランド活用


今回は、商品開発とマーケティングについてです。

この記事でわかること


  • 非常食用のリポビタンゼリー
  • 商品開発とマーケティングに学べること
  • ① アンゾフのマトリクスでの 「多角化」
  • ② 商品開発でのブランド活用
  • ブランド活用での注意点

この記事ではおもしろいと思った商品をご紹介し、商品開発やマーケティングに学べることを一般化して解説していきます。

ぜひ最後まで読んでみてください。


非常食用のリポビタンゼリー


栄養ドリンクのリポビタンが災害時の非常食として、リポビタンゼリー 長期保存用 を販売しています (公式サイトはこちら) 。

引用: 大正製薬


賞味期限は常温で5年間もちます (ただしネット注文のみで、手元に届いた時点では賞味期限は4年6ヶ月になっています) 。


開発で乗り越えた課題


非常食向けの開発でハードルだったのが、どうやって長期保存をするかでした。

というのは、通常の栄養ドリンクは小瓶に入っていますが、空気が入っているので長期保存には向かないからです。また、水分や糖分を含むゼリーは、乾いている乾パンなどの非常食に比べて味や見た目の変化が大きく腐りやすい問題がありました。

保存食向けの商品にするために開発パートナーになったのは、防災事業を手掛けるワンテーブルという会社です。ワンテーブルが持っていたのは、ゼリー状の食品を極力空気に触れさせないためにパウチに詰めて非常食に仕上げる技術です。ワンテーブルとの共同開発で、賞味期限を常温で5年に延ばすことに成功しました。


商品開発やマーケティングに学べること


ではここからは、「リポビタンゼリー 長期保存用」 に学べることを掘り下げていきましょう。

2つあります。

✓ 学べること
  • 多角化の商品開発
  • ブランド活用

では順番に見ていきましょう。


多角化の商品開発


補助線としてご紹介したいのがアンゾフのマトリクスです。

引用: NIJI BOX

ご紹介している 「リポビタンゼリー 長期保存用」 は、新しい市場 (非常食用) に、商品も瓶タイプの液体ではなくゼリータイプと新しくしました。アンゾフのマトリクスで言えば最も難易度が高い 「多角化」 です。

 「リポビタンゼリー 長期保存用」 には多角化を成功させるヒントがあり、それが次に見ていくブランド活用です。

ブランド活用


2つ目の学びは、マーケティングの観点からです。

 「リポビタンゼリー 長期保存用」 は、リポビタンが持つブランドをうまく活用しています。ここでいうブランドとは 「その商品らしさ」 「消費者が持っている商品の価値認識」 です。

リポビタンに当てはめると 「ファイト一発」 からイメージできる、飲むと疲れが取れる、元気になれる、スイッチが入る、テンションが上がるという価値への認識です。こうした 「ファイト」 がリポビタンの価値イメージで、らしさというブランドになっているわけです。

 「リポビタンゼリー 長期保存用」 は非常食で、実際に飲まれるのはどういう時かを考えてみると、台風や地震が起こり非常事態において不自由な暮らしを余儀なくされ、肉体的にも精神的にも疲れが出ている状況です。

こうした環境において 「リポビタンゼリー 長期保存用」 がもらたすのは、エナジードリンクから栄養成分を取れる機能的価値だけではありません。ファイトからの 「もう少しがんばろう」 「ファイト一発の気持ちで」 と、日常に向かって前向きになれる意味的価値もです。

アンゾフのマトリクスに話をつなげると、市場も商品タイプも新しくするた多角化での商品開発でしたがベースにあるブランド (らしさ) では 「ファイト」 という一貫性があります。

 「リポビタンゼリー 長期保存用」 はブランドという資産をうまく活用した商品開発です。


学びの一般化


では最後に、「リポビタンゼリー 長期保存用」 から学べることを整理してみましょう。

今回は商品開発やマーケティングの観点から掘り下げてきました。学びとしてもう一度強調したいのはブランド活用です。

具体的には、次のような観点で開発ができないかを考えてみるといいです。

✓ 商品開発へのブランド活用
  • 自分たちの商品・サービスにはどのような 「らしさ (ブランド) 」 があるか (独自化要素)
  • その 「らしさ」 は、利用者であるお客にはどんな価値をもたらしているか
  • ブランドをつくっている 「価値イメージ」 を他の市場 (新しい顧客) に横展開できないか
  • または新しい商品にも既存のブランドイメージを活用できないか


ブランド活用の注意点


最後のブランドイメージの新商品活用には注意点があります。

無理やりにブランドイメージを使おうとすると、ブランド全体での一貫性が崩れてしまいます。短期的にはうまくいっても長期ではブランドを毀損させます。

ブランドは 「提供価値イメージ」 への信頼です。信頼は築くのには時間がかかりますが、失うのは一瞬のことです。

ブランドの活用 (横展開) は安易にはやらず、慎重さが必要です。


まとめ


今回は 「リポビタンゼリー 長期保存用」 から、商品開発やマーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。

リポビタンゼリー 長期保存用
  • 新しい市場 (非常食用) に、商品も瓶タイプの液体ではなくゼリータイプと新しくした
  • アンゾフのマトリクスで言えば最も難易度が高い 「多角化」

ブランド活用の商品開発
  • リポビタンが持つブランドをうまく活用している
  • リポビタンのブランド (らしさ) とは、「ファイト一発」 からイメージできる飲むと疲れが取れる・元気になれる・スイッチが入るという価値認識
  • 災害時の苦労やストレスがある状況で、「もう少しがんばろう」 と日常に向かって前向きになれる価値を提供する

商品開発へのブランド活用 (学びの一般化)
  • 自分たちの商品・サービスにはどのような 「らしさ (ブランド) 」 があるか (独自化要素)
  • その 「らしさ」 は、利用者であるお客にはどんな価値をもたらしているか
  • ブランドの 「価値イメージ」 を他の市場 (新しい顧客) に横展開したり、新しい商品に活用できないか
  • ただし無理やりにブランドイメージを使おうとすると、ブランド全体での一貫性が崩れてしまうので注意が必要


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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最も力を入れているのはニュースレターです。

名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。