投稿日 2021/10/21

満を持して登場の 「パーフェクトサントリービール」 に学ぶ、あえて二兎を狙う商品開発


今回は、商品開発の話です。

キーワードは 「トレードオン」 (トレードオフではなく) です。

この記事でわかること


  • サントリーの新ブランド 「パーフェクトサントリービール」
  • ヒットの理由3つ
  • 商品開発に学べること
  • トレードオンからの独自化 (ブランド化)
  • あえて 「二兎追って二兎を得る」 を狙ってみよう

この記事を読んでいただきたいと思うのは、商品やサービス開発を担当されている方です。新商品のアイデアを考えたり、企画を作る仕事をしている方を想定しています。

ご紹介するのはビール業界の話なので異業種のことかもしれませんが、他の業界の成功事例には自分たちの業界のヒントがあります。サントリーの新ブランドから商品開発に学べることを掘り下げるので参考になればと思います。

また、他に読んでいただきたいのはサントリーのビールのヒット理由を知りたいと思った方です。

ぜひ最後まで読んでみてください。


パーフェクトサントリービール


サントリーが新しいビールブランドを立ち上げました。2021年4月に発売された 「パーフェクトサントリービール」 です (公式サイトはこちら) 。


パーフェクトサントリービールの特徴は 「健康とおいしさの両立」 です。糖質ゼロとアルコール度数 5.5% という本格的なビールを実現しました。


開発の背景


新ブランドである 「パーフェクトサントリービール」 の開発は、ビールへの課題感からでした。

以下は日経クロストレンドの記事からの引用です。

開発の根幹にあったのは 「ビールの時間だけは、最高の時間を提供したい」 という当社の思いです。

 「ビールは太るので控えよう」 といった健康意識を持つ人が多くなり、「ビールを飲むことを心の底から楽しめない人が増えているのではないか?」 と考えるようになりました。そこで 「何も我慢せず、飲んで楽しめる『最高においしく開放的なビール』を造ろう」 と16年に開発をスタートさせました。発売までに5年かかっています。

 (引用: 日経クロストレンド 2021.7.28)


ヒットの理由


パーフェクトサントリービールのヒットの理由を整理すると、次の3つです。


✓ ヒットの理由
  • ビールを飲む人の消費者インサイトを捉えた
  • 健康とおいしさの両立
  • パッケージとネーミング


順番に補足をすると、1つ目の 「ビールを飲む人の消費者インサイトを捉えた」 とは、ビールの好きな人の奥にある気持ち (不満) に応えたことです。おいしいビールを飲みたいけど、健康のためには何かを我慢しなければいけない不満を解消しました。ここで言う我慢とは、具体的には 「糖質ゼロのビールは味が物足りない」 という満たされない思いです。

2つ目の 「健康とおいしさの両立」 は、糖質ゼロとアルコール度数 5.5% です。ビールは一般的には糖質をゼロにするとアルコール度数が低くなりますが、パーフェクトサントリービールは糖質をゼロにし、かつアルコール度数も高いレベルを実現しました。

3つ目の 「パッケージとネーミング」 は、パッケージには以下の図にあるようなこだわりを入れています。


ブランド名はパーフェクトサントリービールで、日本語にすると 「完璧なサントリーのビール」 です。パーフェクトという言葉を入れるくらい自信があることの表れです。


商品開発に学べること


ではパーフェクトサントリービールから、商品開発やマーケティングに学べることを見ていきましょう。

パーフェクトサントリービールの特徴は 「健康とおいしさの両立」 で、糖質ゼロとアルコール度数 5.5% のビールです。学びを一言で表現すると、「二者択一のトレードオフではなく、トレードオンを目指そう」 です。

前者のトレードオフとは、片方を取ればもう一方は捨てたり、妥協や諦めざるを得ないことです。

 「トレードオン」 とは、時には相反する2つの両方をとります。一見すると両方を同時に満たすことは不可能に思えても、ブレークスルーから両立を実現していくアプローチです。

ビールの製造ではこれまでは 「糖質ゼロ」 と 「高いアルコール度数」 はトレードオンでした。しかしパーフェクトサントリービールは2つを満たし、健康とおいしさのトレードオンを成し遂げたのです。


トレードオンからの独自化


相反する2つのうちどちらか一方を選ぶことは誰にでもできることです。ということは、トレードオフでは他との差別化にはつながりません。

しかし、一見するとできっこないと思える 「トレードオン」 を試行錯誤から実現できれば、他にはない独自化ができます。独自要素がお客にとって価値になれば、お客から自分たちの商品やサービスを選んでもらえるわけです。

トレードオンは言うは易し行うは難しですが、だからこそ実現できれば顧客への他にはない価値提供と独自のポジショニング (ブランド化) につながるのです。


あえて二兎を狙ってみよう


最後に学びを一般化しておきます。

A と B の2つがあり、「あちらを立てればこちらが立たない」 という状況だとします。この時に、あえて両方を狙う 「二兎を追って二兎を得る」 を考えてみるといいです。

もちろんリスクは高まりますが、従来の延長や狭い視野ではなく新しい発想につながります。


まとめ


今回はサントリーの新ブランド 「パーフェクトサントリービール」 から、商品開発やマーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。


サントリーの新ブランド 「パーフェクトサントリービール」
  • 特徴は 「健康とおいしさの両立」 。糖質ゼロとアルコール度数 5.5% という本格的なビールを実現した
  • ヒットの理由は、① ビールを飲む人の消費者インサイトを捉えた, ② 健康とおいしさの両立, ③ パッケージとネーミング


商品開発に学べること
  • パーフェクトサントリービールの特徴は 「健康とおいしさの両立」 。ここからの学びは、「二者択一のトレードオフではなく、トレードオンを目指そう」
  • リスクを取りあえて両方を狙う 「二兎を追って二兎を得る」 を考えてみる
  • トレードオンを実現できれば、他にはないお客への価値提供と独自のポジショニング (ブランド化) につながる



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。