投稿日 2021/10/03

ホームセンターの 「プロ販売員」 と 「ジャパネットたかた」 に学ぶ、信頼され成果を出す販売とマーケティング方法


今回は、販売やマーケティングの話です。

✓ この記事でわかること
  • ホームセンターのプロフェッショナル販売員
  • ジャパネットたかたとの共通点
  • 販売やマーケティングに学べること
  • お客を主語に商品・サービスの利用シーンと価値までを理解し、接客や提案をしよう

この記事を読んでいただきたいと思うのは、営業や販売、マーケティングの仕事をされている方です。

あるホームセンターのプロフェッショナル販売員の事例から、まわりやお客から信頼され成果を出すための方法をマーケティングの視点で解説していきます。

ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。

コーナン商事の技能社員


最初にご紹介したいのは、ホームセンターの販売員の事例です。

以下は、日経新聞の記事からの引用です。

コーナン商事は資材や工具など専門性の高い商品をそろえるホームセンターを運営する。同社が展開する建設職人向けの店舗 「コーナン PRO (プロ) 」 では、大工や水道・電気の設備工事など建設業での就労経験を持つ人材が 「技能社員」 と呼ばれる販売スタッフとして働いている。現場で培った経験と知識を生かし、顧客の専門的なニーズに応える。

大阪市にある 「コーナンプロ東淀川菅原店」 。電動工具が並ぶ棚の前で悩む来店客に、「回転数が低い機種のほうがコンクリートをカットしやすいです」 と声をかけるのが技能社員の末吉伸行さん (54) だ。

 (中略)

末吉さんの担当は、工事で使う電動ドライバーやドリル、安全器具などの販売と修理の案内だ。ただ求められれば木材から水道・電気設備まであらゆる分野の対応もサポートする。店舗内の約5万アイテムから顧客それぞれの用途や施工現場に合った商品を提案する。

 (中略)

こうした経験から 「店舗内の商品がどのような用途で使われるかすぐにイメージがつく」 。専門用語にも幅広く対応でき、店長の木村紀夫さんも 「多様な商品を扱うホームセンターには欠かせない人材」 と信頼を置く。豊富な知識を持つ末吉さん目当てに来店する顧客も多いという。

引用した中で印象的だったのは、最後のほうにあった 「店舗内の商品がどのような用途で使われるかすぐにイメージがつく」 という技能社員の方のコメントです。

商品の機能などの知識が豊富なだけではなく、商品の利用者の使い方まで熟知されています。利用シーンまでイメージできているからこそ、具体的な使い方の提案をお客さんにできるわけです。


販売やマーケティングに学べること


では紹介した技能社員の方のコメントにあった 「商品の使い方もイメージがつく」 から販売やマーケティングに学べることを掘り下げていきます。

一言で表現すれば、学びは 「商品やサービスについてお客さんの具体的な使い方 (利用シーン) まで理解しよう」 です。

裏を返せば、商品・サービスの機能や性能などの仕様の理解だけでは十分ではありません。その商品やサービスは、誰がどういう状況で (背景や目的・意図) 、どのように使って、どんな価値を得ているかまでを把握します。

これが意味するのは、お客 (使う人) を主語にして商品・サービスのことを理解する重要性です。顧客主語で利用シーンと得られるベネフィット (便益) を理解しイメージできているから、販売やマーケティングで顧客に具体的な提案ができます。


ジャパネットたかたとの共通点


具体的な利用シーンとベネフィットから相手に訴求・アピールするやり方は、ジャパネットたかたのテレビショッピングと共通します。

ジャパネットたかたでは、かつて髙田明さんがビデオカメラを紹介した時に、画像の良さなどの機能性よりも、具体的にどのように使えるかを説明しました。「お子さんやお孫さんの運動会をこれ一台で撮影でき、一生の思い出として残しておける」 と具体的な利用シーンとベネフィットを伝えたのです。

音声を録音できる IC レコーダーでは、メモを音声でその場で録音すればやり忘れが起こらない話をしました。寝る前に明日やることを吹き込んで、翌日にボタンを押すだけで何をしようとしたかを思い出せるという具体的な利用イメージを伝えました。

ビデオカメラと IC レコーダーのいずれの説明内容に共通するのは、利用者を主語にして具体的な利用シーンと相手のメリットを伝えています


学びの一般化


では最後に学べることを一般化して整理しておきましょう。

販売やマーケティングで大事なのは、お客への接客や提案が次のような理解に基づいていることです。

✓ 顧客理解の掘り下げ
  • 顧客設定 (ターゲット顧客の明確化)
  • 商品やサービスの機能理解 (商品やつくり手が主語)
  • お客の利用シーンと価値の理解 (顧客が主語)

3つを1つにまとめて文章で表現をすると、「誰に、何を提供し、どのように使われて、お客はどんな価値を得ているのか」 までの理解です。

ここまで商品とお客のことを理解しているからこそ、まわりやお客からも信頼される販売やマーケティングのプロになれるのです。


まとめ


今回はホームセンターの 「利用シーンまでイメージができる販売員」 と 「ジャパネットたかた」 に学ぶ、販売やマーケティングの方法でした。

最後にまとめです。

顧客理解の掘り下げ
  • 顧客設定 (ターゲット顧客の明確化)
  • 商品やサービスの機能理解 (商品やつくり手が主語)
  • お客の利用シーンと価値の理解 (顧客が主語)

利用シーンと価値まで理解し提案をしよう
  • お客 (使う人) を主語にし、お客さんの商品やサービスの具体的な使い方まで理解しよう
  • 顧客主語で利用シーンと得られるベネフィットや価値までイメージを持てれば、販売やマーケティングで顧客に具体的な提案ができる
  • まわりやお客からも信頼される販売やマーケティングのプロになれる


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。