投稿日 2021/10/04

宝飾品ブランド 「ENEY (エネイ) 」 に学ぶ、弱みを強みに変える方法


今回は、マーケティングです。

あるブランドを事例に、強みや提供価値について掘り下げています。

この記事でわかること


  • 松屋銀座のジュエリーブランド ENEY
  • 人工ダイヤの強みと弱み
  • 不利な条件を強みに変える方法
  • 提供価値の 「二階建て理論」

この記事を読んでいただきたいと思うのは、マーケティングに興味がある方です。マーケティングの仕事をされている方にも参考になるればと思います。

ジュエリーブランドを事例に、マーケティングの観点から 「弱みを強みに変える方法」 や 「顧客への価値提供」 を解説しています。

ぜひ最後まで読んでみてください。


ジュエリーブランド 「ENEY」


松屋銀座が新たにジュエリーブランドを立ち上げました。ブランド名は 「ENEY (エネイ) 」 です (公式サイトはこちら) 。

引用: ENEY


ENEY のエネイとは、Any (エニー) と Energy (エネルギー) からの造語です。ENEY の主な商品は人工ダイヤモンドを使用したジュエリーです。

ブランドのコンセプトは 「エネルギーや多様性を巡らすジュエリー」 です。人工ダイヤを使用することによって日常のファッションの中にダイヤモンドを楽しんでほしいという思いが込められています。


人工ダイヤの強みと弱み


ではここからは ENEY の人工ダイヤについて、「強みと弱み」 という観点で見ていきます。

そもそもの強みとは何かですが、強みを別の表現をすれば、ビジネスの文脈では 「顧客への提供価値」 や 「自分たちが選ばれる理由」 です。人工ダイヤモンドの強みは、天然ダイヤに比べて買う人にとって価格の安さです。

一方で天然ダイヤに比べて人工ダイヤの弱みは何でしょうか?

人工ダイヤには希少性がないことや、そもそもの人工ダイヤには天然のダイヤに対しての負い目・コンプレックスを感じることも、天然ダイヤと比較しての人工ダイヤの弱みです。弱みは別の表現をすれば 「価値を下げてしまう要因」 「選ばれない理由」 です。


不利な条件を強みに変える


引用: ENEY

ENEY で興味深いのは、意味合いを新たに加えたことにより人工ダイヤの強みが新しくできたことです。

ENEY の事業担当者の対談記事では次のように語られていました。

 「世界中の人々を魅了するダイヤモンドですが、採掘時の環境破壊、紛争問題、児童労働や採掘の労働環境などが問題視されるようになってきました。あの輝きを手に入れるため、今まで多くの人が沈黙を続けてきました。

そんな世界中が追い求める石を人間の技術で再現できたなんて、まさにサスティナブルな時代のための石です」 

 (引用: ENEY)

天然ダイヤでは、天然資源の採掘とダイヤ製造プロセスにおける不都合な真実があります。

しかし人工ダイヤでは環境負荷は小さく、人権問題を起こさないので、エシカル (倫理的) な意味や、 SDGs (持続可能な開発目標) の観点から人工ダイヤの魅力が高まるわけです。人工的に作られたという条件はこれまでは天然ダイヤに対する弱みでしたが、新しい意味合いにより倫理的な側面に光が当たりました。

この意味性を重視する人にとっては従来の 「安いから人工ダイヤでいい」 という消極的な選び方から、「環境に優しく人権問題にも配慮されたエシカルな人工ダイヤがいい」 という能動的な選び方になります。

つまり人工ダイヤの不利な条件は、見方を変えると強み (選ばれる理由や価値) になるのです。


弱みを強みに変える方法


では、不利な条件をどうすれば強みにできるのでしょうか?

ENEY の例で見てきたように、着眼点を変えることによって新たな強みが見えてきます。具体的には次のようなプロセスです。


弱みを強みに変える方法
  • 現状で弱みになっていることを洗い出す
  • それを弱みと見なさずに、フラットに特徴を整理する
  • その特徴に別の見方や埋もれていた意味合いを見出す
  • どう伝えれば相手にとって魅力的なストーリーになるかを考える


ENEY の場合は、人工ダイヤへの負い目 (天然ダイヤよりも希少性がなく安物のイメージ) は一旦は置いておき、人工的に作られるものという特徴だけをまずは捉えました。

そこから採掘や製造プロセスにおける天然ダイヤの負の側面がないことに着目し、「エシカル」 という意味合いを持たせました。天然ダイヤにはない人工ダイヤならではの価値が生まれたのです。


二階建ての提供価値


では最後に 「価値」 について、マーケティングの視点で掘り下げてみましょう。

商品・サービスから、お客や利用者への提供価値は次のような 「二階建て」 で捉えると良いです。


二階建ての提供価値
  • 二階: 付加価値
  • 一階: 基本的な機能としての価値


ENEY に当てはまれば一階の価値はジュエリーとしてのダイヤの美しさです。

二階部分が、ここまで見てきたエシカルな価値です。環境負荷が少なく人権を大切にしている姿勢に共感でき、身につけていて肯定感が高まり、誇りに思える感情的な価値です。

 「二階建ての提供価値」 のポイントは、一階部分がベースなことです。つまり二階の付加価値は、一階という基本的な価値があってこそなのです。

ENEY に当てはめると、ジュエリーとして美しさやオシャレ感などの魅力があって、初めて二階のエシカルな価値も評価されます。提供価値は一階と二階に分けて考えたり捉えてみるといいです。


まとめ


今回は、ジュエリーブランド 「ENEY」 に見る、弱みを強みに変える方法と価値提供についてでした。

最後にまとめです。


弱みを強みに変える方法
  • 現状で弱みになっていることを洗い出す
  • それを弱みと見なさずに、フラットに特徴を整理する
  • その特徴に別の見方や埋もれていた意味合いを見出す
  • どう伝えれば相手にとって魅力的なストーリーになるかを考える


二階建ての提供価値
  • 二階: 付加価値
  • 一階: 基本的な機能
  • 提供価値は一階と二階に分けて捉えるといい
  • ポイントは一階部分がベース。二階の付加価値は、一階という基本的な価値があってこそ



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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。