出典: &GP
今回のテーマは、価格設定です。
おもしろいと思った 「ビジネス向けシューズの事例」 を取り上げ、マーケティングに学べることを見ていきます。
✓ この記事でわかること
- AOKI のパジャマシューズ
- かつてのシューズ販売での苦戦
- 苦戦理由は価格設定 (消費者の1万円への感じ方)
- 価格の捉え方は相対的
- お客さん視点で価格を決める方法
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
AOKI のパジャマシューズ
こちらの記事を読みました。
AOKI のパジャマシューズが好調! 日本人の 「やりがちな行為」 に着目した開発秘話|ITmedia
出典: ITmedia
かつてはビジネスシューズで苦戦
以下は記事からの引用です。
服装の自由化も相まって、ビジネスシーンでもよりカジュアルな服装を着用する人が増え、従来のビジネスシューズが合わせづらいといった声が聞かれるようになりました。
その需要に対応するため、当社でもスニーカーの履き心地をイメージしたビジネスシューズを展開していましたが、残念ながらそこまでご好評いただけませんでした。
そこで AOKI は調査をし、価格設定に苦戦要因を見出しました。
そのような時代が2年ほど続き、なぜ支持されないのかとヒアリングを進めた結果、「通常のビジネスシューズと同等の価格では難しいのでは?」 との声が出てきました。
各ブランドのスニーカーが1万円を切る価格で販売されている中、いくらビジネス顔でも1万円を超える商品は支持されないのではということです。
* * *
お客さんから選ばれる理由
少し話を変えますが、マーケティングとはそもそも何かという話です。
結論から先に言うと、マーケティングとは 「お客さんから選ばれる理由をつくる活動全般」 です。これが私の一言のマーケティングの定義です。
お客さんから選ばれるためのポイントを挙げると、次の5つです。
✓ 選ばれる理由
- 機能とデザイン
- 世界観やストーリー
- 知られている
- お店やサイトに売っている (欲しい時にすぐに買える状況にある)
- 価格
ここで AOKI のシューズに話を戻すと、かつてのビジネスシューズで苦戦していた理由は5つ目の 「価格」 でした。
1万円への感じ方
今回の事例からの学びは、お客さんの価格の捉え方は、主観的で相対的であることです。
シューズに当てはめると、1万円の靴でも、ビジネス用の革靴であれば1万円は普通の値段です。一方、スニーカーというカテゴリーに目を移せば1万円のスニーカーはやや高い印象があります。
かつての AOKI のシューズは用途がビジネスシーンでも、消費者はスニーカーと捉えたので1万円という価格が高いと思われ、選ばれにくい理由になっていたわけです。もし消費者が頭の中で革靴のカテゴリー内で比べていれば、1万円は高いとは思われなかったはずです。
論理的に考えれば、ビジネス用途なので1万円のビジネススニーカーは革靴と同じくらいの値段ですが、消費者はどうしても他のスニーカーと比べてしまい、直感的にも高いと思ってしまうのです。
学べること
では最後に学べることを整理してみましょう。
今回の話は、お客さん視点での価格設定にヒントがあります。
価格の捉えられ方は相対的で、人によって違います。さらに同じ人でもどういう状況で、何と比べるかによって変わります。同じビジネスシューズでも、革靴と比べるか、それともスニーカーと比較するかで違います。
必ずしもお客さんから言われるがままの価格にする必要はないですが、価格を決める時には次のことを意識すると良いです。
✓ お客さん視点の価格を決める着眼点
- 何の予算なのか (例: 同じ食事でも食費か会食費かで変わる)
- 何と比べられるか
- 期待される価値 (提供価値に見合った価格か)
まとめ
今回は AOKI のビジネスシューズを取り上げ、マーケティングの観点から価格設定について見てきました。
最後にまとめです。
価格の感じ方
- お客さんの価格の捉え方は主観的で相対的
- 人によって違い、同じ人でもどういう状況で何と比べるかによって変わる
- シューズ用途がビジネスシーンでも、お客さんはスニーカーと捉えると他のスニーカーと比べて1万円は高いと思われる
お客さん視点での価格設定の方法 (着眼点)
- 価格を決める時には次のことを意識すると良い
- 何の予算なのか (例: 同じ食事でも食費か会食費かで変わる)
- 何と比べられるか
- 期待される価値 (提供価値に見合う価格か)
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