投稿日 2022/07/19

これが 「ベネフィットセグメンテーション」 のつくり方。メリットとデメリットも解説


今回のテーマは、セグメンテーションです。

✓ この記事でわかること
  • マーケティングの STP
  • 求められるニーズで作る 「ベネフィットセグメンテーション」 
  • ベネフィットセグメンテーションのメリットとデメリット

この記事を読んでいただきたいと思うのは、マーケターの方です。

仕事でターゲティングを考えるなど、STP のフレームを使っている方にお役に立てればと思います。またマーケティングに興味がある方にも参考になればうれしいです。

ぜひ最後まで読んでいただき、お仕事での参考になればうれしいです。

マーケティングの STP


STP というフレームがあります。次の3つからです。

✓ マーケティングの STP
  • セグメンテーション: 同じ特徴でグループに分け、市場を細分化する
  • ターゲティング: 分けたセグメント (グループ) から、自分たちが注力するグループを選ぶ
  • ポジショニング: そのセグメント内で自分たちの存在感を高め、確固たるポジションを形成する


ベネフィットセグメンテーションとは


STP の S はセグメンテーションで、同じ特徴を持つ人でグループ分けをしますが、今回ご紹介したいのは同じ特徴を 「求めるニーズ」 とする方法です。

求めるニーズとは、商品やサービスが属するカテゴリーにおいて顧客が何を重視して選んでいるかです。つまり選ぶ理由、別の表現をすればベネフィットです。

求めるニーズからのセグメンテーションとは 「ベネフィットセグメンテーション」 です。

求めるニーズの例


身近な例で求めるニーズとは具体的に何かを考えてみましょう。例えば台所洗剤へのニーズには、次のようなものがあります。

✓ 台所洗剤へのニーズ
  • 頑固な油汚れを落としたい
  • 泡立ちが良い (洗剤をスポンジに染み込ませてすぐに泡立つ) 
  • 食器のすすぎがさっと終わる
  • 洗剤の香りでリラックスしたい・気分を変えたい
  • スポンジやまな板の除菌をしたい

こうした求めるニーズにおいて、似ている人同士でグループを作っていくのがベネフィットセグメンテーションのやり方です。

台所洗剤のニーズを5つ挙げましたが、そのまま5つのセグメントになることもあれば、「油汚れを落とす」 と 「除菌」 の2つは多くの人に共通したニーズであれば、この2つのニーズをひとくくりにしたセグメントになります。

ベネフィットセグメンテーションのメリット


ではベネフィットセグメンテーションのメリットについて掘り下げてみましょう。

メリットは、作ったセグメンテーションから打ち手につなげやすいことです

ニーズは顧客が求めていることであり、商品やサービスを選ぶ理由です。選ぶ理由が自社商品に合っていれば、そのセグメントの人たちに自社の強みとして訴求することができます。

もし自社商品の特徴が求められるニーズに合っていなければ、そのセグメントは捨てる判断もあり得ます。または、まずは選ぶ理由になってもらうような啓蒙活動からです。知られていないのであれば認知施策から、次に理解やお客の自分ごと化を促進する打ち手です。

具体的には、先ほどの台所洗剤であれば、食器を洗うだけではなく見落としがちな食器洗いスポンジ・まな板の除菌にも使えることを訴求し、「除菌の必要性や課題感」 に気づいてもらいます。これにより選択の判断軸に 「除菌」 を新しく入れてもらうわけです。

デメリットは?


一方で、ベネフィットセグメンテーションのデメリットについても考えてみましょう。

一言で言えば、ベネフィットセグメンテーションは作ること自体に難しさがあります。もれなくダブりがない MECE なセグメンテーションにすることが簡単ではないのです。

というのはニーズとは相手の頭や心の中にあるからです。顕在化し表面化しているニーズは見つけやすいです。例えばアンケートやインタビューで直接答えてくれます。

しかし、時にはお客さん本人も認識できていない潜在的な欲求や不満を知ることは、アンケートをやっただけでは出てきません。このような無自覚な気持ちや奥にある本音は、相手から言われたり提示されて初めて 「確かに言われればそうかも」 と気づくものです。

こうした奥にある気持ちという心のツボ (顧客インサイト) を反映するセグメントを作ることは、そもそも簡単ではないのがベネフィットセグメンテーションの特徴です。


マーケティングの醍醐味


マーケティングの意義は、市場を創造することです。市場にまだニーズとして明確に存在していない顧客の不や欲求を見出し応えられれば、新しい市場が生まれます。

まだ潜在的なニーズに対して、これから新しく実現されるであろうベネフィットをセグメンテーションに反映していくことは、いわば、卵が先か鶏が先かの話です。

ここはマーケティングの難しさであり、同時に市場創造というマーケティングの醍醐味とも言えます。


まとめ


今回はマーケティングのセグメンテーションについてでした。

最後にまとめです。

ベネフィットセグメンテーション
  • 顧客が求めるニーズで分ける
  • 求めるニーズとは、商品やサービスが属するカテゴリーで顧客が何を重視して選んでいるか。選ぶ理由やベネフィット

ベネフィットセグメンテーションのメリットとデメリット
  • メリットは作ったセグメンテーションから打ち手につなげやすい
  • デメリットは作ること自体の難しさ。潜在的な欲求や不満をセグメンテーションに反映するのは簡単ではない


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。