出典: CNET Japan
今回は、お客さんを理解してからどうやってビジネス機会を発見し、新しい商品やサービス開発、マーケティングにつなげるかです。
おもしろいと思った白洋舎とメルカリの取り組みをご紹介し、マーケティングに学べることを見ていきます。
✓ この記事でわかること
- 白洋舎とメルカリの共同実験
- 狙いと相乗効果
- 「点」 ではなく 「線」 で捉える
- 利用シーンからお客さんを理解し、価値につなげよう
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
クリーニング店にメルカリステーションを設置
白洋舍の一部店舗で、メルカリステーションを展開する実証実験をしていくとのことです (リリースはこちら) 。
出典: メルカリ
できること
メルカリステーションがある対象店舗では、白洋舍スタッフがメルカリの使い方を教えてくれます。例えば、アプリの初期設定や使い方、出品のサポートです。
買い手が見つかった商品の梱包に使えるメルカリオリジナル梱包資材を売ったり、非対面で商品を発送できる 「メルカリポスト」 の設置もされます。
売れた衣類商品をクリーニングし、その場で梱包し発送までワンストップでできるのが特徴です。
狙いと相乗効果
白洋舎とメルカリの狙いを見ていきましょう。
日経新聞の記事によれば、
これまで出品前に衣類をクリーニングに出す利用者は限られていたという。新型コロナウイルス禍で衛生や安全性への関心が高まっており、クリーニング済み商品への購入者ニーズは増えている。
白洋舎の江口氏は 「メルカリとクリーニングは親和性が高い。クリーニング済みの商品ということで付加価値を生み、商品の魅力につながっていく」 と期待している。
相乗効果も生まれているようです。
来店者からの反応は上々だという。白と青を基調とする白洋舎の店舗で、赤いメルカリのロゴや店頭販促 (POP) は目に留まりやすい。「これまで比較的少なかった 20 ~ 30 歳代もメルカリの梱包資材を買ったり、メルカリポストを使いに来たりと来店してくれるようになった」 (江口氏)
一方、白洋舎の主要顧客層である 40 ~ 50 歳代が店頭でアプリの使い方を教わり、メルカリを始める事例も出ている。メルカリの設楽有沙氏は 「白洋舎のスタッフによる接客があるので、操作がわからない人でも相談しながら始められる。新しい利用者の獲得に貢献している」 と話す。
白洋舎とメルカリでは、主要顧客の年齢層が異なります。白洋舎は 40 ~ 50 代、メルカリはもっと若い人たちです。
白洋舎のクリーニング店でのメルカリステーションによって、お互いへの集客効果が出ています。白洋舎に若い人が来店し、40 ~ 50 代の人がメルカリを使い始めるという相乗効果です。
「線」 で捉えた施策
生活者の立場で見た時に、近くのクリーニング店でメルカリの出品ができ、わからないことはスタッフに教えてもらえるのは、理に適っています。
衣類のクリーニング後にその場で梱包して発送までできるのは便利です。メルカリで衣類を出品し、購入者に送る前にクリーニングをすると相手にも喜ばれ、メルカリでの自分の高評価にもつながります。
白洋舎とメルカリの共同での取り組みは、メルカリのことを知ったり興味を持ってもらう、手続きの手間も少なくし、メルカリでの出品ハードルを下げる打ち手です。
メルカリでの出品から発送までのプロセスにおいて、白洋舎でのメルカリステーションはうまくプロセスに入り込んでいます。点としてではなくプロセスという 「線」 をより良くする施策なのです。
学べること
では最後に、今回の話から学べることを整理してみましょう。
一言で表現をすれば、学びは 「商品やサービスの利用シーンを広く捉え、利用体験をより良くしよう」 です。
広く捉えるというのは、利用するときの前後にも目を向けてみます。前は使われる前の背景や状況、後とは、使って変わった状況や行動だけではなく、気持ちの変化までです。
広く線として見た時に、お客さんが困っていたり不便に感じていることはまだまだあるはずです。たとえ明確にお客さんは意識していなくても、時にはマーケターがお客さんより先に気づき、ビジネス機会にするのです。
このように、お客さん起点の機会発見から解決策をつくるのが、マーケティング発想でのアプローチです。今回のメルカリが白洋舎と組んだ事例のように、時には他社と共同で解決にあたってもいいわけです。
利用シーンには自分たちがまだ気づいていないチャンスが眠っています。先入観を取り払い、利用シーンからお客さんを理解し、新たな価値提供につなげてみましょう!
まとめ
今回は白洋舎のクリーニング店でのメルカリステーションの話から、マーケティングや商品開発に学べることを見てきました。
最後にまとめです。
✓ 利用シーンと価値提供
- お客さんの商品・サービスの利用シーンには、自分たちがまだ気づいていないチャンス (ビジネス機会) が眠っている
- 利用シーンを使われる前後まで広げて捉え、お客さんが困っていたり不便に感じていることにマーケターが先に気づき解決策をつくる
- 先入観を取り払い、利用シーンからお客さんを理解し、新たな価値提供につなげよう
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