出典: Makuake
今回のテーマは商品開発です。
おもしろいと思った調理器を取り上げ、「プロダクトアウト」 をキーワードに商品開発やマーケティングにも学べることを見ていきます。
✓ この記事でわかること
- 「レトルト亭」 のヒットの理由
- レトルト食品の 「見過ごされていた不便さ」 に着目
- プロダクトアウトでの商品開発を成功させる方法
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ヒット商品 「レトルト亭」
ご紹介したいのは 「レトルト亭」 です。
レトルト食品専用の調理器
レトルトを温めることに特化した調理器です。食パンのトースターのような形をしています。
出典: APIX INTL
一般的にレトルト食品を温めるのにはお湯や電子レンジを使いますが、レトルト亭はパウチをそのまま入れてタイマーを設定するだけで自動で温めてくれます。
出典: APIX INTL
紹介動画はこちらです。
開発の背景
日経新聞の記事にレトルト亭の開発背景が書かれていました。
私が感じ入ったのは、開発担当者の話でした。このヒット作は 「完全なプロダクトアウト型だった」 といいます。つまり、消費者の声を頼りにして新商品づくりに着手したわけでは決してなかった。
きっかけは、コロナ禍で人々の在宅時間が増え、レトルトパウチ食品の販売数が増えたというニュース。それを耳にした開発担当者はふと考えたそうです。「レトルト食品にも不便な部分ってないか」 と。そして導き出した答えは 「温めるのが、実はちょっと面倒」 というものでした。
社内会議は紛糾したそうです。お湯くらい沸かせよ、という声も挙がったと聞きました。そこで、まずはクラウドファンディングを提案。そうしたら、開発担当者本人すら想定外の大反響となった。
クラウドファンディングのマクアケでは目標金額の50万円に対して、2255万円を超える支援を集めました (マクアケはこちら) 。
見過ごされていた不満
もともとレトルト食品とは料理が簡単に用意できるのがウリですよね。例えばカレーのレトルトは野菜や肉を切って炒め、カレー粉を入れて鍋で煮ることなく湯煎などで温めるだけで食べられます。
しかしレトルト食品の簡単さが当たり前になってくると、レトルトの調理にも面倒さが生じていました。
- 湯煎で温めるために鍋に水を入れて沸かさなければいけない
- 電子レンジを使う場合は、お皿に盛り付けてラップをかける必要がある
自分で食材から料理をするよりも確かに手間は少ないですが、それでも消費者には潜在的な不満があったわけです。
ここに着目して開発されたのがレトルト亭です。
問題提起型のプロダクトアウト (学べること)
ではレトルト亭から学べることを掘り下げていきましょう。
結論から言うと学びは 「問題提起型のプロダクトアウト」 です。
消費者が普段の生活で感じている不満や不便さには、顕在化しているものから潜在的なレベルまで様々あります。潜在的な 「不」 の中には人から言われたり、不満を解決する商品やサービスを見せられて、初めて 「そうそう、確かに面倒だった」 「こんな商品が欲しかった」 となるものがあります。
お客さんに深く刺さることを実現するために大事なのは、作り手や売り手が率先してお客さんに問題提起をすることです (問題提起型のプロダクトアウト) 。
問題の設定が的確なほど、解決策となる商品やサービスが 「これは自分向け」 とドンピシャで刺さります。
プロダクトアウトとは逆のアプローチに 「マーケットイン」 があります。マーケットインとはお客さんや市場でのニーズを起点にしますが、マーケットインは万能ではないんですよね。なぜならお客さん自身が本当に欲しいものを自覚していなく、市場で顕在化しているとは限らないからです。
だからこそ開発担当者やマーケターが自ら問題を見出し、プロダクトアウトで問題提起と解決策から価値提案をすることが大事なのです。ここに商品開発を成功させるヒントがあります。
まとめ
今回は調理器の 「レトルト亭」 を取り上げ、商品開発やマーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
見過ごされている不満
- もともとは画期的に便利だったことも、それが当たり前になると潜在的な不便さや不満が生じる
- 言われたり、不満を解決する商品やサービスを見せられて、初めて 「そうそう、確かに面倒だった」 「こんな商品が欲しかった」 となる
問題提起型のプロダクトアウト
- お客さんや市場のニーズを起点にするマーケットインは万能ではない。お客さん自身が本当に欲しいものを自覚しているとは限らないから
- 開発担当者やマーケターが自ら問題を見出し、プロダクトアウトで問題提起と解決策から価値を提案しよう
- 問題の設定が的確なほど、解決策となる商品やサービスが 「これは自分向け」 とドンピシャで刺さる
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