出典: 日経クロストレンド
今回は、レストランのジョイフルのアプリを取り上げ、マーケティングや仕事での姿勢に学べることを見ていきます。
✓ この記事でわかること
- プロモーションは無駄金?
- 固定観念を変えたジョイフルのアプリ
- 経営者視点と現場視点のギャップ
- 「虫の目」 だけではなく 「鳥の目」 を持とう
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ジョイフルのアプリ
こちらの記事を読みました。
「広告は無駄金」 九州で愛されるファミレスを救った1つのアプリ|日経クロストレンド
記事のリード文を引用すると、
九州を中心にファミリーレストランを展開するジョイフルが、外食 DX (デジタルトランスフォーメーション) の成功企業であることはあまり知られていない。
スマートフォン向けアプリ 「ジョイフル公式アプリ」 は利用者の来店頻度が平均3.5倍に増加。月平均で4回以上来店する優良顧客は、アプリ提供開始後に12倍に増えるなど、継続来店に劇的な効果をもたらしている。これが新型コロナウイルス禍で外食産業が苦戦する中、2021年6月期のジョイフルの赤字を防いだ。
出典: PR TIMES
「プロモーションは無駄金」
記事では、アプリ導入前のジョイフルでの課題感が書かれていました。
「DX や IT 化という言葉が生まれる中、大手広告代理店からデジタルプロモーションの提案は何度も受けてきた。
だが、我々からするとチャネルが紙からデジタルに代わるだけで、中身は同じ。使った広告宣伝費に対して、成果につながらないギャップをかなり感じていた」
デジタルマーケティングの一般的な KPI である、自社サイトへのページビュー (PV) やユニークユーザー (UU) がたとえ増えたとしても、経営上のインパクトはほとんどないという認識で、もっと言えば懐疑的だったとのことです。
日経クロストレンドの記事では、「会社の決算の数字に表れる数字に影響しなければ、手段が変わっただけでデジタル経営改革とは呼べない」 というコメントがありました。
また、「紙のチラシをまいたり、テレビ CM を放送したりすると、なんとなく客が増えたような気はするが、具体的に何人が来店したかまではわからない」 という曖昧な効果計測しかできなかったため、「プロモーションは無駄金」 という印象だったそうです。
固定観念を変えたアプリ
変えたのはアプリ導入でした。
ジョイフルのスマホ向けアプリと、ビーコン (短距離無線通信機器) を使い来店計測に取り組みました。店内に設置したビーコンと来店客のスマホアプリが自動で通信し、顧客の来店が把握できるようになりました。
アプリ導入により来店頻度や、会員データの注文 (購買情報) と紐付けたことで、売上への影響がデータで可視化できるようになったのです。
経営者視点と現場視点のギャップ
ここまでのジョイフルの話は、経営者の視点と現場の視点には少なからずギャップがあるということです。
現場では、販促などのプロモーションをやって紙のチラシをまいたり、テレビ CM をやって、なんとなくでも客が増えたような気がしただけでも達成感が得られます。
しかし経営者の見方は異なります。
現場での 「なんとなく」 という主観的な施策の効果を見せるだけでは経営者は納得しません。現場を直接見ていないと現場でのリアルの感覚を持てないので、曖昧な評価では経営上のインパクトとは見なしません。株主等への説明もできないというのも納得しない理由でしょう。
このように経営者視点と現場視点では、見ている景色が建物の三階からと一階からくらい違うのです。
鳥の目で経営者視点を持とう
では最後に、今回の話から学べることを整理してみましょう。
教訓として学べるのは、経営者ではない現場担当者でも経営者視点を持つことの重要性です。そのためには、現場の実行者として 「虫の目」 だけではなく 「鳥の目」 を持つと良いです。
虫の目とは、地面にいる虫が目の前のことを解像度を細かく見る視点です。一方の鳥の目は、高い上空からフィールド全体を広く俯瞰する視点で、これが経営者視点です。
現場でせっかく自分たちががんばってやったことも、経営者から 「プロモーションは無駄金」 と思われることほど悲しいことはないですよね。
もしこうした状況になっているとしても、現場が 「社長や経営陣はわかってくれない」 と愚痴を言ったり腐ってはいけません。経営者視点を持ち、事業や経営の観点でどんな貢献ができているのかを 「鳥の目」 で示すことが大事です。
まとめ
今回はジョイフルのアプリを取り上げ、学べることを見てきました。
最後にまとめです。
経営者視点と現場視点の違い
- 経営者の視点と現場の視点には少なからずギャップがある
- 例えば、現場では販促やテレビ CM により、なんとなくでも客が増えたような気がすると達成感が得られる
- しかし経営者の見方は異なり、「なんとなく」 という主観的な施策効果では経営上のインパクトとは見なさない
現場での経営者視点
- 視点の違いから 「社長や経営陣はわかってくれない」 と現場は愚痴を言ったり腐ってはいけない
- 現場担当者でも経営者視点を持ち、事業や経営の観点でどんな貢献ができているのかを示すことが大事
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