今回のテーマは、営業とマーケティングです。
SPIN Selling (SPIN 話法) という営業方法を取り上げ、マーケティングとの共通点からマーケターが学べることを見ていきます。
✓ この記事でわかること
- イシューからはじめる 「SPIN 話法」 とは?
- SPIN 話法とマーケティングとの共通点
- マーケティングの起点は顧客インサイト
- 顧客インサイトとは?
- マーケターが学べること
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
SPIN 話法
今回ご紹介したいのは、SPIN 話法です。
SPIN 話法とは、相手が持つ潜在的な課題を掘り下げる質問をし、相手自身に問題解決をしたいと思わせてから解決策を提案する営業方法です。商談などで自社の製品などを提案する前に、顧客から要望を聞き出すために使われます。
順番が大事で、いきなり解決策 (自社商品やサービス) を出すのではなく、課題設定から始めるアプローチです。
4つの質問で課題を掘り下げる
営業する相手の課題を掘り下げ、問題解決策を提案するために、四種類の質問をします。英語の頭文字から SPIN と呼ばれます。
出典: Keywordmap
✓ SPIN 話法
- Situation Questions: 状況質問 (顧客の現状を把握する)
- Problem Questions: 問題質問 (顧客に問題に気づかせる)
- Implication Questions: 示唆質問 (問題の重要性を認識させる)
- Need-Payoff Questions: 解決質問 (理想のあるべき状態をイメージさせる)
4つのイメージは、次のようになります。
出典: Keywordmap
イシューからはじめる
SPIN 話法のポイントは、
- お客さん自身も気づいていない問題 (問題として認識されておらず明確な課題になっていない, なんとなく自覚しているが先送りしている)
- しかし実は重要な課題で、問題解決すべきこと
このような本質的な潜在的課題を、こちらから積極的に質問をすることでお客さん自身に気づいてもらうことにあります。こうした下地を整え解決したいというニーズを生んでから、解決策を提案するのです。
SPIN 話法は、イシューからはじめるというアプローチです。
SPIN 話法とマーケティングの共通点
SPIN 話法にはマーケティングと共通点があります。
SPIN 話法では、「相手は気づいていないが、実は重要な課題を見出せるか」 がポイントでした。
ここで言う本質的な課題は、マーケティングにおける 「顧客インサイト」 に通じます。SPIN 話法とは、マーケティング視点で表現すれば 「顧客インサイトの顕在化」 です。
顧客インサイトとは
一言で表現をすれば、顧客インサイトとは 「人を動かす隠れた気持ち」 です。
普段はお客さん自身も自覚はしていませんが、そうだと気づけば買うなどの行動につながる奥にある本音です。マーケティングでは顧客インサイトのことを、「心のツボ」 や 「心のホットボタン」 と言ったりします。
ビジネスの起点は顧客インサイト
顧客インサイトはニーズを生む種のようなものです。
インサイトの状態では無意識化にあり、まだニーズとして顕在化していません。お客さんは認識していないので、マーケターが自ら発掘することになります。
そして、見出したインサイトに応える商品をつくったり、マーケティングコミュニケーションを展開していきます。マーケティングの起点になるのは、もっと言えばビジネスの起点になるのは、お客さんの奥に潜んでいる顧客インサイトなのです。
マーケティングへの応用
営業手法の SPIN 話法は、お客さんのインサイトを4つの質問 (SPIN) で掘り起こし、インサイトに沿って営業提案につなげる方法です。SPIN 話法は、マーケティングにも応用できる方法です。
✓ SPIN 話法のマーケティングへの応用
- お客さんの状況を理解する
- その中に潜んでいるであろう本質的な問題に迫る質問をし、一緒に問題点を掘り下げていく
- なんとかしたいという課題感を高める示唆を提示
- 解決したイメージを持ってもらい、解決への欲求を生んでから解決策を提示する
最初にいかに顧客インサイトを見出し、相手にインサイトに気づいてもらうかです。そして、インサイトに応える示唆や解決策を伝えるという順番です。
まとめ
今回は営業の SPIN 話法をご紹介し、マーケティングに学べることを見てきました。
最後にまとめです。
SPIN 話法
- 相手の潜在的な課題に気づいてもらう質問をし、相手自身に解決したいと思わせてから解決策を提案する営業方法
- 四種類の質問を投げかける (状況質問, 問題質問, 示唆質問, 解決質問)
- イシューからはじめるアプローチ
マーケティングとの共通点
- SPIN 話法で掘り下げる 「相手は気づいていないが、実は重要な課題」 とは、マーケティングで言う顧客インサイト
- 顧客インサイトとは 「人を動かす隠れた気持ち」 。普段はお客さん自身も認識していないが、そうだと気づけば買うなどの行動につながる奥にある本音
- 顧客インサイトを発掘しインサイトに応える SPIN 話法は、マーケティングにも活用できる
SPIN 話法のマーケティングへの応用
- お客さんの状況を理解する
- その中に潜んでいるであろう本質的な問題に迫る質問をし、一緒に問題点を掘り下げていく
- なんとかしたいという課題感を高める示唆を提示
- 解決後のイメージを持ってもらい、解決への欲求を生んでから解決策を提示する
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