今回は、新しい商品やサービスをどうやって普及させていくかという話です。
おもしろいと思ったサービスを取り上げ、マーケティングの観点で学べることを見ていきます。
✓ この記事でわかること
- 家族信託サービスの 「ファミトラ」 とは?
- 今まで家族信託が普及しなかった理由
- ニーズの見極めと普及へのボトルネックの解消方法 (マーケティングに学べること)
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
家族信託サービス 「ファミトラ」
ご紹介したいのは、「ファミトラ」 という家族信託サービスです (公式サイトはこちら) 。
出典: PR TIMES
家族信託とは
聞き馴染みのない言葉かもしれませんが、家族信託とは、自分の老後に介護されるようになった時、認知症になる前に、保有する不動産や預貯金などを資産を信頼できる家族に託し、管理・処分を任せる財産管理です。
判断能力があるうちに大切な財産を家族に託すことで、もし認知症などにより判断能力が低下した後でも、本人や家族の希望に沿った、柔軟な財産の管理や運用を実現することを目的とした仕組みです。
利用へのハードルが高い家族信託
認知症になり意思能力がなくなると、あらゆる契約行為が行えなくなります。
定期預金の解約、不動産の売買や賃貸契約、株式の運用が行えなくなり、また、銀行口座からの入出金も銀行から拒まれる可能性もあるようで、認知症による資産凍結という状態に陥ってしまいます。
こうした事態を未然に防ぐのが家族信託ですが、一部の人にしか知られていなかったり、使われていないのが現状です。
家族信託を行うには個別に弁護士に相談したり、司法書士に依頼する必要があります。一般的に家族信託を組成するには、資産規模に応じて100万円を超える高額な費用がかかり、富裕層向けサービスでした。家族は使いたいと思っても、親に言い出せなかったり、管理が煩雑になるなどの敷居の高いサービスです。
この問題をテクノロジーと仕組みで解決し、家族信託を誰でも使えるようにするのがファミトラなのです。
* * *
ではここからは、マーケティングの観点で家族信託やファミトラから学べることを掘り下げていきます。
新しいものが普及しない要因
一般的な話として、何か新しいことが普及しない要因は大きく2つあります。
✓ 新しいものが普及しない要因
- ニーズが一部の人にしかない
- 実は隠れたニーズはあるが、普及へのボトルネックがある
前者は、いくら良いものでも、そう思う人の数がそもそも少数であれば、世の中に広く普及することはありません。
一方の後者は、潜在的なニーズがあるものの、さらに分解すると次のようなボトルネック (普及への足かせ) があります。
✓ 潜在ニーズはあるが普及しないボトルネック
- そもそも知られていない
- コンセプトが斬新すぎるなど理解が追いつかない
- 使いたくても手に入らない (例: 買いたくてもお店やネットで売られていない)
- 価格が高い
- 使いづらい UI 、使うのに専門的な知識やスキルが必要
ファミトラが解消する構造的ボトルネック
ここで、家族信託の話とつなげます。
家族信託が日本で普及していないのは 「ニーズはあるが構造的なボトルネックがあるから」 と捉えています。
先ほどのボトルネックの分解に当てはめると、
- 家族信託への認知が低い
- 家族信託の仕組みが理解できない、今はまだ不要だと思う (自分ごと化されない)
- どこで申し込めばいいかわからない
- 費用が高い (100万円を超える場合がある)
- 弁護士や司法書士への相談、親への説明から納得してもらう合意形成が取りにくい
ファミトラはこれら全てを完璧に解決しているわけではないかもしれませんが、家族信託に一石を投じています。
テクノロジーと仕組みによって、一部の富裕層にしか利用されていなかった家族信託を普通の人にも安価で使えるようにするサービスです。
学べること
では最後に、ファミトラから学べることを整理してみましょう。
一言で表現するなら、マーケティングの観点での学びは 「新しい商品やサービスを普及させたい時の着眼点」 です。
まずはそもそものニーズが潜在的にもあるのかどうかです。そして、世の中の多くの人々が気づいていない隠れたニーズを見出したならば、次に考えたいのが構造的なボトルネックは何かです。
✓ 潜在ニーズはあるが普及しないボトルネック
- 認知
- コンセプトやメリットへの理解
- 配荷 (買える状況にあるか)
- 価格
- UI / UX の使い勝手
こうした視点を持っておくと、マーケティングへの着想につながります。
まとめ
今回は家族信託サービスの 「ファミトラ」 を取り上げて、マーケティングに学べることを見てきました。
最後にまとめです。
新しいものが普及しない要因
- ニーズが一部の人にしかない
- 実は隠れたニーズはあるが、普及へのボトルネックがある
潜在ニーズはあるが普及しないボトルネック
- そもそも知られていない
- コンセプトが斬新すぎるなど理解が追いつかない (自分ごと化されない)
- 使いたくても手に入らない (例: 買いたくてもお店やネットで売られていない)
- 価格が高い
- 使いづらい UI 、使うのに専門的な知識やスキルが必要
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