投稿日 2022/07/16

イメージ脱却からのヒット商品 「やかんの麦茶」 。売り手都合にならないマーケティング

出典: PR TIMES

今回は、ヒット商品の分析と、裏にあるマーケティングの狙いを解説します。

おもしろいと思った麦茶飲料を取り上げ、マーケティングに学べることを見ていきましょう。

✓ この記事でわかること
  • 「やかんの麦茶」 がヒット商品に
  • ヒットした理由
  • 利用シーンの拡大
  • コンセプトからの一貫性のある訴求

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

やかんの麦茶


こちらの記事を読みました。

 「やかんの麦茶」 発売1年弱で3億本超 - 夏のイメージ脱却が奏功|日経クロストレンド


以下は記事のリード文です。

日本コカ・コーラの 「やかんの麦茶」 が快進撃を続けている。ヒットの要因は、パッケージにプリントされた 「やかん」 と、背景色の 「薄い藍色」 にあった。

夏場の水分補給という麦茶のイメージを刷新し、季節性を感じさせない訴求方法で、飲用機会やターゲット層の拡大に成功した。

利用シーンの拡大


では、やかんの麦茶から学べることを掘り下げていきましょう。

2つあり、1つ目は飲む利用シーンを広げたことです。

一般的な麦茶のイメージは夏に飲むものです。やかんの麦茶はこのイメージを変えにいき、夏以外の季節でも飲んでもらうことを狙っています。

利用シーンが広がれば、その分だけ選ばれる回数が増えます。とはいえ、売り手都合で無理に広げると、売上を上げるための押し売りのようになってしまいます。大事なのは、生活者に共感される新しい利用シーンの提示です。

やかんの麦茶がうまいのは、「やかん」 と結びつけてイメージを訴求したことにあります。これが2つ目に学べることです。


一貫性のある訴求


やかんの麦茶は、商品名とパッケージから 「レトロで手作り感のある麦茶」 を伝えています。

麦茶の茶色と薄い藍色のコントラストが映え、やかんのイラストも目立ちます。

右側のリニューアルで 「やかん」 を目立たせた (左はリニューアル前) 出典: 日経クロストレンド

ちなみに 「伊藤園のむぎ茶」 と比べると、「やかんの麦茶」 は清涼感をあえて消しているように見えます。

伊藤園はパッケージに氷があり、冷えた麦茶を暑い日に飲みたくなるデザインです。


やかんの麦茶からの学びのポイントは、商品 (麦茶) の周辺領域にまで視野を広げ、関連するもの (やかん) とうまく結びつけて、コンセプトから商品名やパッケージまで一気通貫で揃えたことです。

一貫性があるから、全体として生活者には唐突感がなく、季節限定ではなく夏以外にも 「普段から飲みたくなる麦茶のポジショニング」 ができるのです。


まとめ


今回は 「やかんの麦茶」 を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。

利用シーンの拡大
  • 商品やサービスの利用シーンが広がれば、その分だけ選ばれる回数が増える
  • とはいえ、売り手都合で無理に広げると押し売りになり、生活者には受け入れられない
  • お客さんに共感される利用シーンを提示することが大事

一貫性のある訴求
  • 商品の周辺領域にまで視野を広げ、関連するものとうまく結びつけて、コンセプトから商品名やパッケージまで一気通貫で揃えよう
  • 一貫性があると受け手には唐突感はなく、「〇〇 な時 (新しいシチュエーション) で使いたい」 というニーズが生まれる


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。