投稿日 2022/07/01

ご褒美 冷凍食品 「グランデリカ」 。ポジショニングの本質とつくり方

出典: @Press

今回のテーマは、マーケティングのポジショニングです。

おもしろいと思った冷凍食品を取り上げ、マーケティングに学べることを見ていきます。

✓ この記事でわかること
  • ご褒美 冷凍食品 「グランデリカ」 とは?
  • ユニークなポジショニング
  • ポジショニングの本質
  • 提供価値の持続可能性

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

ご褒美 冷凍食品 「グランデリカ」 


ご紹介したいのは冷凍食品の 「GRAND DELICA (グランデリカ) 」 です (公式サイトはこちら) 。

出典: @Press

商品コンセプト


以下は、日経新聞の記事からの引用です。

ユニマットグループで介護事業を手掛けるユニマット リタイアメント・コミュニティ (東京・港) はこのたび、20 ~ 30代の女性をターゲットにした冷凍食 「グランデリカ」 を発売した。将来的に月間2万人、合計6万食の売り上げを目指す。

製品名は 「グランデリカ」 。ブランドコンセプトは 「ココロ、うるおう。明日が、カワル。」 。「おいしさだけでなく彩りにも力を入れ、手にした瞬間に気分が上がるような、とっておきの『ごほうびごはん』を目指した」 (同社) 

グランデリカの紹介動画もつけておきますね。


商品へのこだわり


グランデリカは冷凍食品を 「ごほうびごはん」 として食べてもらうために、食材やパッケージデザインをこだわっています。

同じ記事から引用すると、

コスト度外視で食べたいものを作っていったという。一般的な冷凍食ではあまり使用されない食材も積極的に使った。冷凍食品ではいわゆる 「冷凍焼け」 が起き、食材の色味や風味が落ちることがある。「ドライトマトをふんだんに使ったほか、アボカドやピスタチオなどのナッツも積極的に使い、彩りと食感にも力も入れた」 (佐野恵規主任) 

包装デザインも工夫した。線画やパステルカラーを基調に優しい風合いにした。「飛び出す絵本」 のイメージで案を詰めていった。箱の四隅を丸みのあるカッティングにするなど細かく指定した。

グランデリカのポジショニング


グランデリカからマーケティングの観点で学べるのは、「ポジショニング」 です。

ポジショニングとは


そもそものポジショニングとは何かですが、一言で表現すればポジショニングとは 「お客さんが頭の中で持っている商品やサービスの特徴認識」 です。あくまでお客さんが主観的に抱いているものです。

他の商品・サービスにはない独自性があり、得られる価値がユニークなほど、際立ったポジショニングができていることになります。

冷凍食品をご褒美で食べるポジショニング


ここで話をグランデリカに戻すと、グランデリカで興味深いのは、冷凍食品というジャンルの中で 「ごほうびごはん」 というイメージを打ち出していることです。

一般的に、冷凍食品は手間がいらず簡単に作れるので、ご褒美として食べるような特別な時というよりも、時間がない時にサッと済ませる食べ物です。

これに対して、グランデリカは食材にこだわり、パッケージデザインも 「ご褒美冷凍食品」 を体現しています。消費者の頭の中では 「冷凍食品なのに豪華な食事ができる」 と言う新鮮な驚きも相まって、他の冷食にはない価値イメージ (ポジショニング) につながっているのです。


提供価値の持続可能性


最後のパートとして考えたいのは、ポジショニングの持続可能性についてです。

時間軸を長く見ると、たとえ今は他にはないポジショニングが作られているとしても、今後も独自ポジションは維持できるとは限りません。

グランデリカの場合は、今は冷凍食品ではめずらしい高価格帯での 「ご褒美冷凍食品」 としてユニークな存在でも、他社が同じことをやってくる可能性は十分にあります。後追いの類似商品が出てきた時に、それでも消費者の頭の中で 「グランデリカの冷食は特別」 というイメージを作り続けられるかが問われます。

ポジショニングを維持するための、お客さんへの持続可能な提供価値の源泉は何か。ポジショニングに成功した時こそ、勝って兜の緒を締めるように意識したい問いかけです。

価値の源泉として、何を持っている・やっているから他では体験できない 「ご褒美冷食」 になり続けられるのか。グランデリカから考えさせられた、価値提供の実現理由とそれが持続可能であることの重要性です。


まとめ


今回は冷凍食品のグランデリカを取り上げ、マーケティングのポジショニングについて見てきました。

最後にまとめです。

ポジショニング
  • マーケティングでのポジショニングとは、お客さんが頭の中で持っている商品やサービスの 「特徴認識」 のこと
  • 他の商品・サービスにはない独自性があり得られる価値がユニークなほど、際立ったポジショニングができている

価値提供の持続可能性
  • たとえ今は他にはないポジショニングがつくれているとしても、今後も独自ポジションを維持できるとは限らない
  • ポジションを維持するために、お客さんへの持続可能な提供価値の源泉は何かは、成功している時こそ考えたい問いかけ


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。