出典: rockin'on.com
今回のテーマは、ブランドです。
おもしろいと思ったサントリー 「ほろよい」 の CM から、マーケティングやブランドに学べることを見ていきます。
✓ この記事でわかること
- サントリーほろよいの CM
- CM の狙いは特定シーンでの純粋想起
- ブランドの本質とつくられ方
- 共感される利用シーン描写からのブランディング (CM に学べること)
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
サントリー 「ほろよい」 の CM
ご紹介したいのは、サントリーのアルコール飲料 「ほろよい」 の CM です。
「ほろよい飲んで、なにしよう?」
CM では、部屋でお酒を飲みながら思い思いに過ごす女性の姿を、実写とアニメの2つのバージョンで描いています。ヘッドホンを付けてスマホで動画を見たり、雑誌を読んだり、ゲームに夢中になったりと、楽しんでいる時に 「ほろよい」 を飲んでいます。
コピーは 「ほろよい飲んで、なにしよう?」 です。
CM が提案しているのは、おうち時間で自分の好きなことをやる、例えば映画を見たり、ゲームをしたり、雑誌を読んだりしている時に、酔いすぎない 「ほろよい」 を飲みませんかというメッセージです。
「〇〇 の時には "ほろよい" 」 というイメージ
ほろよいの CM の狙いは、家で自分の好きなことをする時間に、お供として 「ほろよい」 を選んでもらうことです。
CM では、おうち時間を女性が楽しんでいる時に、自然と側に 「ほろよい」 があることを描いています。
お客さんになってほしい生活者の頭の中で、「◯◯ の時には "ほろよい" 」 とシチュエーションと商品がつながることを目指しています。◯◯ の中には自分の好きなことが入ります。
マーケティングの言葉で表現すれば、特定のシチュエーションでの純粋想起を狙っています。何もヒントなしに 「◯◯ の時には… 」 の後に、ほろよいを思い出してもらえる状態です。
ブランド化を描いた CM
あるシチュエーションが、その人にとって大切な時間であったり、毎日の習慣になっていて、その時に商品やサービスが使われれば、お客さんと商品・サービスとの結びつきが強くなります。絆のようなものが生まれ、商品・サービスがブランド化された状態です。
ほろよい のCM は、ブランドができていくプロセスを映像にしています。
ブランドとは
マーケティングの観点からブランドについて補足をすると、ブランドとは 「お客さんからの好ましい感情が伴った商品やサービス」 です。
好ましい感情とは例えば、好き、共感、満足、誇り、憧れ、応援したい気持ちです。こうした感情が深いほど強いブランドです。ブランドは数式の足し算で表現ができ、「ブランド = 商品 + 感情」 です。
ブランドでもう1つ大事な捉え方は、ブランドとはあくまでお客さんの頭の中にある価値イメージや信頼です。この意味で、売り手は直接ブランドをコントロールすることはできず、間接的に働きかけをすることになります。
ブランドのつくり方
「働きかけ」 というのが、ブランドに ing がつくブランディングです。
ほろよいの CM からは、ブランドをどうやって構築するかも学びがあります。
結論から言えば、ブランドができる流れは、「体験 → 感情移入 → 価値イメージ形成 → ブランド化」 です。何かしらの体験がベースになり、体験時や後に好ましい感情が生まれ、商品やサービスの価値イメージとも結びつき、1つ1つの体験の蓄積の結果としてブランドができあがります。
ほろよいがブランドになる描写
CM では 「ほろよい」 の体験をリラックスしているおうち時間で、様々な体験を30秒で実写とアニメの2つのバージョンで描いています。先ほどの流れ 「体験 → 感情移入 → 価値イメージ形成 → ブランド化」 をうまく見せています。
商品やサービスがブランドになれば、積極的な選ばれ方をされます。「これでいい」 という消去法的なものから、「これがいい」 という能動的な指名買いのようになります。言葉にすると 「てにをはレベル」 の違いですが、「これで」 と 「これが」 の違いはブランドの観点では大きいです。
学べること
では最後に、ほろよいの CM から学べることを整理してみましょう。
商品やサービスをアピールする時には、商品の機能などの特徴だけではなく、使ってほしい 「利用シーン」 を描くと良いです。相手 (見込み客) に共感される利用のシチュエーションを見せれば、自分が使うイメージが具体的になり、商品・サービスが自分ごと化されます。
このように商品やサービスを使うシーンをリアルに伝えれば、相手の頭の中で商品の疑似体験が起こります。ブランドはユーザー体験からできるので、共感できる利用シーンに併せて商品を見せて伝えることは、短期的な売上だけではなく、長い目で見ればブランディングにもつながるのです。
まとめ
今回はサントリーの 「ほろよい」 の CM を取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。
最後にまとめです。
ブランドの本質
- ブランドとは 「お客さんからの好ましい感情が伴った商品やサービス」 。好ましい感情とは例えば、好き、共感、満足、誇り、憧れ、応援したい気持ち
- ブランドは、お客さんの頭の中にある価値イメージや信頼
- ブランドができるのは、「体験 → 感情移入 → 価値イメージ形成 → ブランド化」 。体験時や後に好ましい感情が生まれ、商品やサービスの価値イメージとも結びつき、1つ1つの体験の蓄積の結果としてブランドができあがる
利用シーン描写からのブランディング
- 商品やサービスを訴求する時には、使ってほしい 「利用シーン」 を描くと良い
- リアルな利用シチュエーションに共感されれば、相手の頭の中で商品の疑似体験が起こる
- 共感できる利用シーンに併せて商品を見せて伝えることは、長い目で見ればブランディングにもつながる
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