出典: ファミリーマート
今回のテーマは、価格設定です。
おもしろいと思ったファミマのおにぎりを取り上げ、マーケティングに学べることを見ていきます。
✓ この記事でわかること
- ファミリーマートの 「具だくさん!おむすび」
- 具材のチラ見せで 「150円の壁」 を突破
- 価格の松竹梅での設定
- 戦略的な無料提供
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ファミマの 「具だくさん!おむすび」
こちらの記事を読みました。
ファミマが挑む、おむすび 「150円の壁」 - 具材のチラ見せに活路|日経クロストレンド
リード文を引用すると、
発売2週間で300万食を売り上げた、ファミリーマートの 「具だくさん!おむすび」 シリーズを取り上げる。
「ごちむすび」 など一部の高価格帯を除いたコンビニ定番おにぎりには、越えてはいけない 「150円の壁」 があった。だが、この壁に “具材のチラ見せ” という付加価値で挑もうとしている。
具だくさんシリーズは、ファミマのおにぎりの価格帯の 「空白地帯」 を狙いました。
出典: 日経クロストレンド
価格の空白地帯と松竹梅
価格の空白地帯について、もう少し詳しく記事から見てみましょう。
田澤氏は 「定番おむすびには『150円の壁』があり、そこを越えないのが暗黙の了解だった。それが2021年に高価格帯がはやったことで、付加価値を高めれば150円から多少上げても消費者は離れない」 と踏んだ。
確かに248円の SPAM むすびと比較すると、160円のおにぎりは手を伸ばしやすい。そうした消費者心理を価格設定にうまく生かした。
価格帯の空白地帯であった151円 ~ 167円とは、大きく捉えれば松竹梅の 「竹」 に当たります。
もし168円以上のおにぎりがなければ単純な値上げに見えたかもしれません。
しかし、168円以上の 「ごちむすび」 、248円の 「SPAM むすび」 がファミマにもともとあったので、空白地帯に入り込む 「具だくさん!おむすび」 は全体の価格帯構成で見ると唐突感や違和感はありません。
とはいえ、単に中間の価格帯に入っただけで生活者が買ってくれるほど、簡単ではないはずです。ファミマの 「具だくさん!おむすび」 がおもしろいのは、見せ方で工夫をしているところです。
見せ方での工夫
具だくさん!おむすびは、おにぎりの具材をパッケージ写真ではなく実物を見せています。
出典: 日経クロストレンド
付加価値を高める方法が、具を見せることだった。
定番おむすびは、白米のまわりがのりで覆われて具材が確認できず、見た目から味を想像するのが難しい。その点、具材が飛び出していれば、インパクトのある見た目が食欲をそそり、消費者が味をイメージしやすくなる。
素材にこだわった高級路線とは一線を画しつつ、具材の “チラ見せ” を取り入れることで、150円の壁を打ち破った。
具材を直接見せることで、おいしさや期待感を醸成し、食べたくなる気持ちを生んでいます。
実際の具なので、文字表記やイメージ写真だけよりもリアルです。「具だくさん!おむすび」 という商品名の通り、それだけ具材がたくさん入っていることの自信の表れです。
見せ方の工夫で、消費者に 「 (安い価格のおにぎりより) これだけ具が入っているなら、150円以上しても買いたい」 と思わせています。価格に見合う、あるいはそれ以上の価値を提示しているわけです。
買ってもらうための無料提供
おにぎりの具 (中身) の実物を見せることは、化粧品やサプリでよくある試供品 (サンプル品) を渡して使ってもらうことに本質は似ています。
サンプル品の役割は、本品を買う前に実際の使い方を試したり、効果を感じてもらうことにあります。具だくさん!おむすびに話をつなげると、具材を見せるだけなので実際に食べた味や満腹感はわかりませんが、実物の具をありのまま見せることで、食べることの疑似体験が頭の中にできます。
具だくさん!おむすびの 「具材のチラ見せ」 は、サンプル品のような無料提供と捉えることができます。学びとして一般化すると、「商品やサービスを買ってもらうために意図的な無料提供をつくってみよう」 です。
ただし、単純にタダであげるのではなく、お客さんに買って欲しい商品・サービスにつなげる、すなわち 「点」 ではなく 「線」 として無料提供を設定するといいです。
まとめ
今回はファミマの 「具だくさん!おむすび」 を取り上げ、マーケティングや戦略に学べることを見てきました。
最後にまとめです。
具だくさん!おむすびの価格設計
- ファミマの普通のおにぎりは150円以下、高価格帯では168円以上だった
- 具だくさん!おむすびは 「具材のチラ見せ」 で購買意欲を高め、価格の空白地帯 「151 ~ 167円」 を狙った
戦略的な無料提供
- 商品やサービスを買ってもらうために意図的な無料提供をつくってみると良い
- 単純にタダであげるのではなく、お客さんに買って欲しい商品・サービスにつなげる。「点」 ではなく 「線」 として無料提供を設定しよう
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