出典: クイックテッサホテル
今回のテーマは、サービス開発です。
おもしろいと思ったホテルのルームプランをご紹介し、マーケティングに学べることを見ていきます。
✓ この記事でわかること
- ホテルがテレワークプランを導入
- 本質は 「遊休資産の有効活用」
- 注意点は、余り物の押し売りにしないこと
- 「残り物には福がある」 なビジネスのつくり方
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ホテルのテレワークプラン
ホテル各社が、テレワーク用のルームサービスを提供しています。
出典: 東急ホテルズ
背景や狙いについて、日経新聞に詳しく書かれていました。
コロナ禍では、ホテル業界も大きな転換点を迎えた。インバウンドや国内の旅行需要の蒸発に加え、テレワークの普及で出張などの需要も減少。ホテルの稼働率は大幅に低下した。ホテル専門の調査会社、英 STR によると、最初に日本で緊急事態宣言が発令された2020年4月の国内ホテルの稼働率は 14.9% (19年4月は 85.4%) まで落ち込んだ。
感染拡大が長引く中でホテル業界が模索し始めたのは、出張や旅行以外の需要掘り起こしだ。20年夏以降、ホテル各社はテレワークなどの用途で日中にホテルを利用してもらうプランを相次ぎ発売。在宅勤務を導入する企業が増える中で 「自宅で仕事に取り組みにくい」 と感じる人の需要を捉えた。
楽天トラベルでは、テレワークの特集ページも開設されています。
遊休資産の有効活用
ホテルのテレワークプランの導入の本質は、遊休資産の有効活用だと見ました。
ホテルの稼働率が下がり、本来は稼働するはずの部屋が価値を生まず、遊休資産となる状況が増えたことが背景です。
遊んでいる資産に対して、昼間に仕事部屋として使うテレワークプランという今までとは違う使い方を提案することで、これまで取り込んでいなかったニーズを捉えています。
ターゲットユーザーと提供価値
テレワークプランのターゲットユーザーは、会社ではなくテレワークをする必要はあるものの、自宅で仕事をするのは集中できないと思っている人です。
自宅でもなく会社でもない場所は、例えばカフェやコワーキングオフィスがありますが、不特定多数の他人がいる環境は、人の目が気になり落ち着かないのがターゲットユーザーの悩みや困りごとです。
静かな個室で快適な空間のホテルの部屋は、仕事で集中するには良い環境ですよね。缶詰になるという表現をするように、ホテルの一室に閉じこもって仕事に集中できます。
ホテルのテレワークプランには、自宅の要素と、会社でも家でもない第三の場所の要素がいい感じで入っています。
有効活用の注意点
ホテルのテレワークプランは、遊休資産を他に有効活用する良い事例です。
1つ注意点があり、大事なのは有効活用したことが、お客さんへの価値提供につながっていることです。
単なる残り物の押し売りになってはいけません。たとえ余り物でも、お客さんにとって新しい価値がもたらされてこそ、意味のある有効活用です。
遊休資産の有効活用では、「残り物には (お客さんに) 福がある」 が重要です。資産を横展開しても、自分たちだけにしか福がなければ、自分たち都合なだけで有効活用とは言えないのです。
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