投稿日 2022/07/14

居酒屋の 「0秒サーバー」 に学ぶ、お客さんとの共創の注意点と価値のつくり方


今回のテーマは、お客さんとの共創です。

おもしろいと思った居酒屋の卓上サーバーをご紹介し、マーケティングに学べることを見ていきます。

✓ この記事でわかること
  • 居酒屋の自分でレモンサワーを作る 「0秒サーバー」 
  • セルフの意味合い
  • お客さんとの共創の価値創出と注意点

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

セルフサービスの広がり


今回の背景は、ある記事を読んだからです。

居酒屋の卓上サーバー


以下は記事のリード文です。

酒をセルフサービスで楽しめる卓上サーバーの導入店が若者から人気を集めている。手ごろな値段で客自らグラスに酒を注げることに支持が広がっている。

人手不足対策にもつながるほか、食事中心の業態の客単価引き上げにも貢献するとして導入店舗が拡大している。

ときわ亭の 「0秒サーバー」 


記事では具体例として 「ときわ亭」 という居酒屋が紹介されています。

東京の渋谷にある居酒屋 「0秒レモンサワー 仙台ホルモン焼肉酒場 ときわ亭」 には、卓上サーバーが導入されています。コンセプトは 「60分飲み放題500円、0秒でレモンサワーが飲める」 というものです。

出典: PR TIMES

0秒の意味は、各テーブルに設置されたサーバーからセルフで注げるので、待ち時間0秒でレモンサワーが飲めるところからです。

レモンサワーは、10種類のレモンシロップから2種類を選び、追加料金を払えば4種類の生レモンのトッピングも選べます。シロップやトッピングから自分の好きなようにレモンサワーを作れます。


セルフの意味合い


ここから後半で掘り下げていきたいのは、お客さんへのセルフサービスで商品やサービスを提供する意味です。

省力化


お店にとっては省力化ができます。

卓上サーバーの例では、サーバーからグラスに飲料を注ぐのは、元々は店員の仕事です。これを卓上サーバーによってお客さんに代わりにやってもらうわけです。

ただし、単にお客さんにやってもらうだけでは、ともすると作業や手間の押し付けになってしまいます。

そうなるとお客さんの中でやらされ感が生まれてしまうでしょう。

自分で好きに作れる価値


そこで大事になるのが、お客さんへの価値を提供することです。

卓上サーバーに当てはめれば、シロップやトッピングから好きなものを選び、分量も自分好みに自由にカスタマイズできるという価値です。

例えるならバーベキュー的な楽しさがあります。サーバーを扱うのに慣れた店員ではなく、お客さんが自分でやるとうまくいかない時もあるでしょう。シロップを入れすぎて味が濃くなったりなど、これはバーベキューで言えば肉を焼きすぎてしまうパターンです。

しかし許容できる少々の失敗は話のネタになるし、自分で好きに作るおもしろさも相まって、トータルでは満足感が高まります。


学べること


今回のセルフの話を一般化すれば、「お客さんとの共創からの価値創出」 です。

学べることとして注意点をあげるなら、共創と言えば聞こえはいいですが、単にお客さんに手間を渡すだけでは、見透かされるとお客さんは嫌がり、いずれは離れていってしまうことです。

構図としてはお客さんによる作業代行だとしても、そこにお客さんが楽しさやうれしさなどの価値を感じられるかが重要です。プロセスでの体験価値、得られる成果への価値が生まれれば、売り手と買い手で Win-Win での共創が実現できます。

居酒屋での卓上サーバーの話は、お客さんとの共創という視点でマーケティングや販売に学びがあります。


まとめ


今回は居酒屋のセルフでの卓上サーバーから、お客さんとの共創を見てきました。

最後にまとめです。

セルフの意味合い
  • 元々は売り手側の仕事だったことをお客さんに代わりにやってもらうので、お店にとっては省力化になる
  • ただし、単にお客さんにやってもらうだけでは、ともすると作業や手間の押し付けになり、やらされ感が生まれてしまう

お客さんとの共創
  • 構図としてはお客さんによる作業代行だとしても、そこにお客さんが楽しさやうれしさなどの価値を感じられるかが大事
  • プロセスでの体験価値、得られる成果への価値が生まれれば、セルフから売り手と買い手で Win-Win での共創が実現できる


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。