投稿日 2022/11/24

Z 世代の購入ジャーニーに見る、合理的なマーケターほど陥りやすい罠


今回のテーマは、顧客理解です。

おもしろいと思った Z 世代の意識や購買行動の調査から、マーケティングに学べるを掘り下げていきます。

✓ この記事でわかること
  • Z 世代の意識・購買調査の結果
  • ビジュアルでのインプットとアウトプットが得意な Z 世代
  • SDGs は買う理由にはならない
  • 顧客視点の本質、マーケターに求められる姿勢

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

Z 世代の調査


若者研究機関の SHIBUYA109 lab. (シブヤイチマルキューラボ) が、Z 世代の SDGs と消費に関する意識調査の結果を発表しました (リリースはこちら) 。

関連して、Marketing Native に、SHIBUYA109 lab. 所長の長田 (おさだ) 麻衣さんへのインタビュー記事がありました。

インタビューでは、Z 世代ならではの価値観、社会課題や SDGs への考え方、商品を購入する際の買い物プロセスの特徴などが語られています。

ビジュアル表現に長けた世代


所長の長田さんが説明していた、Z 世代の情報収集の特徴が興味深かったです。インタビューでは3つを挙がっていましたが、中でも以下の2つ目の 「Z 世代のビジュアル表現」 についてでした。

2つめは、テキストよりも画像や動画を介した情報収集が主流になっており、ビジュアルから得た情報の処理能力が高く、ビジュアルコミュニケーションに長けていることです。

例えば、「エモい」 「チルい」 などのように抽象的な言葉であっても、言語化されていないニュアンスを共通認識として持っていて、ビジュアルで表現できます。「エモい動画を作ってきて」 「チルい雰囲気の写真を集めてきて」 と Z 世代に依頼すると、みんな同じようなエモい動画、チルい写真を用意してくれます。

Z 世代がビジュアルコミュニケーションに長けているのはおもしろいです。依頼内容が 「エモい動画を作ってきて」 「チルい雰囲気の写真を集めてきて」 というだけで、Z 世代の若者はエモい動画やチルい写真がそろうと。

定義が明確に言語化されていなくてもニュアンスを映像や写真でイメージができ、それに近いものを視覚情報から自分で選べるのです。

購入ジャーニーの入口


インタビュー記事の後半で、Z 世代のサステナブルな商品の購入プロセスが紹介されていました。

―― Z 世代の人たちは、認知や興味関心など、どのようなジャーニーを描いて SDGs に関連する商品の購入に至るのでしょうか。

社会課題や SDGs への関心が高いと言われる Z 世代でも、サステナブルなことを日々意識している人は多くありません。サステナブルな商品について自ら情報収集して購入する人はごく少数派で、「かわいい」 と思って購入してみたらサステナブルな商品だった…というケースが大半のようです。

―― つまり、サステナブルな商品であることは偶然知るのですか。

そうなんです。例えばコスメ・洋服などは、視覚的に 「かわいい」 と感じることや、感覚的に 「いいな」 と思うことが購入への入り口になっていて、その商品がサステナブルかどうかはあまり見ていません。

サステナブルな商品をわざわざ選ばなくても、購入したものが勝手にサステナブルであるほうが Z 世代にとっても理想なのです。

買い物のプロセスも最初は 「かわいい」 から入っています。

Z 世代の 「エモい動画やチルい写真がそろう」 という話で見たように、ビジュアル表現を得意としているので、購入ジャーニーの入り口は視覚情報から直感的な判断から入っています。

自分が買った商品が後から SDGs なものだったことに気づくわけです。


学べること


では、Z 世代の調査結果やインタビュー記事から学べることを掘り下げていきましょう。

買う理由の認識の違い


興味深いのは、商品を買って後からサステナブルな商品だったことに気づき、「購入した商品が結果的に SDGs だったことが Z 世代には理想である」 という指摘です。

これが意味するのは商品がサステナブルであることは、Z 世代にとって 「買いたいと思う理由」 にはなっていないということです。

一般的な話として、マーケターはお客さんのことを合理的にロジカルに捉えようとします。

例えば、各種調査から言われることに 「Z 世代は SDGs への関心が高いこと」 があるので、マーケターの思考回路は 「商品が SDGs であることを訴求する → SDGs だから買ってもらえる」 となります。

因果関係で言えば、SDGs は購入の 「因」 、つまり買う理由とみなすわけです。

しかし、消費者 (Z 世代) の頭の中は、こうはなっていません。視覚的に 「かわいい」 と感じたり、感覚的に 「いいな」 と思うことが購入の入口で、その商品がサステナブルかどうかはあまり見ていなく、買ったものが SDGs だったと後から気づきます。

買った結果として SDGs があり、SDGs は選んだり買う理由にはあまりなっていないのがお客さんの真実なのです。

 「お客さんの合理」 に合わせよう


 (Z 世代ではない) マーケターからすると、Z 世代は 「SDGs に関心が高い」 と言うわりに、「話がちがうじゃないか」 と思うでしょう。Z 世代の考えていることはよくわからない、ともすれば非合理な心理や行動に見えるかもしれません。

このようにお客さんの合理はマーケターには非合理であり、逆もまた然りで、マーケターの合理はお客さんにとっては非合理なのです。このギャップが大きいほど、マーケターはお客さんのことが理解できていない状態です。

ではどうするかと言うと、ギャップを解消するために合わせにいくのはマーケターのほうです。

お客さんの置かれた環境や文脈を理解し、お客さんの思考回路や見ている景色と同じものを見ようとする姿勢がマーケターには大切です。これが顧客視点になることの本質です。


まとめ


今回は Z 世代の意識や行動、買い物の特徴から、マーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。

✓ マーケターとして大切な姿勢
  • お客さんの合理はマーケターには非合理であり、マーケターの合理はお客さんにとっては非合理
  • このギャップが大きいほど、マーケターはお客さんのことが理解できていない状態
  • 合わせにいくのはマーケターから。顧客視点になることの本質は、お客さんの文脈を理解し、思考回路をそろえ、見ている景色と同じものを見ようとすること


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。