出典: 西日本新聞 me
今回のテーマは、顧客と利用用途です。お客さんが変われば、商品やサービスの利用用途も変わるという話です。
おもしろいと思った宇宙ビジネスのニュースを取り上げ、マーケティングに学べることを掘り下げます。
✓ わかること
- 大分空港が 「宇宙港」 になる
- 選ばれた決め手は?
- かつての 「弱み」 が、今度は 「強み」 に
- マーケティングに学べること (顧客と用途)
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
大分空港が 「宇宙港」 に
これは楽しみなニュースです。
大分県国東 (くにさき) 市にある大分空港が 「宇宙港」 になろうとしている。
既存の滑走路から飛び立った航空機から、人工衛星を打ち上げる。2020年から大分県と提携している米国企業が、早ければ年内に事業を始める。衛星データを使った新ビジネス創出や観光振興など、県内経済の活性化につなげようという動きも目立ってきた。
出典: 日経クロステック
選ばれた決め手
大分空港が宇宙港として選ばれた要因はどこにあったかと言うと、
人工衛星はロケットに搭載し、垂直に発射するのが一般的だ。九州では鹿児島県の種子島 (南種子町) と大隅 (おおすみ) 半島 (肝付町) の射場 (しゃじょう) から、H2A やイプシロンなどのロケットで打ち上げてきた。
大分で取り組むのは 「水平型」 の打ち上げだ。人工衛星を積んだロケットを主翼からつり下げた航空機が空港から離陸し、高度約10キロメートルの上空で発射する。大分空港の滑走路が3000メートルと長いことが、選ばれる決め手の一つになった。
(中略)
県と次世代民間宇宙ステーション開発に参加している米シエラ・スペース、兼松の3者も2月に覚書を交わした。
シエラ社は宇宙輸送船の着陸拠点として大分空港を活用する可能性を探っている。7月に訪日したジョン・ロス副社長は 「滑走路の長さも幅も十分で、最適な場所だ」 と評価。早ければ26年の着陸実現を視野に入れる。
水平型の宇宙船発射
宇宙ロケットの 「水平型」 の打ち上げ方式は飛行機の下部に宇宙船を取り付け、空港から飛び立つ方法です。
一定の高さまでは一体化したまま上昇していき、その後に宇宙船を空中で切り離し、ロケットが加速し宇宙空間に向かっていきます。
宇宙旅行ビジネスを展開するアメリカのヴァージン・ギャラクティック社に採用されています。こちらの動画がヴァージン・ギャラクティックの打ち上げの様子です。
学べること
大分空港が宇宙港になるという話は、マーケティングの観点でも学びが得られます。
顧客と用途
一言で表現をすれば、学びは 「同じ商品でも、お客さんが変わり、利用用途が異なれば、”選ばれる理由” が変わる」 ということです。
大分空港はこれまでは民間の飛行機会社がお客さんでしたが、新しく宇宙ビジネスを展開する会社がお客さんに加わったのです。違うお客さんになれば同じ空港でも使い方が変わります。
使い方という利用用途が変われば、何を基準に使う・選ぶかの理由も変わります。
大分空港が宇宙港に選ばれた決め手は水平型の打ち上げに適した空港だったからです。具体的には、引用した記事にあったように 3000m の長さと幅も十分にある滑走路です。
弱みが強みに
また、これは記事では書かれていませんでしたが、大分空港が他の空港に比べて民間飛行便の離発着回数が少ないであろうことも宇宙港に使えると判断されたのでしょう。
一般的な民間向けの空港では離発着の回数が少ないと売上は上がらず、他の空港に比べての劣位になります。JAL や ANA などの航空会社にとっては、少ないと飛行便を飛ばしても売上は大きくなりません。大分空港の発着数の少なさは 「弱み」 だったわけです。
しかし宇宙ロケットを発射させたい会社にとっては、大分空港の環境や置かれた状況は魅力的に映ります。
民間の飛行便は多くなく滑走路の長さも十分なので、大分空港の特徴は宇宙船を飛ばすには 「強み」 になります。
このようにお客さんと利用用途が変われば 「昨日の弱みが、今日の強み」 になるのです。
顧客の用途まで理解しよう
マーケティングで、もっと言えばビジネスで大事なのは 「自分たちのお客さんは誰か」 です。
顧客を設定し、さらにもう一歩踏み込みたいのは、「お客さんは何のためにどのように使うのか」 という使う背景や目的、利用用途の理解です。
お客さんが変われば、利用用途も変わります。
顧客と用途のそれぞれでお客さんごとに得たい価値は違います。向き合うお客さんを明確にし利用用途を理解するのは、マーケティングでは大事なことです。
まとめ
今回は大分空港が宇宙港になるというニュースから、マーケティングに学べることを見てきました。
最後に学びのポイントをまとめておきます。
✓ 顧客設定と用途理解
- マーケティングで大事なのは 「自分たちのお客さんは誰か」
- 同じ商品でも、お客さんと利用用途が異なれば 「選ばれる理由」 が変わる
- 顧客設定をし、「お客さんは何のためにどのように使うのか」 の使う背景や目的、利用用途まで理解しよう
マーケティングレターのご紹介
マーケティングのニュースレターを配信しています。
気になる商品や新サービスを取り上げ、開発背景やヒット理由を掘り下げることでマーケティングや戦略を学べるレターです。
マーケティングのことがおもしろいと思えて、すぐに活かせる学びを毎週お届けします。
レターの文字数はこのブログの 3 ~ 4 倍くらいで、その分だけ深く掘り下げています。ブログの内容をいいなと思っていただいた方にはレターもきっとおもしろく読めると思います (過去のレターもこちらから見られます) 。
こちらから無料登録をしていただくとマーケティングレターが週1回で届きます。もし違うなと感じたらすぐ解約いただいて OK です。ぜひレターも登録して読んでみてください!