投稿日 2022/11/19

コーナンの蓄圧式洗車クリーナー。「尖った人の変な使い方」 からヒット商品に

出典: コーナン

今回のテーマは、商品開発です。

おもしろいと思った洗車用のクリーナーを取り上げ、学べることを掘り下げます。

✓ この記事でわかること
  • コーナンの 「蓄圧式洗車クリーナー」 が人気
  • 「尖った人の変な使い方」 が開発のヒントに
  • 邪道と切り捨てず、むしろ受け入れてチャンスにしよう

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

蓄圧式洗車クリーナー


ご紹介したいのは、ホームセンターのコーナンで売られている洗車用のクリーナーです。名前は 「蓄圧式洗車クリーナー」 と言います (公式サイトはこちら) 。

出典: コーナン

売上が好調


蓄圧式洗車クリーナーは、想定を超える売上とのことです。

コーナン商事が2021年12月に発売した 「蓄圧式洗車クリーナー」 が好評だ。

容器に水と洗剤を入れて加圧した後、噴射して使う商品で、園芸用の噴霧器を洗車クリーナーに改造する消費者の動きから着想を得た。22年1 ~ 7月の販売個数は2万6000個と想定の5倍を上回った。

蓄圧式洗車クリーナーの構造は、ノズルが 「泡用」 と 「水用」 を付け替えられるようにできています。

使い方は二段階で、泡用ノズルで洗剤を噴射した後に、容器の中身を水に替え水用ノズルを付けて汚れを洗い流します。

出典: コーナン

動画も付けておきますね。


開発の背景


では蓄圧式洗車クリーナーの開発プロセスを見ていきましょう。

開発のきっかけは 「消費者が噴霧器を洗車クリーナーに改造する動きが広がっていたこと」 。商品開発部の福嶋修さんはこう振り返る。

市場で販売しているクリーナーは高価格な海外製が多く、100円ショップで330円で売っている園芸用噴霧器を改造する動画がインターネット上で話題になっていた。そこで、 「既存のクリーナーの半額で、絶妙な泡加減を出せる商品を作ろう」 と決心した。

しかし、開発では試行錯誤が続きました。

最大の関門は 「泡」 だった。車に付着した汚れを包み込んで浮かすには、洗剤を十分に泡立てる必要があった。

だが、試作段階では細かく泡立たず、泡用のノズルを5種類以上試作した。ノズルの内部に詰めたスポンジの密度や素材を変えることで、より細やかに泡立つようにした。

実際に泡立つかどうか、既存の商品と比較する検証もした。商品開発部の社員5 ~ 6人で自家用車を用意し、フロントドアとバックドアにそれぞれ試作品と既存の商品を噴射して泡立ち具合を見比べた。

 「これなら商品化できる」 。半年間にわたる試行錯誤の末に、納得感が生まれた。

学べること


ここまでが今回の前半パートです。

後半は学べることを掘り下げていきましょう。

一部愛好家の改造品をヒントに


蓄圧式洗車クリーナーが生まれたきっかけは、一部の人たちで話題になっていた洗車方法でした。園芸用の噴霧器を自らの手で洗車用に改造した出来事です。

手ごろな価格で同じことができる洗車用のクリーナーがなかったことから、コーナンは 「それならいっそのこと自分たちで作ろう」 となったわけです。

こうして生まれたのが蓄圧式洗車クリーナーです。園芸用品を洗車向けに改造してまで 「こういうふうに車を洗いたい」 というニーズに応える商品になったのです。

尖った人の変な使い方


蓄圧式洗車クリーナーの開発を一般化して表現すると、一部の尖った人の変な使い方からヒントを得た商品開発です。

今回の事例では尖った人とは、車を洗うのに市販のクリーナーではどれも満足できず、自分で園芸用の商品を洗車用に改装してしまう人です。

ネットの動画で話題になったということは、多くの人にとっては斬新な洗い方だったわけで、自分もやってみようと参考に動画を見た人も少なくないでしょう。

異質を受け入れ、チャンスに変えよう


尖った人とはいわば極端な人で、マーケティングでは 「エクストリームユーザー」 と言ったりします。

蓄圧式洗車クリーナーからの学びのポイントは、エクストリームユーザーの想定外の使い方を邪道なものとして排除せず、むしろ商品開発やマーケティングのアイデアとして積極的に取り入れたことにあります。

見込み客も含めてお客さんの使い方、特に売り手が想定していなかった使い方にはヒントが詰まっています。あとは、その発見をどうビジネス機会につなげられるかです。


まとめ


今回はコーナンの蓄圧式洗車クリーナーを取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。

最後にまとめです。

✓ 「尖った人の変な使い方」 からの商品開発
  • 一部の尖った人 (エクストリームユーザー) の変な使い方には、ヒントが詰まっている
  • エクストリームユーザーの想定外の使い方を邪道なものとして排除せず、商品開発やマーケティングのアイデアとして積極的に取り入れてみよう


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 合同会社の代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。