投稿日 2022/11/25

シニアに人気な 「自宅で簡単に作れる炭酸水メーカー」 。二段階で選ばれる価値提案をしよう

#マーケティング #価値提案 #選ばれる理由

出典: ITmedia

今回は二段階で選ばれる価値提案をしようという話です。

おもしろいと思った炭酸水メーカー (炭酸水を自分で作れる機械) から、マーケティングに学べることを見ていきます。

✓ わかること
  • シニア世代に人気の炭酸水メーカー
  • リピーターを増やし、新規顧客を獲得する施策
  • 炭酸水メーカーから学ぶマーケティングの本質
  • 二段階で選ばれる価値提案をしよう

よかったら最後までぜひ読んでみてください。

ソーダストリームの炭酸水メーカー


英国発の炭酸水メーカーが人気を呼んでいます。

自宅で簡単に炭酸水を作ることができる 「炭酸水メーカー」 が売れている。

世界45カ国で炭酸水メーカーを販売するソーダストリーム (東京都港区) でマーケティング部長兼ディレクターを務める平野幸恵さんによると、ここ1 ~ 2年の日本市場の伸長率は、他国の市場と比較してもトップクラス。特に、2020年3月頃から徐々に売り上げが増え始め、4 ~ 5月頃には生産が追い付かないほどだったという。

シニア世代特有の憧れ


炭酸水メーカーはシニア世代に人気とのことです。

同社が2011年に日本に進出した当時は、収入の安定した30 ~ 40代の既婚者や海外生活経験者が主なユーザーだった。しかし、コロナ禍で流入したユーザーを分析すると、特に50 ~ 60代のシニア世代が購入するケースが増加したのだという。

なぜシニア世代に炭酸水メーカーが受け入れられたのか。50 ~ 60代のユーザーに購入に至った経緯をヒアリングしたところ、ある嗜好が明らかになった。「50 ~ 60代はサイダーやラムネなど甘い炭酸飲料に幼少期からの憧れが刷り込まれていて、炭酸飲料 = 特別な飲み物というイメージを持っていることが分かりました」 (平野さん) 

しかし、年齢的にも、コロナ禍という情勢からも健康志向が高まり、甘い炭酸飲料ではなく炭酸水を意識して飲むようになった。その結果、「毎日飲むのなら買うより作った方が経済的で環境にも良い」 と、購入に至るケースが多いのだという。

様々な使い方を提案


記事ではソーダストリームが日本でやっている取り組みが2つ紹介されていました。

1つは炭酸水の様々な使い方の提案です。

炭酸水を日本の消費者行動に組み込めるようアプローチすることだ。

 「弊社では炭酸水メーカー以外にも、炭酸水で割って飲むためのオーガニックシロップを販売しています。その際に、甘酒とオーガニックシロップを組み合わせて割るなど、日本ならではの食材の組み合わせを提案しています」 (平野さん) 。

その他にも、だしをとる時、ホットケーキや天ぷらなど揚げ物を作る時などに炭酸水を使うなど、「飲む」 以外の選択肢もあることを訴求している。

使い続ける不安や疑問を解消


もう1つの取り組みは炭酸水メーカーを使い続けられるかどうかの見込み客の不安や疑問に応えていることです。

炭酸水メーカーはその特性上ガスシリンダーの交換が不可欠であるため、日本のユーザーからは、「交換に素早く対応してもらえるのか」 「商品の保証は適切か」 など、長く使い続けるに当たっての不安や疑問が多く寄せられるという。

そこで同社は、岐阜県土岐市にアジア初となるガスの充てん工場 「ソーダストリーム ジャパンシリンダーファクトリー」 を設立し、21年6月から稼働を開始。

これまではガス充填 (じゅうてん) を海外工場で行ってきたが、日本国内に工場ができたことでユーザーへの迅速な対応を可能とした。加えて、商品自体の保証期間を2年から4年に延長するなど、アフターサービスも拡充している。

学べること


ではソーダストリームの炭酸水メーカーから学べることを掘り下げていきます。

選ばれる回数を増やす


あらためてマーケティングの本質は何かを考えると、マーケティングとは 「お客さんから選ばれる回数」 を増やす活動です。

そのためには自社が選ばれる理由をつくり、偶然にたまたま選ばれるのではなく意図的にお客さんから選ばれる状況になるための仕組みをつくります。

炭酸水の事例で言えば、水分補給の時に炭酸水を飲んだりアルコールの炭酸割り用としてだけではなく、調理のだし汁や揚げ物にも使ってもらうように働きかけをします。

二段階で選ばれる仕掛けを


お客さんから選ばれる回数を増やすために二段階で考えるといいです。

炭酸水の例で続けると、一段階目は炭酸水そのものを使う機会や利用シーンを増やすことです。他の飲料ではなく炭酸水を飲んでもらう、料理の時にも普通の水や調味料ではなく炭酸水を使ってもらうことです。

ここでの勝負は、「炭酸水 vs 他の飲料」 「炭酸水 vs 水」 「炭酸水 vs 調味料」 です。

そして二段階目が炭酸水の中で自社の炭酸水 (商品) が選ばれることです。

ソーダストリームの場合は他社の炭酸水商品ではなく、自社の炭酸水メーカーで作られた炭酸水を飲んでもらったり使ってもらうことです。

まとめると、

✓ 二段階のマーケティング
  • 炭酸水というカテゴリーが選ばれる
  • その時に自社の炭酸水商品が選ばれる

2つにおいて 「 (他ではない) 自分たちがお客さんから選ばれる理由」 をつくることがマーケティングの役割なのです。


まとめ


今回は炭酸水メーカーを取り上げ、マーケティングに学べることを見てきました。

最後に学びのポイントをまとめておきます。

✓ 二段階で選ばれる価値提案をしよう
  • マーケティングとは 「お客さんから選ばれる回数」 を増やす活動
  • お客さんから選ばれる回数を増やすために、二段階で考えるといい
  • ① 様々なシーンでカテゴリーが選ばれる、② その時に自社の商品・サービスが選ばれる


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書いている人 (多田 翼)

Aqxis 代表 (会社 HP はこちら) 。Google でシニアマーケティングリサーチマネージャーを経て独立し現職。ベンチャーから一部上場企業の事業戦略やマーケティングのコンサルティングに従事。

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名古屋出身、学生時代は京都。気分転換は朝のランニング。