出典: 花王
今回のテーマは、ビジネスチャンスの見つけ方です。
おもしろいと思った商品開発の事例から、マーケティングにも学べることを掘り下げます。
✓ この記事でわかること
- ビオレ冷タオルが見出したビジネスチャンス
- 商品化のきっかけは想定外の使われ方
- 邪道として切り捨てず、積極的に学んで取り入れよう
よかったら最後までぜひ読んでみてください。
ビオレ 冷タオル
少し前の話ですが、2020年3月に花王がビオレの冷シートシリーズから 「ビオレ 冷タオル」 を発売しました (ニュースリリースはこちら) 。
出典: PR TIMES
冷タオルの公式サイトはこちらです。
商品化の背景は、当時のリリースでは次のように書かれていました。
猛暑や熱波など暑熱環境は地球規模で拡大しています。日本でも夏の猛暑が続き、その対策意識が高まっており、冷却スカーフや衣類に使う冷却スプレーなど、さまざまな冷却グッズが登場している一方で、汗ふきシートを首に置くなど冷却目的で使用する方も増えています。 (花王調べ)
そこで、ビオレから、いつでもどこでも肌を冷やして快適に過ごせるように、首にかけて使用できる 「冷タオル」 を発売いたします。
超大判シートの厚手シートに含まれるたっぷりの冷却ウォーターが熱を吸い込み蒸発。逃がし続けます。長時間シートが乾かないので、肌にのせている間、肌温度を 3℃ 下げ、その効果は1時間も持続します。
学べること
では今回の話から、学べることを掘り下げていきましょう。
想定外の使われ方
あらためて先ほどのリリースで注目したいのは、「汗ふきシートを首に置くなど冷却目的で使用する方も増えています」 のところです。
汗ふきシートは名前の通り、身体の汗をふきとる商品です。しかし、人によっては、汗ふきシートを首に付けたままにして首の部分を冷やすという、売り手であるメーカーが想定していなかった使い方をしていました。
リリースでは 「花王調べ」 と注釈があったように、なんとなくそういう消費者が増えているという肌感覚で済ませず、花王は自分たちでしっかりと調査をして見出したわけです。
「市場にないなら自分たちで作ってしまおう」 という発想
自分たちの想定外の使われ方に注目し、着想を得て生まれたのが 「ビオレ冷タオル」 です。
汗ふきシートで首まわりを冷やすのを代替していたとは、首を冷やしたいニーズを捉えるドンピシャの商品がなかったということです。ここを花王はビジネスチャンスと捉え、「それならいっそ自分たちで作ってしまおう」 と、生活者のニーズに正面から応えるものとして商品化したのです。
変わった使い方から学ぼう
今回の事例から学びを一般化すると、「自分たち (作り手や売り手) から見たお客さんの変わった使い方、想定外の用途にはヒントがある」 ということです。
変な使い方を邪道として排除せず、あえて受け入れてみるわけです。花王のように積極的に学びにいけば、商品開発やマーケティングに活かすヒントが得られます。
ポイントは、使い方という表面的な行動の観察たけで終わらず、行動の奥にある生活者やお客さんの気持ちまで掘り下げて理解することです。行動と心理の両方への深い理解と意味合いの解釈ができれば、ビジネスチャンスにつながります。
まとめ
今回は花王の 「ビオレ 冷タオル」 を取り上げ、学べることを見てきました。
最後に学びのところをまとめておきますね。
✓ 変わった使い方をヒントにしよう
- 自分たち (作り手や売り手) から見た想定外のお客さんの使い方にはヒントがある
- 使い方という表面的な行動の観察だけで終わらず、行動の奥にあるお客さんの心理まで理解できれば、ビジネスチャンスにつながる
- お客さんの変わった使い方を邪道として排除せず、受け入れて学びいこう
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